猫の『異食症』ってどんな病気?原因や対処法など8つ

猫の『異食症』ってどんな病気?原因や対処法など8つ

「異食症」とは、食べものではないものを好んで食べる病気です。根本的な原因はよく分かっておらず、基本的に治らないと考えられています。異食症が怖いのは、深刻な胃腸障害を起こすこと。糸のように細くて小さなものでも、命に関わることがあるのです。この危険な病気と上手に付き合っていけるよう、対処のしかたをご紹介します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

異食症で猫が口にするものは?

フミフミしている長毛キジトラ

以前我が家の猫2匹が、発泡スチロールとビーチサンダルの底をかじって飲み込んだことがありました。幸い自分で一部吐き、残りは薬で吐かせましたが、猫がいつ・何を・どんな理由で飲み込むかは見当もつきません。しかし一般的にはビニールやトイレの猫砂、段ボール、おもちゃなどを、遊びの途中で飲み込むことが多いようです。

さらに猫で多いのは「ウールサッキング」。これはタオルや毛布、靴下や布団など、布地を飲み込む異食症の1つです。

異食症が問題視される理由

カラーをして医師に診察を受けるキジトラ白

異食をすると困るのは、胃腸障害を起こすことです。食べてしまったものが胃にとどまって嘔吐の原因になることもあれば、消化管に詰まって腸閉塞を起こすこともあります。

食べてすぐなら薬で吐かせたり内視鏡で取り出したりすることも可能ですが、胃を通り過ぎてしまうとそれは無理。糸が内臓にからまったり異物が腸管を完全にふさいでしまったりするようなら、開腹手術が必要です。

猫が異食する原因

授乳中の母猫と子猫

猫が異食症になる原因には以下のような理由が考えられます。

可能性として考えられる理由

  • ストレス:常同行動や葛藤行動として爪とぎや布などを飲み込む
  • 病気:寄生虫やその他胃腸疾患の不快感から
  • 栄養不足:栄養の偏りや空腹感から
  • 遺伝:シャムなど東洋系の猫にはウールサッキング(布や毛製品の誤飲)が多いといわれる
  • 幼児返りに似た行動:クッションのニーディング(ふみふみ)や布を吸っているうちに噛んで飲み込む

遊んでいるうちに習慣になる場合

  • 遊びの延長:狩りごっこで食べるまでが習慣になった
  • 飼い主さんの気を引きたい:異食は構ってもらえると間違って学習した

猫を異食から守る方法8つ

抱っこでご機嫌な白黒ハチワレ

すぐに効果を上げるには、まず猫と異物を物理的に引き離します。

1.クッションや爪とぎなど、好みの異物を撤去する
2.タオルやおもちゃを放置しない
3.寝室等に行かせない
4.外出時や就寝時など、目の届かない時間帯はケージに入れる

などの工夫をし、それと平行して原因を取り除く工夫をします。

5.病気の可能性を考え、健康診断を受けさせる
6.ストレスの原因を探して取り除く

さらにストレス緩和には十分気を配ります。

7.思い切り遊ばせる
8.心ゆくまで甘えさせる
9.執着している物がある場合はその他の種類のおもちゃやおやつで気を逸らす

仮に病気があったり原因が分からなくても、長期的にはこのようなメンタルケアが1番の薬になると考えらます。

まとめ

ブランケットを噛む猫

異食はいつどんな理由で始まるのかよく分かっていません。もしおかしなものに興味を持つなら、病気の可能性も考え、まずは検査を受けてください。

そして家では異食の対象に触れさせないようにし、うんと遊んだり撫でたりブラッシングをしたりして心と体の健康促進を目指しましょう。一般的に適度な運動と精神的な満足感はメンタルによく効きます。原因が何であれ、また原因が分からなくてもおすすめです。

精神疾患を伴う問題行動の場合は投薬治療が必要になることもありますが、基本的には行動療法(ストレスへの対処と環境整備)が基本です。愛猫のことをよく観察し、遊ぶ時間の確保や環境などを整えてあげましょう。

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