猫のフードに『穀物』は必要?穀物入り・グレインフリーのメリット&デメリット

猫のフードに『穀物』は必要?穀物入り・グレインフリーのメリット&デメリット

キャットフードについて、「総合栄養食を食べてもらえば安心」という考えもあれば、「完全肉食性の猫に穀物を与えるのはよくない」という考えもあります。完全肉食性とはどういうことなのか、なぜ猫のフードに穀物を入れるのか、または入れないのかについて、解説します。正しく知ることで、愛猫に適したフードを選んであげましょう。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

完全肉食性の猫の体の特徴

獲物を狙う猫

完全肉食性の猫は、人や犬のように、野菜や穀物などの草を食べる必要は、基本的にはありません。

そのため、猫の体は獲物を捕食し、消化することに特化したつくりをしています。

例えば、皮を剥いだり毛をむしったりする切歯、獲物の息の根を止める犬歯、肉を飲み込める大きさに切り裂くための臼歯と、すべての歯が肉を食べるために適した形状をしています。

また唾液の炭水化物を分解する「アミラーゼ」の活性が人に比べ極端に低い(ほぼ含まれていない)のです。

植物を分解・吸収する腸は非常に短く、植物のセルロースを分解、吸収する盲腸も、小さすぎてほとんど機能していません。

完全肉食性の猫は、肉や魚のタンパク質を糖分に変えてエネルギーにできるため、穀物を食べなくても生きていけるのです。

猫に必要な栄養素

魚を咥えた猫

「猫は完全肉食動物。だから猫のフードに穀物は要らない」という考え方があります。

しかし、本当にそうでしょうか。

完全肉食性とは、精肉売り場に並んでいる切り身のお肉だけを食べているということではありません。

実際に野生の猫達が食べているのは、ネズミや鳥、魚などの獲物まるごと1頭です。

血液や内臓に残っている中身までを含めて、まるごと食べることで、生きていくために必要な栄養素を摂取しているのです。

完全肉食性だからといって、切り身のお肉だけを与えるのが理想の食事だと思うと、間違った栄養管理をしてしまいます。

猫に穀物は必要か?

猫と穀物

私達人間の食事は、お米や小麦などの穀物を主食にしています。

穀物の主成分は炭水化物で、デンプンからできています。しかし私達人間は、デンプンをそのままの状態で消化することはできません。

水と熱を加えて糊化させることで、消化できるようにするのです。米を炊いたり、小麦粉を練ってパンや麺に加工するから、消化できるのです。

実は猫たちも同じで、糊化したデンプンなら消化することができます。

キャットフードに使われている穀物は、全て加水・加熱処理をされています。猫にも消化できる状態に加工されています。

ただ、完全肉食に適した体のつくりから考えると、穀物の割合が多すぎると負担がかかりすぎてしまうということなのです。

むしろ穀物や野菜類なども適切なバランスで摂ることで、肉や魚だけからでは得られない、猫が生きていくために必要な栄養素を賄う事ができるのです。

猫は炭水化物をあまり必要とはしませんが、炭水化物を分解するとできる糖は、体内で優先的に使われるエネルギー源となります。

授乳期の母猫には、とても有効な栄養素になります。

多くのタンパク質を消化するためには、腎臓などの臓器に負担がかかります。

そのため、穀物が適度なバランスで含まれているフードは、内臓の機能が低下している高齢猫の健康維持に役立ちます。

さらに、穀物には食物繊維が豊富に含まれているため、適度なバランスであれば腸内環境を整える効果や長毛種などの毛玉の排出効果も期待できます。

猫の食事は「肉・魚:穀物:野菜=7:2:1」であるとか、デンプンの量は乾物量で食事の40%程度までなど、穀物の適切量に関しては諸説あります。

現在市販されている一般的なキャットフードは、炭水化物量20〜35%程度で作られているものが多いようです。

猫の食物アレルギー

肉と猫

また、穀物は猫に食物アレルギーを起こしやすいという誤解も多いようです。

アレルギーは、タンパク質を異物と認識した免疫系が、そのタンパク質を攻撃して体の外に出そうとする反応により起こります。

穀物にもタンパク質が含まれているので、穀物アレルギーを持っている猫もいます。

しかしそれ以上に多いのが、牛肉や鶏肉に対するアレルギーです。

アレルギーは、長く食べ続けてきた食材に対して出やすくなります。穀物だからリスクが高いということはありません。

いずれにしろ食物アレルギーの猫には、アレルゲンとなる食材が含まれないフードを与えることが大切です。

穀物入り・グレインフリーのメリット&デメリット

キャットフード

ここまでの説明を、穀物入りフードとグレインフリーフードのメリット、デメリットの形に整理します。

穀物入りフードのメリットとデメリット

穀物の含有量が適正範囲内である場合、穀物入りフードには下記のメリットとデメリットがあります。

<メリット>

  • 高齢猫や授乳期の母猫、特定の持病がある猫に、負担が少なく優先利用できるエネルギーを供給できる
  • 毛球症リスクの高い猫への毛玉排出効果や、腸内洗浄効果を期待できる

<デメリット>

  • 穀物アレルギーのある猫には与えられない
  • 穀物の含有量が多すぎる場合は、猫の消化に負担を与える

穀物不使用(グレインフリー)フードのメリットとデメリット

グレインフリーフードのメリットとデメリットは下記の通りです。

<メリット>

  • 穀物アレルギーのある猫にも与えられる

<デメリット>

  • 穀物を使わないため原材料にコストがかかる
  • 高齢猫や慢性腎不全等の猫には負担が大きい

まとめ

ボウルの前の猫

猫は完全肉食性のため、デンプンを消化することが苦手です。

しかし、キャットフードに含まれているデンプンのように糊化すれば、消化できるようになります。

穀物を原材料に使用することで、猫の生存に必要な栄養を摂ることができたり、高齢猫にも負担をかけずに消化できたりと、メリットもあります。ただし、穀物アレルギーのある猫には与えられません。

また生きた野生動物をそのまま食べている猫と、加工されたフードを食べている猫とでは摂取できる栄養素に大きな違いがあります。

このように、猫は完全肉食性だからという理由だけで穀物を使用しているフードを排除することは、理に適っていません。

穀物が使用されている理由、使用されていない理由を知ることで、愛猫の体にあったフードを選んであげることができるでしょう。

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