猫に『生(なま)』で与えると危険な食べ物3つ

猫に『生(なま)』で与えると危険な食べ物3つ

猫は野生だと自分で捕まえた獲物をそのまま食べるので、「生(なま)」の食べ物に対して免疫を持っている…と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし実際は、猫にも生で食べると健康を害してしまう危険な食べ物はたくさんあります。今回はその中から3つほどご紹介したいと思います。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.イカ

イカの刺身

イカは生でも加熱しても消化しにくいため、猫の腸に負担がかかってしまいます。

しかし、生のイカの場合は、ただ「消化しにくい」というだけではありません。

生のイカには「チアミナーゼ」という成分が含まれています。

猫は人間の約5倍のビタミンB1を必要とするのですが、この「チアミナーゼ」は猫にとって貴重なビタミンB1を破壊してしまいます。

キャットフードには十分量のビタミンB1が含まれているので、普段から総合栄養食のキャットフードを食べている猫が、少量のイカを1回食べたくらいでは症状が出ることはありません。

また、「チアミナーゼ」は加熱することで破壊されますが、消化しづらいことに変わりはないので、あえて加熱してまで与える必要もないでしょう。

2.豚肉

豚肉

豚肉も「加熱しても消化しづらい食べ物」です。

栄養豊富なので加熱することで食べさせても問題はありませんが、イカと同じく絶対に生のまま与えてはいけません。

生の豚肉を食べてしまった場合「トキソプラズマ症」にかかってしまう可能性があります。

健康な猫であれば一時的な下痢だけで済むこともありますが、持病のある腎臓や膵臓に疾患のある猫、老猫や子猫にとっては命に関わる事態を引き起こしてしまいます。

またトキソプラズマは、罹患した猫の便を介して人間にも感染してしまうことがあります。

生の豚肉は絶対に食べさせてはいけませんが、きちんと加熱処理した豚肉はビタミンB1を初めとした猫に必要な栄養素が豊富なのも事実です。

そのため、消化のことを考えると常食にはできませんが、きちんと加熱調理したうえで少量を食べさせること自体は悪くないでしょう。

3.卵

生卵

卵も動物性たんぱく質が豊富なため「加熱すれば食べさせても良いけど…」という食べ物です。

生の場合はサルモネラ菌や大腸菌への感染リスクがあるため、食べさせてはいけません。

また卵白には「アビジン」という成分が含まれています。

この「アビジン」は、猫の皮膚や被毛の健康に必要な「ビオチン」と結合してしまうため、食事でしか摂取することのできない貴重な「ビオチン」の吸収を阻害してしまいます。

「アビジン」は卵白が真っ白になるまで加熱することで破壊されますが、生卵の状態で卵黄と混ぜてしまうと破壊されなくなってしまう性質を持ちます。

そのため、調理して食べさせる場合は、ゆで卵が一番良いのでしょう。

ただし猫が卵黄を一度に多く口に含むと、喉に詰まらせてしまう可能性もありますので、食べさせる前に細かく砕いてあげてくださいね。

まとめ

卵の上の子猫

今回紹介させていただいた食べ物はどれも全部「しっかりと加熱すれば食べさせても問題ない」食べ物ばかりです。

ですが消化しにくい食べ物もありますので常食には適しませんし、食べさせる場合も「小さく切り分けること」が前提となります。

また食べさせるために調理する際は、本当に「焼くだけ」「ゆでるだけ」で人間用の調味料などは一切使わないようにしましょう。

イカ・豚肉・卵はいずれも「加熱すれば食べても問題ない」とは書きましたが、猫によってはアレルギーを持っていたり、嘔吐や下痢などの消化器症状が出てしまったりする可能性もあります。

初めて食べさせる時には、様子を見ながら少量を与えるのが良いでしょう。

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