猫の『乳がん』リスクは2歳から!その特徴や原因・治療法・早期発見のポイントを徹底解説

猫の『乳がん』リスクは2歳から!その特徴や原因・治療法・早期発見のポイントを徹底解説

身体のあらゆる臓器には、腫瘍ができる可能性があります。腫瘍には良性と悪性の2種類があり、悪性腫瘍のことを「がん」(種類によっては「肉腫」)と呼びます。猫の乳腺腫瘍の多くは悪性です。そのため、猫の乳腺にしこりを見つけた場合は、乳がんである可能性が非常に高いのです。猫の乳がんについて、特徴や治療法、早期発見のポイントなどを解説します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性の乳がん

猫の母子

乳腺にできる腫瘍のことを乳腺腫瘍といいます。

腫瘍には、良性と悪性の2種類があり、乳腺由来の悪性腫瘍のことを「がん」と呼びます。

がんは細胞が無制限に増殖し、周囲の組織にどんどん広がっていくため、治療が困難なことが多い厄介な病気です。

猫の乳腺腫瘍の場合、その約80〜90%が悪性です。

犬の場合、犬種によりますが乳腺腫瘍の約25~60%しか悪性はないとの報告があります。それだけ、猫の乳腺腫瘍は厄介な病気だといえます。

猫の乳がんは周囲の組織に広がっていく速度が早いため、早期に発見して治療を早く開始することが大切になってきます。

今回は猫の乳がんについて、その特徴や原因、治療法、早期発見のポイントを解説していきます。

猫の乳がんの特徴

お腹を見せる猫

日本における猫の乳腺腫瘍の発生年齢の範囲は2〜22歳と広いです。

一般的に7歳以前の発生は少ない病気だと言われていますが、若くても発生リスクがあるということは覚えておいた方が良いでしょう。

しかし、最も発生リスクが高まるのは10〜12歳です。9歳を過ぎた頃から、乳腺腫瘍に注目した身体チェックを習慣化し、早期発見に務めましょう。

その理由は、しこりがまだ小さい2cm未満の状態で発見し治療を開始できれば、その後の生存期間を長く得られる可能性が高まるからです。

猫の乳がんは、しこりの大きさ、リンパ節への転移の有無、他臓器への転移の有無の3項目で評価され、4つのステージに分類されます。

各ステージの評価内容は、下記の通りです。

<ステージ1>

  • しこりの大きさ:2cm未満
  • リンパ節への転移:なし
  • 他臓器への転移:なし
  • 生存期間中央値=29ヶ月

<ステージ2>

  • しこりの大きさ:2〜3cm
  • リンパ節への転移:なし
  • 他臓器への転移:なし
  • 生存期間中央値=12.5ヶ月

<ステージ3>

  • しこりの大きさ:すべて
  • リンパ節への転移:あり
  • 他臓器への転移:なし

または

  • しこりの大きさ:3cm以上
  • リンパ節への転移:なし
  • 他臓器への転移:なし
  • 生存期間中央値=9ヶ月

<ステージ4>

  • しこりの大きさ:すべて
  • リンパ節への転移:すべて
  • 他臓器への転移:あり
  • 生存期間中央値=1ヶ月

※生存期間中央値はいくつもの研究データが存在し、今回はその一例です。

残念ながら、猫の乳がんの初期リンパ節転移率は20〜42%と高いため、初診の時既にステージ2以降であるケースが多く見られます。そのため、早期発見が鍵となるのです。

猫の乳がんとホルモンバランスの関係

授乳中の猫

猫の乳がんについては、まだ分かっていないことがたくさんあります。

しかし、乳がんの発生率とホルモンバランスに深い関連があることは分かっています。

避妊手術をしていない猫と、特定の月齢で避妊手術を実施した猫を比べると、明らかに乳がん発生率に下記の差異が見られるのです。

  • 6ヵ月齢以前に実施 → 91%低下
  • 7〜12ヵ月齢の間に実施 → 86%低下
  • 13〜24ヵ月齢の間に実施 → 11%低下
  • 24ヵ月齢以降に実施 → 差異なし

このことから、繁殖を目的に飼育するのでなければ、6ヵ月齢以前に避妊手術をすることは、乳がんの発生を高確率で抑止するためにも有効だといえます。

猫の乳がんの治療法

乳がん手術の準備

乳がんの治療法は、外科手術による腫瘍の摘出です。

猫の乳腺は、1列に4個の乳腺が2列、合計で8個あります。その1つ1つに乳がんができる可能性があります。

しかも、猫の乳腺はリンパ管で全てつながっています。実際に、33〜60%は複数の乳腺に発生しています。

そのため、再発防止の意味も含めて、腫瘍が見つかった乳腺単独での摘出ではなく、片側または両側全ての摘出を行うことも少なくありません。

術後のリスクが高いと判定された場合は、抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療を用いることもあります。

人の抗癌剤治療にも用いられることのある薬を使用しますが、猫の場合にも「食欲不振、嘔吐、脱毛、骨髄抑制、臓器障害」といった副作用が起こる可能性があります。

猫の乳がんを早期発見するためのポイント

猫の超音波検査

前述の通り、愛猫へのダメージの大きさを考えると、しこりが2cm未満の小さい状態で発見できるかどうかが大きなポイントになります。

愛猫が9歳を過ぎたあたりから、毎日のお手入れの際に、必ずお腹を優しく撫でながらしこりがないかどうかを確認するようにしましょう。

そして、違和感を感じた場合は、迷わずすぐに、かかりつけの動物病院で診てもらってください。

そのためにも、子猫の頃から体中どこを触っても嫌がらないように、慣れさせておくことが大切です。

また、定期的に健康診断を受診することも大切です。

若い頃は一般的な健康診断と血液検査を中心としたものでも大丈夫ですが、9歳以降の健康診断では、画像検査も行うことをおすすめします。

まとめ

母猫のミルクを飲む子猫たち

猫の場合、乳腺腫瘍を見つけたら、それはほぼ乳がんだと考えても間違いではないでしょう。それぐらい、猫の乳腺腫瘍は悪性率が高いのです。

生後6ヵ月齢以前での避妊手術、定期的な健康診断、9歳以上の場合は画像検査も加えるといった健康管理と、毎日のお手入れでお腹のチェックを行うことを、おすすめします。

なお、乳がんになるのはメスだけだと思われている飼い主さんもおられるかもしれませんが、極稀にですがオスにも発生することがありますので、油断は禁物です。

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