猫の食性
動物が食物を摂取する習性のことを「食性」といい、肉を食べる「肉食性」、植物を食べる「草食性」、動物と植物の両方を食べる「雑食性」、生物の死体や分解しかかったものまたは排泄物を食べる「腐食性」に分けられます。
人間や犬は、肉食から移行してきた動物性食品主体の雑食性だといえるでしょう。
しかし猫は完全肉食性なので、植物性の食品を消化するのに適した体の構造にはなっていません。
そのため、人間にとって期待できる植物性食品の効果が、そのまま猫にも当てはまるとは限りません。
私達人間がとても美味しいと感じ、健康にも良いと考えている果物も例外ではありません。
水分補給や腸内環境を整える効果を期待して、猫に無害であると分かっている果物を与えることには、意味があるでしょう。
しかし、猫に中毒症状を起こさせる可能性がある果物もあります。
今回は、猫に絶対に食べさせてはいけない果物を紹介します。
猫に絶対食べさせてはいけない果物
1.ぶどう
ぶどうや干しぶどう(レーズン)は、猫に食べさせてはいけない果物の筆頭に挙げられます。
実は、ぶどうに含まれるどの成分が原因なのかは、まだ解明されていません。
しかし、猫が生または加工されたぶどうを口にすることで、腎機能に障害が起きる例が報告されています。
摂取後半日〜1日以内に嘔吐や下痢、食欲の低下、元気消失、腹痛、排尿の減少といった症状が見られる場合は、ぶどうの中毒による腎機能障害が強く疑われます。
レーズンを使ったお菓子やジュースなどにも十分な注意が必要です。
また、果肉よりも果皮の方が危険だとも言われています。
ぶどうを食べた後に食べ残した果皮も猫の手が届く所に放置せず、すぐに蓋のついたゴミ箱に廃棄しましょう。
2.パパイヤ
パパイヤに含まれる「パパイン」という酵素は、猫にアレルギー反応を引き起こすことがあります。
口の中や唇に炎症を起こし、重症化すると呼吸困難に陥ることもあります。
サラダなどに使用されることのある完熟する前の緑のパパイヤには、より多くのパパインが含まれています。
人間にとってはミネラルやビタミン、カリウムなどが豊富で栄養価の高い果物ですが、猫にとっては危険な食材なので、決して与えないように注意してください。
3.いちじく
いちじくの果皮、葉、果肉に含まれている「フィカイン」という成分が、猫に中毒を起こさせることが分かっています。
食べることで、口の中の炎症、よだれの過剰分泌、嘔吐といった症状を引き起こすだけではなく、触っただけでも皮膚炎を起こすことがあります。
なお、いちじくと同じクワ科の観葉植物であるガジュマル、ベンジャミン、ゴムの木なども枝を切った時に白い乳液が出てそれに触れると同様の中毒を引き起こしますので、室内に置かないように注意が必要です。
4.マンゴー
マンゴーはウルシ科の果物で、ウルシのかぶれを引き起こすウルシオールという成分によく似た、カルドールやマンゴールという成分を含んでいます。
この成分が、猫にアレルギー症状を引き起こすことがあります。
口内のかゆみや炎症、嘔吐・下痢といった症状です。
重症化すると呼吸困難になることもありますので、決して猫の手の届く所に置いておかないように気を付けましょう。
カルドールやマンゴールは、果皮の部分に多く含まれています。食べ残した果皮も、すぐに片付けるようにしましょう。
まとめ
愛猫に健康で幸せに長生きして欲しいと願うのは、飼い主さんとして当たり前のことです。
健康の基盤を作るのは食事です。そのため、つい人間と同じ基準で猫の食事についても考えてしまいがちです。
しかし猫と人間では食性が異なるため、人間にとっては栄養価が豊富で健康に良い果物も、猫には消化しづらかったり中毒を起こしてしまったりと、同じ基準では考えられない食材もたくさんあります。
かかりつけの動物病院と良い関係を築き、愛猫についていろいろなことを気軽に相談できるようにすることで、食事についても色々と相談し、愛猫に適した食事を与えられるように工夫してみてください。