1.不凍液
車のエンジンを冷やす冷却水が凍らないようにする「不凍液」。
これにたくさん含まれているのが「エチレングリコール」です。
エチレングリコールは少し甘みのある無色無臭の液体で、飲むと毒性のある薬品です。
分かりやすく着色されているものも多いのですが、猫にはそれが分かりません。
誤ってこぼれた液が水たまりに混ざったり、身体にかかったりしても、抵抗なく舐めて身体に取り込んでしまうのです。
2.保冷剤
「エチレングリコール」は凍らないジェルタイプの保冷剤にも使われています。
何かの弾みで中身が出て、それが口に入ると大変なことが起こります。
まずエチレングリコールは、体内に入るといろいろな化学物質に変化します。
そのうちの1つシュウ酸が腎臓でカルシウムと結びくと、結石の1つ「シュウ酸カルシウム」に変化し、腎不全を起こしたりカルシウム不足から神経麻痺を起こしたりするのです。
そして最悪の場合、愛猫の死につながります。
3.湿布薬
湿布に含まれる中毒物質は「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」です。
NSAIDsには様々な種類があり猫さんでも鎮痛薬として使うことがありますが、獣医療では猫さんでも安全に使用できる成分を使用しています。
その中でも人に使われているNSAIDsの中には猫がうまく代謝できず中毒を起こすものがあります。
解熱剤や頭痛薬にも使われている薬効成分で、人にとっては貼るだけでなく飲んでも使える、とてもありがたい薬です。
しかし猫の身体はこの成分をうまく利用できません。
においに釣られて湿布を舐め、死亡する事故が起きています。
メントール系のにおいが好きな猫には、かなり危険な日用品だといえるでしょう。
4.育毛剤
育毛剤の有効成分「ミノキシジル」はもとは血圧を下げる薬です。
血管を拡張する性質が髪の毛に効いたので、育毛にも利用されるようになりました。
しかし血管に強く作用するので、副作用が出る方もいます。
特に妊娠中は胎児の心臓に負担をかけるため、妊婦は使用を控えるよう指導されるほど。
そんな薬を胎児とそれほど大きさの変わらない猫が舐めれば、心臓がオーバーワークを起こし、あっという間に危機的状況に陥ってしまいます。
飼い主さんの髪や頭皮を舐めるのが好きな猫がいる家は、注意した方がいいでしょう。
まとめ
化学薬品の中には触れるのは平気でも、口にするとするとよくないものがたくさんあります。
そして猫には身体を舐めてきれいにする習性があり、こぼしたり踏んだりしたものを簡単に体内に取り込んでしまいます。
しかもここに挙げた3つの薬品は、人体に影響がないわけではありません。
こぼさないようにすることや、手についたらすぐに洗い流す習慣を付けることなどで、猫と自分の健康を守っていきましょう。