猫も『憂鬱(ゆううつ)』になることがある?5つの原因と対処法

猫も『憂鬱(ゆううつ)』になることがある?5つの原因と対処法

何となく気分が晴れない、何もする気が起こらない。これらの憂鬱感は、猫にも起こり得るものです。今回は、猫が直面する憂鬱(うつ状態も含む)について詳しく解説いたします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫も落ち込むことがある?

雨を眺める猫

猫は気持ちの切り替えが早く、どちらかといえば前向き思考な動物というイメージがありませんか?

確かにそういう面はあるのですが、猫も落ち込んでしまうことがあります。

うつ病こそないものの、何となく気持ちが沈んでしまう憂鬱(ゆううつ)な気分を抱えることがあるのです。

酷い場合は、うつ病に似た症状が出ることもあります。

憂鬱になる原因

隠れる猫

猫が憂鬱になる原因は何なのでしょうか?

日常に潜む5つ原因を紹介いたします。

1.急激な環境の変化

春は変化が多い季節です。

これまで学生だった飼い主さんが社会人になったり、異動や昇進による環境の変化があったり、引越しをする方もいらっしゃるでしょう。

一見すると猫には直接関係なさそうものもあるのですが、この些細な変化がストレスになります。

慣れない環境で疲れている飼い主さんの雰囲気や、生活リズムの変化を猫も感じ取ることができるのです。

2.同居動物が増えた(折り合いが悪い)

猫にとって、新たな仲間の登場は予想外の変化です。最初は部屋を分けていても、何となくソワソワするものです。

これも立派な環境の変化なので、これまでとは異なる行動を取ることもあり得ます。

何よりも大変なのは、折り合いが悪い場合です。猫は元々単独で生活する動物なので、しっかりと相性を見極めなければなりません。

新しい家族を迎える際は先住猫の性格をよく考慮し、トライアルを設けている団体から受け入れるようにすると良いでしょう。

3.家族構成の変化

1番目の変化に似ていますが、家族構成が変わる際も注意が必要です(結婚や出産など)。

愛猫が実家猫にならず、一緒にパートナーの元へ行く際は、事前に会わせてあげましょう。

少しずつ慣れてもらうことが大切です。

4.刺激のない生活

猫は環境の変化が苦手な一方で、刺激がなさすぎる生活も無気力につながってしまいます。

窓際にキャットタワーを置いたり、狩猟本能をくすぐるような遊びを取り入れてあげましょう。

5.同居動物との別れ

単独行動が基本の猫ですが、人と暮らし慣れた猫は同居動物とも仲良くなることができます。そうなると気がかりなのが死別です。

人間でも心がえぐられるような体験ですが、それは猫も同じです。

同居動物とのお別れを機に、体調や行動に変化が表れることも珍しくありません(うつ病のような状態になることもあります)。

具体的な症状と対処法

診察を受ける猫

猫がうつ病のような状態になると、どのような症状が表れるのでしょうか。

具体的な症状と対処法について紹介いたします。

主な症状

  • 食欲不振
  • 下痢
  • お気に入りのものに興味を示さなくなる (無気力無関心)
  • 落ち着きがなくなる(常にソワソワしている)
  • 飼い主さんの後をやたらと追ってくる
  • 過度なグルーミング
  • 攻撃的になることも

身体的な症状や無気力・無関心などは、人間のうつ病と類似しています。

特にポイントとなるのが、これまで好きだったものに全く興味をなくす行動です。

過度なグルーミングは、猫特有の症状です。

特に舐めやすいお腹や内腿付近を集中的に舐めるようになります。

動物病院に相談する

人間もそうなのですが、うつ病のような症状は体の病が原因で起こることがあります。

まずは動物病院に相談し、体の病のチェックを受けましょう。診断結果に見合った治療が必要です。

精神的に不安定な状態と診断された場合も、精神的にリラックスできるようなサプリメントを処方してもらうことができます。愛猫の症状に合わせて必要な薬やサプリメントを処方してもらいましょう。

環境を整えることが一番大事

憂鬱な気分やうつ状態は、薬の力だけでは治せません。あくまでも薬は補助的な役割です。

最も重要なのは、ストレス要因の排除や環境の整備です。できることから少しずつ改善していきましょう。

まとめ

悲しい目の猫

猫も憂鬱になったり、場合によってはうつ病のような状態になることがわかりました。

その引き金は、環境の変化や同居動物との別れなどによるストレスが主な要因です。

気分の落ち込みや攻撃的な行動、ソワソワした動きを緩和させる効果が期待できる薬があります。

改善に向けたアドバイスもしてもらえるので、必ず獣医さんに相談しましょう。

ある程度治療方針が決まったら、できることから少しずつ改善してあげましょう。

飼い主さん自身の心の負担を軽くする意味でも、ひとりで悩まないでくださいね。

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