猫の『甲状腺機能亢進症』ってどんな病気?主な症状・原因・治療法2つ

猫の『甲状腺機能亢進症』ってどんな病気?主な症状・原因・治療法2つ

多くの人が罹患する甲状腺機能亢進症。人ではバセドウ病とも呼ばれています。猫も、7歳以上のおよそ10%が甲状腺機能亢進症に罹患していると言われています。それでは、身近な甲状腺機能亢進症について見ておきましょう。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

甲状腺機能亢進症とは?

見上げる猫

甲状腺機能亢進症は人では「バセドウ病」ともよばれています。こちらの呼び名の方が聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

成長を促したり、代謝を高める役割のある甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう病気です。

この病気は猫でもよくみられる疾患の一つです。

バセドウ病の「バセドウ」の由来は、研究発表をしたドイツ人医師の名前です。

海外ではグレーブスというイギリス人医師の名前が使われていることが多いようです。

どのような症状?

食欲旺盛な猫

初期の症状は、猫が活発になるため、病気と感じられないことがあります。しかし、進行すると元気がなくなっていきます。

食欲は旺盛になりますが、体重は減っていきます。同じように水も多く飲み、オシッコも多量に出るようになるでしょう。

やたらと動き回り落ち着きがなくなります。攻撃的になったり、甘えるようになったり、大声で鳴きわめくことも増えてきます。

見た目には、毛艶が悪くなり脱毛も見られます。呼吸が速くなることも、嘔吐や下痢が見られることもあるでしょう。

原因は何?

治療を受ける抱かれる猫

甲状腺の過形成や腫瘍によって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになることが原因です。

なお、7歳以上の高齢の猫でよくみられることから中高齢の猫ちゃんと暮らしている飼い主さんはきをつけましょう。

健康診断や猫の様子から血液検査を行い、病気を発見されることが多いようです。

甲状腺機能亢進症だけではなく、同時に心臓や腎臓に疾患を抱えているケースもあります。

1.内科的治療法とは?

手から薬を飲む猫

内科的治療には内服薬と食事療法、二つの方法があります。

甲状腺ホルモンの分泌を抑える内服薬を、一生涯飲み続けなくてはなりません。

ただし、投与量が多いと「低下症」になってしまう危険性もあります。

投与量の微調整や副作用に注意しなければならないため、定期的な血液検査も必要になります。

甲状腺ホルモンの元となるヨウ素を抑えた食事療法も用意されていますが、このフードと水以外絶対ほかのものを食べてはいけない、という厳しい制約がありますのでなかなか難しいかもしれません。

2.外科的治療法とは?

注射を打たれる猫

一般的ではないですが、甲状腺ホルモンを分泌する「甲状腺」を摘出する手術も治療の一つとしてはあげられます。

一般的ではないですが、甲状腺ホルモンを分泌する「甲状腺」を摘出する手術も治療の一つとしてはあげられます「甲状腺の腫瘍が悪性」「内科的治療法で効果がない」などの理由で、外科的治療を取り入れる場合もあります。

甲状腺を全摘出した場合は、甲状腺ホルモン薬を一生涯摂取する必要があります。

全身麻酔を行うため、年齢や体調なども判断材料になります。

まとめ

座って見上げる猫

猫の『甲状腺機能亢進症』ってどんな病気?主な症状・原因・治療法2つについてお伝えいたしました。

私も人間の甲状腺機能亢進症(バセドウ病)に20年近く罹患していました。

毎日2500kcalくらい食べているのに痩せてしまい、脈拍も常に130ほどあり、夜もなかな寝つけませんでした。

血液検査は年に2〜3回行い、投薬によって心臓、腎臓、肝臓に負担がないかも確認していました。

お陰様でメルカゾールという内服薬が身体に合っていたのか、病気を気にしない性格が良かったのか、20年目で完治しました。

猫の甲状腺機能亢進症も完治が難しいです。罹患している猫たちが気持ちよく過ごせるように、人間が環境を整えてあげたいですね。

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