猫のシニア期
現在、猫の平均寿命は15歳程度です。
成猫になってからは人間の約4倍の速さで年をとっていき、7歳頃からシニア期に入るといわれています。
猫の7歳は、人間の年齢に換算すると44歳程度です。
まだまだ働き盛りではあるものの、だんだんと体力や視力の低下などを感じ始め、「そろそろ年かな…」と自覚し始める頃ではないでしょうか。
人間の場合、若い頃にあまり自らの健康を顧みず、暴飲暴食を繰り返したり健康管理をおろそかにしたりしていると、老化を早めてしまうことに繋がります。
猫も同様です。飼い主さんの愛情が深くても、悪気なく行っていた行為や習慣が、愛猫の老化を早めてしまう危険があることを知っておきましょう。
猫の老化のサイン
危険な行為をご紹介する前に、基礎知識として猫の老化を示すサインについて知っておきましょう。
猫がどういうところから老化していくのか、また老化によって体の状態がどのように変化していくのかを知っておくことは、愛猫の老化の速度を和らげたり、老後の暮らしを楽にしてあげるためのヒントになります。
<猫の老化のサイン>
- 毛並みや毛艶の状態が悪くなる
- 寝ている時間が長くなる
- 足腰が弱って段差が苦手になり、高い所にジャンプできなくなる
- 視覚、聴覚、嗅覚などの感覚が低下する
- 食欲が減ってくる
- 歯周病になる、または悪化する
- 粗相や夜鳴きをするようになる
猫の老化を早めるかもしれない危険な行為
1.栄養バランスの悪い食事を与える
猫のために作られたフードをキャットフードといいますが、キャットフードなら何を食べさせても良いというわけではありません。
子猫には子猫に、成猫には成猫に、老猫には老猫に適した栄養バランスがあります。
それを無視していると、愛猫の健康に悪影響を及ぼし、結果として老化を早めてしまうことに繋がります。
愛猫の年齢ステージや健康状態に合わせて、適宜フードを切り替えていくことが大切です。
2.肥満にさせる
人間と同様に、肥満は猫にとっても万病の元です。肥満は、愛猫を糖尿病や脂肪肝、関節炎などの病気に罹りやすくします。
病気を持っていることは老化の速度を早め、また老後の生活の辛さを増やすことになりますので、肥満にさせないことが大切です。
フードの袋に給餌量が記載されていますが、あくまでも目安です。
定期的に愛猫の体重を計測し、適した給餌量をみつけてあげましょう。
3.十分に眠らせない
安心して十分な睡眠がとれない環境は、猫の老化速度を早めます。
猫は、基本的には単独で生活する習性を持っています。
そのため、自分の縄張りをとても大切にし、縄張りの外に出ると不安でたまらなくなります。
愛猫にとっての縄張りは、飼い主さんの家です。猫は、飼い主さんと同じ縄張りを共有して暮らしているのです。
愛猫が安心して一人で過ごせる場所や寝床を複数箇所用意し、かつ部屋の模様替えなども必要最小限に留めるようにしましょう。
4.十分に運動する機会を与えない
猫は1日の大半を寝て過ごしています。これは狩りをするための体力を温存するための習性です。
狩りの必要がなくなった現代の猫達も、体のつくりはハンターのままです。
そのため毎日しっかりと運動をさせないと、体にも精神的にも悪影響を及ぼし、老化速度を早めてしまいます。
長時間の運動には向いていないので1日15分程度の運動を時間をあけて、何度かはおもちゃを使って狩りごっこをしてあげましょう。
5.退屈な生活をさせる
猫には、知的刺激も必要です。
忙しい飼い主さんの場合、1日の殆どが留守で、帰宅後もすぐに寝床に入り、また出勤するといった生活になりがちです。
在宅時はなるべく愛猫とコミュニケーションをとる時間をつくり、留守番時にもなるべく刺激を与えられるような環境を用意しましょう。
外の様子を眺められる窓辺を提供するのも、解決策の1つです。
6.老化のサインを無視してこれまで通りの生活を続ける
愛猫がシニア期を迎えて老化のサインが出始めているのに、それに気付かずに今まで通りの生活を続けていると、愛猫の老化はますます進んでいきます。
毛艶が悪くなってきたらブラッシングの頻度を上げる、足腰の筋力低下が目立ってきたら段差を減らしたり入口が低いトイレを探したりするなど、愛猫のその時々の状況に合わせて環境を整えましょう。
そうすれば、愛猫が自力で生活できる期間を延ばせるでしょう。
まとめ
猫に適した飼育方法や良質なフードが普及し、獣医療が発達した現在、猫の平均寿命は延びる一方です。
それはつまり、猫の老後の生活期間が長くなるということでもあります。
動物である以上、老いは避けられません。
しかし、心身の健康や生活習慣に気を付けることなく暮らしていると、老化を早めてしまうことに繋がります。
愛猫に、1日でも長く健康で幸せに暮らしてもらうためには、老化を早める危険な行為を知り、それを避けるための工夫が必要です。