猫がストレスを感じているサイン
猫は、外敵から自分で自分の身を守り、単独で狩りをしながら生きてきました。そのため今でも非常に警戒心が強く、自分の縄張りを強く意識して暮らしており、些細な変化にも敏感で繊細な面を持ち合わせています。
猫がストレスを感じていると、しぐさや行動に現れます。愛猫の様子を日々観察していればちょっとした変化にも気付きやすくなり、愛猫のストレスサインにも早く気付けるでしょう。
猫のストレスサインとしては下記が挙げられます。
- 食欲不振
- 軟便や下痢
- トイレ外での排泄
- 過度なグルーミング
- いつもと違う場所での爪とぎ
- 1日中眠る、引きこもる
- 突然鳴いたり走り回ったりする
- 攻撃的になる
猫のストレスの原因
1.縄張り関連のストレス
猫は自分の縄張りをとても強く意識しています。それは、縄張りにいれば安心できるからです。ただしそのためには、常に縄張りを監視して守る必要があります。
イエネコにとっての縄張りは飼い主さんのお家で、飼い主さんと共有しているという感覚なのです。そのためたとえ飼い主さんのお家であっても、猫にとって快適に暮らせない環境はストレスの元です。また、縄張りの外に出てしまったり、環境が大きく変化したりすることも、強いストレスの原因になります。
具体例を挙げると、下記になります。
- 猫に不適切な気温や湿度
- 慣れた食事の変更
- トイレの形状や猫砂の変更
- トイレが汚れたまま
- 外出やそれに伴う移動
- 引っ越し、リフォームなどの環境の変化
- 自由に爪とぎができない
2.満たされない狩猟本能
ネコ科動物はとても優れたハンターです。それは、人と一緒に暮らすようになったイエネコも同じです。自ら狩りをする必要がなくなっても、習性として狩猟本能はそのまま引き継がれています。
猫は1日の大半を寝て過ごしているように見えますが、狩りのために体力を温存しているのです。そのため狩猟本能が満たされない生活は、精神的にも肉体的にも強いストレスになります。
3.侵入者
見知らぬ訪問者は縄張りへの侵入者です。そのため、下記の訪問者が猫にとっての強いストレスになる可能性があります。
- 来客、配達員
- 窓から見える野良猫
- 相性の悪い同居動物
4.恐怖
人間と同じで、普段経験しないような出来事や恐怖を感じるような体験は、猫にとっての強いストレスの原因になります。具体的には、下記のようなことを挙げられます。
- 動物病院での診察
- 雷や花火、工事のような大きな音
- 地震
5.飼い主さんとの関係
飼い主さんと愛猫との関係は、基本的には親子関係に近く、成猫になっても飼い主さんに甘える猫が多いです。しかし場合によっては、飼い主さんとの関係も愛猫の強いストレスの原因になることがあります。
下記のような関係に思い当たる節がある場合は、飼い主さん自身が愛猫の強いストレス源になっている可能性があるため、注意が必要です。
- スキンシップや一緒に過ごす時間が少ない
- 構いすぎ
- 手際が悪く猫の手入れに時間がかかる
- 洋服など飼い主さんの趣味の押し付け
猫のストレス解消法
縄張りの整備
下記を目安に、猫にとって快適な環境の整備や環境変化の緩和を心掛けましょう。
- なるべく広い範囲を見張れるような高い場所をつくる
- 室温20〜28℃、湿度50〜60%
- 愛猫の排泄後はできるだけ早く掃除する
- 外出はできるだけ最小限に留める
- 長期間留守にする場合は信頼できる人に世話を頼んで留守番させる
- フードの変更は少しずつ新しいフードを混ぜて数日かける
- 猫の好みを見つけたらトイレの形状や猫砂はなるべく変えない
- 新環境には愛猫のニオイがついた物を多く設置して安心させる
- 自由に爪とぎできる場所を作る
狩猟本能を満たす
毎日15分程度でも良いので、飼い主さんがネコジャラシ等のおもちゃを使って擬似的な狩りをさせて一緒に遊びましょう。
侵入者や恐怖へのケア
愛猫がいつでも逃げ込める隠れ家を複数箇所に設置しましょう。隠れている間は覗き込んだり無理に引きずり出したりしないことが肝心です。また庭などに野良猫が侵入してくる場合は、カーテンで仕切って気配を感じさせないような工夫も効果を期待できます。
防ぎようがない場合が多いので、アフターケアも心掛けましょう。動物病院でも、診察を受けたらご褒美をあげることで、良い経験に変えてあげることもできるでしょう。
飼い主さんとの関係
飼い主さんの思いよりも愛猫の気持ちを優先して接し方を考えましょう。
猫のストレスを放置してしまうとどうなるの?
愛猫のストレスに気付かずにいると、病気になってしまうことがあります。ストレスの原因となるようなことがあり、その後しばらくして下記のような病気の症状が見られた場合は、躊躇せずに動物病院で診てもらいましょう。
- 特発性膀胱炎、尿石症などの排尿関連の病気
- 胃腸炎
- 猫カゼ
- 便秘
- 過剰なグルーミングによる脱毛、皮膚炎、自傷行為など
まとめ
どんなに愛猫のためと思っていても、実際に猫のストレス源を完全に除去することはできません。飼い主さんは愛猫を毎日観察し、僅かな変化を察知することでストレスサインを拾い上げてください。
そしてストレス源をできるだけ減らすと共に、愛猫のストレスを上手に解消させてあげることも大切です。