アボカドってどんな果物?
アボカドは、ギネスブックに「世界一栄養価の高い果実」として登録されています。
全体の20%が脂質で、ねっとりとした食感もあることから「森のバター」とも呼ばれています。
脂質の大部分は、植物性不飽和脂肪酸のリノール酸やオレイン酸。
そのため、コレステロールの心配はなく、逆に分解を促進するため動脈硬化などの成人病予防に効果が期待できます。
タンパク質含有量も非常に多く、豊富な必須アミノ酸により肝臓病予防などにも効果的です。
ビタミンEの含有量も果物の中ではトップクラスで、抗酸化作用による老化防止に役立ちます。
ビタミンB群、食物繊維、ミネラルなどもバランス良く備えている食材です。
甘味や酸味がないため、醤油をつけたりサラダにしたりといった食べ方が多い食材で、観葉植物としても人気です。
このように身近なアボカドですが、実は猫に与えてはいけない食材に分類されています。
今回は、その理由をご紹介します。
猫にアボカドを与えてはいけない理由
1.消化不良を起こすリスク
猫は完全肉食性の動物です。そのため、本来は果物を食べることがありません。
したがってアボカドに限りませんが、果物を食べることで消化不良を起こしてしまい、下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。
2.ラテックス・フルーツ症候群を起こすリスク
アボカドやバナナ、キウイに含まれるタンパク質は、ラテックスタンパク質に構造がとても良く似ています。
「ラテックスタンパク質」とは、天然ゴムの中に含まれる成分です。
皮膚との接触で赤みやかゆみ、じんましんなどの皮膚障害や、場合によっては血圧低下や意識障害等のアナフィラキシーショックも引き起こすようなアレルゲンとして知られています。
アボカドのようにラテックスタンパク質とよく似た構造のタンパク質を持つ果物を食べると、ラテックスアレルギーとよく似た症状が起こることがあり、これを「ラテックス・フルーツ症候群」といいます。
3.ペルシンによる中毒を起こすリスク
猫にアボカドを与えてはいけない最大の理由が、「ペルシン」という殺菌作用のある成分が引き起こす中毒発症のリスクです。
ペルシンは比較的最近発見された毒素で、解明されていないことがまだ多いのが現状です。
人間には無害ですが、猫やハムスターなどの動物に対しては中毒を引き起こし、死亡例の報告もあります。
猫の場合、初期症状として下痢や軟便、嘔吐が現れ、重症化すると呼吸困難やけいれん発作があらわれます。
ペルシンは、果実だけでなく葉や茎、種子にも含まれるため、観葉植物としてアボカドを観賞用に栽培する場合も十分な注意が必要です。
実はアボカドは非常に多くの種類があり、毒性の程度も様々です。アボカドが含まれているキャットフードもありますが、ペルシン含有率の低いアボカドを使用しています。また、加工の段階で何らかの処理をしているのではないかと思われます。
4.種子の誤飲による腸閉塞などのリスク
猫は、遊んでいる時におもちゃを誤飲することがあります。
アボカドの種子も、おもちゃにして遊び、飲み込んでしまうことがあります。
食道に詰まって呼吸困難に陥ったり、腸に詰まって腸閉塞を起こすリスクが高く、非常に危険です。
猫がアボカドを口にしてしまった場合の対処法
愛猫がアボカドを口にしてしまった場合の対処法は、主に下記の3つです。
- 様子を見る
- 吐かせる
- 点滴を打ち症状を緩和する
基本的に、猫がアボカドを食べても重篤な症状に進行することはあまり多くはありません。
しかし、猫の体質や摂取したアボカドの部位、摂取量によっては重症化することもあり、死亡事例もあります。
また、ペルシンの解毒剤も存在しません。
摂取した量が少量でかつ猫がアレルギーを持っていないと分かっている場合は、しばらく様子を見ましょう。
猫が自ら吐き出したり、便と一緒に出るのを待っても大丈夫です。
しかし、アレルギー持っている場合やアレルギーの有無がよくわからない場合、または摂取量が多い場合は、すぐに動物病院で診てもらうことが大切です。
アボカドを摂取して1〜2時間以内であれば、病院でアボカドを吐かせるための催吐処置をしてくれるでしょう。
それ以上の時間が経過している場合は、点滴を打って症状を緩和させることしかできません。
吐かせることができるのは1〜2時間以内なので、その間に動物病院につれていくことが大切です。
猫がアボカドを口にしないための予防策
最も確実な予防策は、家の中にアボカドを持ち込まないことです。
しかし、人間にとっては栄養価の高い身近な食材ですし、どうしても食べたいという飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
その場合は、以下のことに注意する必要があります。
- 決して猫に与えない
- 猫の手の届く場所に置きっぱなしにしない
- 食材にしない皮や種子も猫に触れさせない
ゴミ箱も、できれば蓋付きのものを使うようにしましょう。
観葉植物として観賞用に栽培したい方は、猫が入れない部屋でのみ栽培するなどの工夫が必要です。
まとめ
アボカドは栄養価が高く、かつ健康のためにも様々な効用が期待できる食材であり、人間にとってはとても身近な食材です。
しかしアボカドに含まれるペルシンという成分は、猫などの動物に中毒症状を引き起こす有害な毒素となります。
アボカドにはとても多くの品種があり、品種ごとにペルシンの含有量が異なります。
日本で流通している殆どの品種はグアテマラ系のハス種という早熟性の品種で、ペルシン含有量が高いため猫には危険な品種です。
アボカドは、果実だけではなく葉や茎、種子にもペルシンが多く含まれています。
果実はもちろん観葉植物のアボカドも含めて、猫に食べさせたり誤飲させたりしないように、十分な注意が必要です。