猫の『心の病気』3つ 病気にならないために飼い主ができること

猫の『心の病気』3つ 病気にならないために飼い主ができること

自由気ままにのんびり生きているように見える猫ですが、人と同じように心を病んでしまうことがあります。猫がかかってしまう心の病気と、愛猫の心の健康を保つために飼い主さんが気をつけるべきことを解説します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫も心の病気になるの?

元気がない猫

ストレス社会といわれる現代で、心を病んでしまう人は少なくありません。のんびりマイペースに生きているように見える猫が羨ましく感じる方もいるかと思いますが、実は猫も人と同じように心の病気になってしまうことがあるのです。

精神的な病気の難しいところは、見た目や行動の変化から飼い主さんが異常に気付けるようになる頃にはストレスがかかり始めてから長い時間がかかってしまっていることが多い、何がストレスになっているのかを特定するのが難しいことがある、ストレスの内容と治療開始までにかかった時間によっては治療がとても難しいことがある、などという点です。猫は言葉で自分のつらさを訴えることもできないので、飼い主さんができるだけ早く異変に気づいて対処することが大切ですが、より大切なのは心の病気になりやすい飼い方をしないことです。

猫の心の病気3つと、愛猫の心の健康を守るために飼い主さんにできる対策を併せてご紹介します。

愛猫にも注意!猫の心の病気3つと予防法

涙目の猫

1.舐性皮膚炎

環境の変化や同居しているペットとの関係、退屈などがストレスとなり、過剰に毛繕いすることによって皮膚炎を起こしてしまうことがあります。猫が念入りに毛繕いするのは正常な行動ですが、心の病気の症状として過剰に毛繕いをするようになると、舐めている部位の毛がちぎれ(毛が抜けたように見えます)たり、皮膚に炎症が起きてもまだ舐め続けます。

愛猫に脱毛や皮膚が赤い、ただれている、などの様子が見られたら動物病院を受診しましょう。猫で脱毛や皮膚炎が起こる病気は舐性皮膚炎以外にもいくつかありますので、それらを全部否定し、疑われるストレスがあることで診断されます。舐性皮膚炎と診断できたら、皮膚の治療をするとともに、ストレスの少ない環境を整えたり抗うつ剤などの薬物療法を取り入れたりして治療を進めていくことになります。

舐性皮膚炎の予防は、愛猫にできるだけストレスのない生活を送ってもらうことがポイントです。安心して過ごせる場所を用意し、寝床やトイレは清潔に保って、愛猫が快適に暮らせるように心がけましょう。

多頭飼育をしている場合や引っ越しなどの環境の変化があった場合は、特にストレスになりやすいので気をつけてください。どの子にもひとりでくつろげる場所を用意したり、いつも以上に一緒に遊んだり引っ越し前から使っているトイレや敷物を用意してあげたりして、愛猫がストレスを解消できる時間を設けたりできるだけ早く新しい環境に馴染めるようにしましょう。

また、日中は飼い主さんが不在で退屈な時間が続くこともストレスとなります。退屈過ぎてやることがないと、過剰に毛繕いしやすくなります。お留守番時には知育玩具などを利用してひとりでできる遊びを行わせる、飼い主さんが在宅時には思いっきり体を動かす遊びをさせるなど、退屈し過ぎない毎日を送ってもらう工夫をしましょう。

2.分離不安症

大好きな飼い主さんと離れることやひとりでいることに強い不安を感じ、留守番中に問題行動を起こしたり健康を損ねたりする心の病気を分離不安症といいます。飼い主さんが不在のときに大きな声で鳴き続けたり、トイレ以外の場所で排泄をしたり、部屋を荒らしたりといった行動が見られたら分離不安症かもしれません。

愛猫が甘えん坊な性格だったり、これまで飼い主さんと一緒に過ごす時間が長くて留守番に慣れていなかったりする場合は、分離不安症になってしまうリスクが高まります。飼い主さんがそばにいないことを寂しがる愛猫の姿は可愛らしくもあるのですが、安心して留守番をしてもらえないのは困ってしまいますよね。

分離不安症の予防は猫がひとりでも安心して過ごせる環境を整えることと、愛猫に精神的に自立してもらうことがポイントです。落ち着ける場所にキャットタワーや猫用ベッドを設置して、留守番中も愛猫がリラックスして過ごせる空間をつくりましょう。留守番の練習をしておくのも効果的です。はじめは数分程度の短時間からスタートして、徐々に慣らしていってください。

知育おもちゃなどを活用して、留守番中に頭を使う活動をさせたり、ご飯を食べるのに時間をかけさせるのも良い方法です。そのためには、普段飼い主さんが家にいる時からそのおもちゃを使わせておく必要があります。

普段から飼い主さんが適度な距離で接することも、愛猫の自立につながります。可愛い愛猫のことは甘やかしたくなってしまいますが、普段飼い主さんと常に一緒でひとりで過ごす時間がないと、そばにいてくれないときの不安感が増してしまうのでよくありません。飼い主さんが家にいる時も、ケージを活用したり別の部屋で過ごす時間を設けるなどして、ひとりで過ごさせる時間を作りましょう。

3.常同障害

ストレスや緊張を紛らわせるために同じ行動を繰り返し、それが生活や健康に何らかの支障をきたしている状態を常同障害といいます。人間の強迫性障害に類似したものと考えられています。最初にご紹介した舐性皮膚炎も常同障害によるものです。猫が不安を緩和させるために毛繕いして落ち着こうとしたり、皮膚や被毛のお手入れとして毛繕いする行動は正常ですが、精神的な理由により毛がなくなったり皮膚炎を起こすほどに過剰に毛繕いするのは常同障害となります。

常同障害はストレスが原因で起こるので、ストレスをためない生活をさせることが大切です。生活環境の変化、他の猫との関係、退屈などがストレスになり得ます。愛猫に常同障害がある場合、ストレスの原因となっているものを取り除くだけで治ることもありますが、ストレスの原因を飼い主さんだけでは突き止められなかったり薬物治療が必要になったりすることもありますので、常同障害を疑う場合には、行動学に詳しい動物病院を受診しましょう。

まとめ

無気力な猫

猫の心の病気を3つ解説しました。猫もこのような心の病気になる可能性があるということを忘れずに、愛猫ができるだけストレスのない生活を送れるよう配慮してあげてくださいね。

愛猫の異変に気づいたときに、精神的な病気なのか体の病気なのかを判断することは難しいことが多いです。異変はストレスが原因かもしれないと思った場合にも、正しい診断をしてもらい適切に対処するために、まずはかかりつけの動物病院で早めに相談してみることをおすすめします。かかりつけの動物病院が行動学に詳しくない場合でも、体の病気はないかをチェックできることはとても重要です。愛猫の体の健康に気を配るのは飼い主さんの務めですが、ぜひ心のケアも大切にしてくださいね。

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