猫は脱水のリスクが高い動物
猫は人間と比べ、脱水を起こしやすい動物です。その理由はあまり水を飲まないからです。
なぜ、積極的に水分補給をしないのでしょうか。
その要因は、祖先が暮らしてきた環境にあります。
元々砂漠で生活していた猫は、そう簡単には水を飲むことができない状況でした。
それでも生き延びるため、水分補給を必要としない体に進化したのです。
しかし、だからといって無敵ではありません。
頻繁に脱水を起こす体は泌尿器系を蝕み、腎臓病や尿路結石などのリスクを高めているのです。
猫は誰よりも脱水のリスクがあり、注意が必要な動物なのです。
日常生活に潜む脱水の危機
猫は、飲水量が少ないことで脱水になりやすいことが分かりました。
実は、脱水を引き起こす原因は他にもあるのです。いくつか例を紹介いたします。
熱中症
猫は、肉球以外の場所から汗をかけない体質を持っています。
そのため体内に熱がこもりやすく、熱中症になりやすいのです。
そこに水分補給の不足も相まって脱水を起こすことがあります。
熱中症といえば夏ですが、冬も要注意です。
室温が高くなり過ぎたり、こたつやホットカーペットで長時間過ごすことで熱中症につながる恐れがあります。
下痢や嘔吐
猫はとてもデリケートな動物なので、些細なことで胃腸炎を起こしてしまいます。
人間もそうですが、下痢や嘔吐が続くと脱水になります。
しかも水分が奪われるだけでなく、電解質も失われるのが厄介なところです。
嘔吐や下痢が続いたら、動物病院で治療を受けましょう。
腎臓病
冒頭でお伝えしたように、腎臓病は猫に多い疾患です。
原因自体に水分不足が挙げられますが、病気そのものの症状としても脱水を引き起こすという悪循環があります。
糖尿病
狩りをしない家猫は、慢性的な運動不足に陥ります。
一方で食べ物は豊富にあり、食いしん坊さんも多いでしょう。人間と同様に、肥満から糖尿病になることがあります。
血糖値の上昇に伴い、細胞そのものが脱水状態になってしまいます。異様な喉の乾きは、細胞が水分を欲しているのです。
脱水症状になるとどうなる?対処法は?
脱水になる原因は分かりましたが、具体的にはどうなってしまうのでしょうか。
ここからは、脱水時の症状・対処法・予防策について詳しく紹介いたします。
1.症状
脱水になると次のような症状が現れます。
- 歯茎が乾く
- 粘膜が乾き口の中がネバネバする
- 皮膚の弾力がなくなる
- 口呼吸をする
猫は犬とは異なり、通常は鼻呼吸です。
口を開けてハァハァと呼吸すること自体が不自然な行動になります。
2.脱水症状を見抜く方法
皮膚の弾力や歯茎の乾きと言われても、判断が難しいですよね。実は簡単にチェックすることができます。
愛猫の背中の皮膚をつまんで軽く持ち上げます。そして離します。正常な皮膚はすぐに元に戻りますが、脱水では遅くなります。
歯茎を指で押してみるのも有効です。
押すと一旦白くなりますが、正常ではすぐにピンク色に戻ります。脱水では反応が遅くなります。
3.対処法
新鮮な水を用意し、飲んでくれるようであれば飲ませましょう。
猫用の経口補水液があれば、経口補水液を飲ませてみましょう。水分補給ができて元気があれば様子を見ても大丈夫です。
ただし、子猫や高齢の猫に脱水の症状が見られたら緊急で動物病院を受診しましょう。
嘔吐や下痢の症状がある場合も命に直結しやすいので、子猫とシニアは時間を問わず診察を受けてください。
熱中症の疑いがあれば、横に寝かせ直接水をかける応急措置を行います。
その後、氷嚢を脇の下や鼠径部に当てながら病院へ連れて行きましょう。
4.予防策
脱水から愛猫を守るために、日頃から次のようなことを意識しましょう。
- いつでも新鮮な水が飲めるようにする
- ウエットフードを上手に活用する
- ささみの茹で汁を混ぜてみる
- 糖尿病や腎臓病を予防するなど
猫は水へのこだわりが強いので、季節に応じて温度を調節しても良いでしょう。極端に冷たくしたり、熱くするのはNGです。
ウエットフードやささみの茹で汁を活用する場合は、保存が効きません。残したものはすぐに廃棄しましょう。
まとめ
猫は本能や体の構造上、脱水症状になるリスクがあります。
日頃から皮膚や歯茎をチェックして、気にかけてあげましょう。
未然に防ぐとこが大切ですが、それでも脱水が起きてしまったら動物病院を受診して、適切な処置を受けてください。