「猫の魚好き」は日本だけのイメージ
猫魚好き説の真相は、実は日本が仏教国だったことにあるのです。
仏教は殺生(生き物を殺すこと)を禁じています。特に禁忌とされたのが、足のある動物です。牛などの四つ足動物が最もダメで、鳥はその次、魚は足がないので食べてもギリギリ大丈夫だったようです。
それに加え、牧畜文化が根付かなかった日本では魚が最も手に入りやすく、日本人は魚を中心に食べてきました。そして猫には猫まんま(ご飯に味噌汁、鰹節、魚の頭などを混ぜたもの)を出しました。
しかし猫は肉食なので、やはりたんぱく質が1番美味しいと感じる為ご飯より先に魚を食べていたことから「猫は魚好き」というイメージが定着したというわけです。
注意して!猫にとっては危険な魚介類も!
1.生のイカやタコ
「猫が食べると腰が抜ける」という言い伝えのあるイカやタコには、「チアミナーゼ」という酵素が含まれています。チアミナーゼはビタミンB1分解酵素で、食べるとビタミンB1欠乏症を起こし、ふらつきや食欲不振を起こします。
2.生のカニやエビ
生のカニやエビにもチアミナーゼが含まれます。ビタミンB1欠乏症は通称脚気(かっけ)とよばれ、昔船乗りたちが苦しんだ病気のこと。重度になると昏睡状態に陥ることもある恐ろしい病気です。
3.アジ、イワシ、サンマ、サバなど生の青魚
アジなどの青魚には、不飽和脂肪酸がたくさん含まれます。これを代謝するにはビタミンEが必要ですが、食べ過ぎると体に溜まり、それが酸化してしこりや壊死を引き起こします。「黄色脂肪症(イエローファット症)」という病気で、猫に特徴的な病気です。
4.アワビ、ハマグリ、あさりなどの生の貝類
「猫がアワビを食べると耳が落ちる」という言葉がありますが、これも猫が食べると貝の毒素が日の光を浴びて変化し、炎症を起こすことからきています。「耳」が1番酷いのは、毛が薄く皮膚に直接日光が当たりやすいからです。
猫に魚を与える時の安全な処理方法は?
- 内臓は取り除く
- 必ず火を通す
- たくさん食べさせない
- 青魚は焼いて油を落とすとよい
危険なものは主に内臓に含まれます。また火を通すと酵素が効力を失い、寄生虫なども死滅しますので、魚には是非火を通し、食べさせ過ぎないようにしてください。
まとめ
「猫は魚好き」というのは、文化的な歴史の中で生まれた日本独自のイメージでした。
日本の猫はずっと魚を食べて暮らしてきましたが、魚は猫にとって危険な部分もあります。実際に魚好きな猫に美味しく安全に食べてもらうためには、魚介類選びとその調理法にはじゅうぶん気をつけてくださいね。