一般的な「ペット終活」とは
「ペット終活」という言葉を耳にすることはあっても、実際にどのようなことを行っているのかまでは知らないという飼い主さんもきっと多いかと思います。
ペットの種類によっても変わってくるのですが、多くの飼い主さんがペット終活として行っていることをまとめてみました。
- 愛猫との思い出づくり
- 今後の治療方針について考える
- 葬儀会社のリサーチ
- 供養の仕方を考える
犬を飼っている家庭であればペット終活の一環で「一緒に旅行に行く」「好きだった場所に連れて行く」という場合もあります。
しかし、猫は家の中で飼われている場合がほとんどで「思い出づくり」と言っても、どんなことをすれば良いのか悩んでしまう人も多いかもしれません。
でも、猫ちゃんにとっては「飼い主さんと一緒にいられる普通の時間」がとても幸せなことでもあるのです。
特別なことを考える必要はないので、家にいながらでも愛猫のためにできることを少しずつ実行していきましょう。
ペット終活を行うメリット
そもそも、ペット終活は何のために行うものなのでしょうか。
人間の場合だと「残りの人生を悔いなく過ごすため」「遺された家族のため」などという人もいますよね。
ここからは「愛猫のペット終活を行うメリット」について詳しくお話していきます。
愛猫の生活の質を上げる
ペット終活も人間の終活を行う理由と、大まかな理由は同じです。
猫と一緒に暮らしているみなさんならば十分にわかっていると思うのですが、「猫」といえど私たち人間と何も変わらない、たった一つの尊い命ですよね。
その命が終末期にさしかかった時、「この子が最期までこの子らしく生きられるために“今”できること」を家族である飼い主が考えて、それを実行に移して行くことが「ペット終活」を行う大きな意味なのです。
人間の介護でも使用されることの多い「QOL(クオリティー・オブ・ライフ)」という言葉をご存じでしょうか?
猫のペット終活で言うと、「その猫がどれだけ自分らしい生活を送り、どれだけ人生に幸福を見出しているのか」を捉えた概念のことをさします。
自分でご飯を食べて、自分でトイレに行く……など、日常でつい「当たり前」と思ってしまうようなことでも、じつは終末期を迎えた猫にとってはものすごく幸せなことなのです。
好物のおやつを食べる。好きなおもちゃで遊ぶ。こんな何気ないことでも、猫の生活の質をぐっと高めてくれるんですよ。
ペット終活を行っていくと、このように「日常に隠された多くの幸せ」に気づけることがあります。
そして、それは私たち飼い主だけではなく、愛猫の生活の質の向上にもつながるのです。
ペットロスの軽減
大切な猫との別れの後に待ち受けているのが「ペットロス」です。
ペットロスは人によって現れる症状も、その症状が続く期間もさまざまですが、多くの場合に下記のような症状が現れます。
- 罪悪感や自責感
- 突然涙が出て止まらなくなる
- 吐き気や拒食
- 疲労感や強い無気力
こうした症状が数ヶ月続くのですが、これは決して病気ではなく「ペットを亡くした後の飼い主の精神状態」のことをペットロスと言うのです。
しかし、ペットロスが重症化するとうつなどの精神疾患につながるおそれもありますので、1年以上これらの症状が続く場合には心療内科や精神科の受診をおすすめしています。
こうしてペットロスが重症化してしまう多くの人に共通しているのが「ペットへ対する後悔が多い」ということです。
「生きているうちにもっとこうしてあげていれば良かった」と思うことが多ければ多いほど、愛猫の旅立ちを受け入れるのに時間がかかりペットロスは重症化していきます。
ここで心に留めておいていただきたいのが「ペットロス自体は決して珍しいことではなく、動物と暮らしている人であれば誰でも陥る可能性がある」ということです。
筆者はぺットロスカウンセラーという仕事柄、「ペットロスに陥らないためにはどうすればいいの?」と聞かれることが多くあります。
でも、大切な家族の旅立ちを見送るのですから“完全にペットロスを避けることは不可能”なのです。
ですが、愛猫の生前からペット終活を行うことで「ペットロスの軽減」は十分に見込めます。
今、愛猫のために自分にはどのようなことができるのかを前向きに考えていきましょう。
ペット終活は飼い主だけではなく愛猫のためにも
愛猫のペット終活を行う理由についてお話してきました。
ペット終活は遺される家族のためでもありますが、愛猫自身のためのものでもあります。なので、決して人間のエゴではないのだということを覚えておいていただけたら幸いです。
命あるもの「お別れの時」を避けることはできません。
しかし「大切な愛猫とその日までどう過ごすのか」は私たち飼い主にも選択することができるのです。
ペット終活で少しでも愛猫への悔いを減らして、いつか来るその日には優しく「いってらっしゃい」と声をかけてあげられるといいですよね。