「あの日を忘れない」これからに繋がる防災対策について〜猫の同行避難と備え〜#知り続ける

「あの日を忘れない」これからに繋がる防災対策について〜猫の同行避難と備え〜#知り続ける

風化が懸念されている3.11。今の私達には教訓を生かし、進化していくことが求められています。今回は改めて考えたい、人と猫の防災対策や避難について詳しく紹介いたします。

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「過去のもの」にしてはいけない3.11

奇跡の一本松

日本中を震撼させた東日本大震災(以下3.11)から11年。毎年3月になると記憶が蘇る人も多いでしょう。しかしその時期が過ぎてしまうと、どこか過去のものになりつつあります。

現在ではあの震災を知らない世代も増え、風化が懸念されています。自然災害とは不思議なもので、忘れた頃にやって来るものです。先日も宮城・福島が最大震度6強の地震に襲われました。

日本が島国である以上、あの恐怖を忘れてはならないのです。「あの日」を悲劇では終わらせず、今一度防災に対する意識を持つことが求められているのではないでしょうか。

今回は人と猫の防災対策や同行避難について、環境省の「人とペットの防災対策ガイドライン」を参考にご紹介していきたいと思います。

地震が来たら…飼い主の安全確保と同行避難

不安そうな猫

猫と一緒に被災したら、何をしなければならないかご存知でしょうか。ここでは冷静にやってほしいことや同行避難について、「ねこちゃんホンポ」が実施したアンケート結果(対象1072人)を交えながら紹介いたします。

飼い主さんの安全確保

地震が発生したら、何よりも優先して飼い主さんの身の安全を確保してください。一見すると冷たく感じる言葉ですが、これが愛猫を守る第一歩に繋がります。

猫は本能的に安全だと思う場所に隠れることができます。しかし、猫だけで震災を乗り越えることはできません。

必ず飼い主さんの手助けが必要です。揺れが収まった後、愛猫のために動けるのは飼い主さんだけです。そのためにも、ご自身が無事でいられるように努めてください。

避難するか自宅に留まるか

震度6レベルの地震が発生すると、すぐに避難しなければならないと思っていませんか?もちろん避難指示があればそうですが、倒壊や津波の恐れがない場合は自宅に留まることも可能です。(在宅避難)

猫にとっては慣れない避難所に行くよりも、自宅にいるほうが気楽です。何があっても飼い主さんと一緒なので、被害状況を見て判断してください。

在宅避難を選んでも、避難所で支援物資を受け取ることができます。だから安心してください。

避難する場合は「同行避難」が基本

「ペット可」の避難所では、猫を連れて避難所に行くことができます。しかし、居住スペースは別々になることが基本です。これを「同行避難」といいます。

環境省のマニュアルにおいても同行避難が原則とされています。しかし、実際の対応は各自治体に委ねられているのが現状です。だから、事前に把握しておかなければなりません。

ところで皆様は、どこの避難所がペットを受け入れているかをご存知でしょうか?アンケートで「把握している」と回答したのは182人(17%)、「把握していない」という回答は890人(83%)でした。

把握できていない人が多いのは、個人の意識の問題だけではないでしょう。事前に確認する重要性をもっとアピールすべきではないでしょうか。(動物病院にポスターを掲示するなど)

また、ネットが苦手な高齢者のためにも自治体が発行する冊子や、回覧板などでも分かりやすく提示する必要があると思います。

車中泊は最終手段に

車中泊には、気兼ねなく過ごせるという利点があります。しかしその一方で、熱中症・エコノミークラス症候群・猫の脱走などのリスクがあります。あくまでも車中泊は、最終手段に留めておくことをおすすめします。

事前に備えたい防災グッズと迷子対策

猫の防災対策

災害現場では何事も「人」が優先されます。猫の防災グッズは必ず揃えておきましょう。また災害は、時を選ばずにやって来ます。万が一を考慮して迷子対策をしておくことも重要です。

ここでも環境のガイドラインおよび、「ねこちゃんホンポ」のアンケート結果を交えながら、詳しく紹介いたします。

優先して揃えたい防災グッズ

  • フード(特に療法食)5日分
  • 飲料水(猫の分は確保しにくいため)5日分
  • 常備薬5日分
  • 簡易トイレと猫砂(紙での代用可)
  • キャリーバッグやケージ(ハーネスとリードもあれば便利)
  • 洗濯ネットやブランケット(猫が安心するため)

移動に必須なキャリーバッグに関しては820人(約77%)が「持っている」と回答し、「持っていない」という回答は252人(約23%)でした。通院時にも使用できるため、持っている人が多いのでしょう。

防災グッズに関しては「備えている」が277人(約26%)、「備えていない」が795人(約74%)という結果でした。備えが必要・重要であるとは分かっていても、「具体的に必要なものが分からない」というケースもあるのではないでしょうか。

猫砂は他のものでも代用できますが、普段使用しているものを混ぜてあげると安心します。トイレの中から一部取り出しておくと良いでしょう。

キャリーバッグに慣れておこう

キャリーバッグは常に身近なところに置いておき、慣れておくと便利です。扉を開けておいて寝床にしたり、トンネル遊びをさせておくと「楽しいもの」「安心できるもの」という認識を持ってもらえます。

家猫にも迷子対策を

完全室内飼育が主流である現代、迷子対策はあまり馴染みがないかもしれません。

アンケートでは「迷子札、またはマイクロチップは着けていますか?」という質問に対して、次のような回答が得られました。

  • つけてない:612人(約57%)
  • 首輪or迷子札:56人(約5%)
  • マイクロチップ:48人(4.5%)
  • 首輪or迷子札、マイクロチップ両方:40人(3.7%)

