ブルー御三家の一角を担う希少なコラット
ロシアンブルーやシャルトリューは、美しいブルーの被毛が特徴の人気品種です。
そして、タイ原産のコラットを加えた3品種は、「ブルー御三家」と呼ばれています。
この3品種の中でも特に古い歴史を持つ古代種のコラットは、古くから「幸福と繁栄を招く猫」として、タイでは大事にされてきました。それは、今でも続いています。
希少種で、日本ではあまり見かけられないコラットについて、その歴史や特徴、また飼育する際の注意点などについてご紹介します。
コラットの歴史
コラットは古い歴史を持つ猫です。
シャム(現在のタイ)のアユタヤ王朝時代(1350〜1767年)に書かれた、幸運の象徴とされる17種類の猫についてのイラストと詩が掲載されている「Tamra Maew(猫の詩)」という書物に記録が残っています。
その中で、『身体はドクラオのよう。毛並みはなめらかにして、毛の根元は雲のよう。先端は銀色。目は蓮の葉に光る露のしずくのように輝く』と記されています。
ドクラオのドクは花を、ラオはレモングラス、パンパスグラスや葦の花などの、コラットの被毛のようなシルバーがかった色の草を指します。
タイ北東部にあるコラートと呼ばれている地方が原産地だといわれており、それが名前の由来でもあるといわれています。
コラートは花崗岩がむき出しになっている地方で、この環境にシルバーブルーの体色がうまく紛れたことで、内戦続きの厳しい時代を生き延びることができたといわれています。
コラットの被毛はシルバーブルーのみですが、成猫になると毛の先端がシルバーにティッピングされるので、シルクのような光沢が出て非常に美しいです。
また、この美しい被毛が「富と幸運の象徴」とされています。
さらにこの色は雨雲を連想させ、かつグリーンの目も若葉を連想させるとして、豊作の象徴ともいわれています。
そのためタイでは、「コラットが幸運を運ぶ」といわれ、結婚のお祝いに贈られることも多いそうです。
1896年にはイギリスでコラットがキャットショーに参加した記録が残されていますが、当時は「シャムから来たブルーキャット」と紹介されただけで、あまり注目を集めませんでした。
1959年にアメリカに渡ってから種を確立するための計画交配が始まり、1965年にはカナダとアメリカの殆どの猫の品種登録団体から公認を受けるまでになりました。イギリスでも、1975年に公認されています。
コラットの特徴
若干ずんぐりしていて胸部の幅が広く、コンパクトですががっしりとした体型の、筋肉質の身体をしています。
暑い国原産のため、被毛はシングルコートです。
頭はなだらかな曲線を描くハート型で、顔も目から顎を結ぶラインがハート型を作っています。ちょうど眉の部分がハート型の上部にあたります。
下向きにカーブを描いた鼻も、マズルがほぼハート型に見え、幅広い胸にも毛並みがハート型の光の輪を作り出します。
ペリドット・グリーンと呼ばれる緑色の目は、開くと大きいですが、閉じるとつり上がったように見えます。
ペリドットとは、8月の誕生石にもなっている宝石で、美しく鮮やかなオリーブグリーンをしています。
芯の通った意思を持ち頑固な面がありますが、とても愛情深くて頭の良い猫です。
活力に溢れた遊び好きで、飼い主さんにかわいがってもらいたくて喜ばせようとします。
ただし、他の猫を可愛がるとやきもちを焼くこともあります。
コラットを飼育する際の注意点
1.一緒に遊ぶ時間をしっかり作る
コラットは運動欲求が高いため、上下運動も含めて十分な運動スペースを確保し、飼い主さんがしっかりと一緒に遊ぶ時間を作ってあげてください。
十分に運動をさせないと、太りやすいので注意が必要です。
2.ストレスフリーな環境づくり
他の猫よりも聴覚・視覚・嗅覚が敏感で、特に音には注意が必要です。
静かで落ち着ける居場所を用意してあげましょう。
小さな子どもとも上手に付き合えますが、大きな物音には敏感なので注意が必要です。
3.温度管理
暑い国が原産地なのでシングルコートのため、お手入れにはあまり手間がかかりません。
しかし寒さには弱いので、室内の温度管理には注意が必要です。
4.多頭飼いより単頭飼い向き
他の猫や動物とうまく付き合えないわけではありませんが、プライドが高いです。
また、飼い主さんへの独占欲が強くて嫉妬深いため、多頭飼いをする場合は慎重に検討する必要があるでしょう。
5.集合住宅の場合は防音対策を
とてもよく鳴きます。そして、何かが起きた時には警報のような大声で鳴きます。
そのため、集合住宅の場合はご近所とのトラブルにならないような注意が必要です。
6.健康管理
自然発生種なので、遺伝性疾患が少なくて丈夫だといわれています。
ただし、子宮蓄膿症や尿酸塩尿石症に関しては、他の品種よりも高い発症率だとの報告もあります。
一般的な範囲の健康管理をしっかり行い、異変に気づいたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
ブルー御三家と言われる「ロシアンブルー」「シャルトリュー」「コラット」ですが、この中で最も古い歴史を持つコラットは希少種でもあり、国内ではあまり見かけることがありません。
原産国のタイでは、幸運と繁栄を招く猫としてとても大事にされています。
飼い主さんにも忠実で、自宅で一緒に遊ぶ時間をたくさん作れる飼い主さんには、とても良いパートナーになるでしょう。