圧倒的に「つけていない」というご意見が多かったようです。

災害時は、驚いて逃げてしまう可能性や室内で行方不明になる可能性が考えられます(3.11においても多数寄せられたご意見)ので、万が一に備えて迷子対策をしておくようにしましょう。

紛失する恐れがないのはマイクロチップですが、装着に抵抗がある場合は「名札付きの首輪」に慣れさせておくと良いでしょう。

ワクチン接種・不妊手術も重要

避難所では、多数の猫や犬と生活を共にすることになります。ケージ越しとはいえ、ワクチン接種を済ませておくと安心です。

また、避難する前の段階ではぐれてしまった場合に懸念されるのが繁殖です。事実、3.11でも野良と化した猫・犬の繁殖問題が発生しました。

避妊・去勢手術も前向きに検討してみてください。防災対策だけではなく、前立腺腫瘍や乳腺腫瘍の予防にも役立ちます。

避難所生活で気をつけたいこと

ケージに入る猫

避難所では被災者が身を寄せ合って生活します。猫が苦手な方や、アレルギーのある方への配慮を忘れてはなりません。ここからは、避難所生活で注意してほしいことを紹介いたします。

避難所のルールを守る

ルールや禁忌事項は避難所によって異なります。各避難所の決まりを守るようにしましょう。

特にペットに関するルールを守ることは大切です。マナー違反をする飼い主さんが出てしまうと、同行避難自体が禁止になってしまう恐れがあります。

「におい」に気をつける

猫は体臭がほとんどない動物です。その代わり、排泄物からは強烈な臭いが放たれます。慣れない人にとっては悪臭に感じてしまうことがあるので、においの管理に気を配りましょう。

愛猫の健康管理やお世話は飼い主さんが行う自助の姿勢が基本になりますが、動物連れの飼い主さん同士が手を取り合う共助の姿勢を持つことも大切です。

積極的に声をかけあって、同行避難がポジティブなものになるように動いていきましょう。

猫のストレスケアをする

慣れない環境では猫のストレスケアも欠かせません。こまめに猫の居住スペースに足を運び、声をかけたり撫でてあげましょう。愛猫と触れ合うことは、飼い主さんご自身のストレスケアにも繋がります。

また3.11被災中は、「愛猫の存在が心の支えになった」という飼い主さんがおられました。お互いに「欠かせない存在」となれるよう日頃から信頼関係を築いておくことも大事ですね。

避難訓練(シュミレーション)をしておこう

ハザードマップの確認

避難訓練(シュミレーション)をしておくことも重要です。実際にやってみてほしいことや、ポイントとなる点を紹介いたします。

参考にしたい素晴らしい取り組み

宮城県仙台市では、11年前の震災を機に同行避難を想定した避難訓練を実施。仙台市動物管理 センターや仙台市獣医師会、ボランティアの協力を得て、実際の動物を入れた本格的な内容となりました。

この素晴らしい取り組みは、今後全国に拡がってほしいものです。仮に同行避難を想定していないものでも、参加する意義はあると思います。地域の避難訓練に関心を持ってみてください。

家族会議を開いておく

万が一の時の連絡手段や集合場所、各自持っていく荷物の確認など、定期的に家族会議を開いておきましょう。避難中の愛猫のお世話に関しても、家族内で中心となる人物を決めておくと良いでしょう。

実際に荷物を持って移動してみる

キャリーバッグに入れた愛猫を含め、実際の荷物を持って移動してみましょう。持ち方の工夫や改善点を修正しておくと、有事の際に慌てずに済みます。

当日は最低限のものだけを持って行けるように準備しておいてください。追加で持ち込むものは、玄関や物置などに収納しておくと便利です。

猫をできるだけ人馴れさせておく

猫は犬のように躾ができない動物です。しかしトイレは一定の場所でできる習性があるので、簡易トイレに慣れておけばカバーできるでしょう。

猫の課題になりやすいのは人馴れです。無理に知らない人と対面させる必要はないですが、時々人を招いて知らない人がいる雰囲気だけでも慣れさせておくと良いでしょう。

ご時世柄、今は厳しいかもしれませんが機会があれば是非行ってみてください。

愛猫のデータを用意しておく

猫が逃走したり迷子になった際のために、愛猫に関するデータを用意しておきましょう。ここはシンプルに読める紙媒体がおすすめです。

次のようなことを記録しておきます。

  • 愛猫の名前
  • 飼い主さんの氏名と連絡先
  • 愛猫の性格や身体的特徴
  • 病歴や服用している薬、気にかけてほしいこと
  • 好きなフードやおやつなど

これらの記録に加え、愛猫の写真(あらゆる角度から写したもの、飼い主さんのとツーショット)を添えて防災グッズの中に入れておきましょう。

まとめ

抱きしめられる猫

11年前の3.11は、私達に大きな衝撃と爪痕を残しました。今でもその傷に心を痛めている方を置き去りにしてはなりません。その一方で教訓を生かし、次に繋げる動きも、あの日を知る者の大切な勤めになります。

今回は、「改めて考えたい、人と猫の防災対策と避難について」を紹介いたしました。最も重要なことは飼い主さんが無事に生き延びることです。常に「愛猫を守れるのは自分だけ」という意識を持っていてください。

ここで取上げた内容は、環境省の「人とペットの防災対策ガイドライン」にも詳しく掲載されています。避難の際に必要なものや、日頃の備えなどの項目はとても役に立つのでぜひ読んでみてください。

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