猫の飼育方法は『外国・日本』で違う?4つの特徴

猫の飼育方法は『外国・日本』で違う?4つの特徴

日本には、愛する家族として猫を迎えて暮らしている飼い主さんが大勢いらっしゃいます。特に都会では猫の室内飼いがほぼ定着しつつあり、猫の平均寿命が年々伸びている一因であるともいわれています。しかし世界の中では、日本の動物福祉感はまだレベルが低いといわれているようです。外国と日本における、猫の飼育方法の違いについて見てみましょう。

日本人のペット観

抱かれて眠る猫

日本人の動物観に関する書籍の中に、日本人のペット観について触れている部分がありました。

そこには『近年のペット飼育の特徴は屋内飼育にあり、そのためペットとの接触度が高まり、親密な関係が深められている』とありました。

そして『ペットが成長して飼い主を乗り越えていく関係にはなり得ないため、一方的に愛情を注ぎ込んで完結するといった関係性になりやすい。やがて飼い主はペットが生きがいになることに加え、自己が生きる意味もそこに見出していき、二重の意味でペットは飼い主に生きがいをもたらしているのだ』ともありました。

全ての飼い主さんがここに書かれている通りだとは思いませんが、共感できる部分が多く、印象に残っています。

このように、日本における飼い主と飼い猫の関係は、家族ともやや異なる親密な関係になりつつあると思われます。

しかし世界の中で見ると、日本におけるコンパニオンアニマルへの動物福祉観・動物愛護観は、まだあまり高いレベルにはないようです。

そこで、外国、特に動物福祉の先進国であるといわれている北欧を中心に、猫の飼育方法の違いについて見てみたいと思います。

北欧における動物福祉観

飼い主と狩りをする犬

北欧、特にスウェーデンは、動物が幸せに暮らせる環境を整えるための考え方である「動物福祉(アニマル・ウェルフェア)の先進国」だといわれています。

動物愛護に関する法規制も厳しく整備されているおかげでパピーミルの存在はほとんど皆無に近く、捨て犬や捨て猫も生み出されづらい環境が構築できているようです。

北欧の動物愛護の根底には、「各動物が持つ動物らしいニーズを満たすこと」という考え方があり、前述の日本人のペット観のような「親が永遠の子どもに対して一方的に愛情を注ぎ込み続ける」といった関係とは異なります。

その証と言えるかもしれないのが、飼い犬の去勢・避妊手術率の低さです。

犬は社会的な動物であるため必ず誰かが必要であるという考え方の下、ほとんどが室内飼いです。

飼い主さんは責任を持って愛犬を管理するため、避妊・去勢をしなくてもしっかりと行動を管理でき、望まれない子犬が生まれることもありません。

そのため、去勢・避妊手術率は22%程度しかないのだそうです。

では、猫の飼育方法についてはどうなのでしょうか。

外国と日本における猫の飼育方法の違い

外で自由に遊ぶ猫

1.室内飼いか外飼いか

先程、スウェーデンの犬はほとんどが室内飼いだと紹介しましたが、猫は様子が異なるようです。

猫の室内飼育率は57%で、43%の猫たちは、家と外を自由に出入りして暮らしているのだそうです。

これは、「猫には猫らしい生活をさせるべきである」という前述の動物愛護観からきている飼育方法です。

つまり、群れでの生活を好まずに、単独でハンティングをしながら暮らすのが猫にとっての幸せであるという考え方のようです。

ただし、都会は交通事情等を考えて室内飼いをしている家庭も多いようで、それが室内飼育率にあらわれているのでしょう。

2.去勢・避妊率の違い

猫のカップル

日本の飼い猫の去勢・避妊手術率も年々増えてきており、80%を超える猫たちが手術を受けているという調査報告があります。

同様にスウェーデンの猫たちも、犬とは異なり、約80%が去勢・避妊手術を受けているのだそうです。

その理由は、猫の飼育方法にあります。

つまり、猫たちは自由に暮らしているため、繁殖のコントロールをしなければ望まれない猫が増えてしまい、それが捨て猫につながってしまうからという理由のようです。

日本人の「かわいそう」という漠然とした倫理観とは異なり、そこには飼い主としての責任感を伴う論理的な判断理由が明確に存在しているように思われます。

3.猫の入手方法

子猫達

スウェーデンには、生体販売をしているペットショップはありません。法律で定められているからです。

そのため飼い主さんは、猫の保護施設から猫を迎え入れるか、またはブリーダーから純血種の猫を購入します。

動物の飼育環境に関する法規制も厳しく定められているため、パピーミルはほぼ皆無です。

どの飼い主さんもしっかりと事前によく調査検討をしてからブリーダーに相談して猫を迎え入れています。

そのため、途中で安易に飼育放棄をするということの減少にもつながっているようです。

生体販売をするペットショップがない、または厳しい認可性になっているというのは、スウェーデンや北欧に限らず、欧米国にはよく見られることのようです。

4.住宅事情

猫仕様の家

最後は住宅事情についてです。北欧の場合、日本のように「ペット可」という言葉は存在しないようです。

というのは、アパートやマンションでも、ペットを飼育するための許可は特に必要がないからです。

これも欧米国に共通していることのようで、それだけ動物達が人間社会の中で暮らすことがごく普通のこととなっているのでしょう。

まとめ

暖炉の前で女性の膝の上で幸せそうに眠る猫

外国、特にスウェーデンを中心に、日本の猫の飼育方法との違いを見てきました。

その違いの理由には、欧米人と日本人の、動物愛護、動物福祉観の違いがあるようです。

スポーツとして狩猟を楽しみ、牧畜で生計を立ててきた欧米の文化と、日本の農耕文化との違いなのかもしれません。

日本には日本の文化にあった考え方でよいので、動物福祉や動物愛護の考え方をさらに進化させ、捨て猫のいない、殺処分など行われることのない国を目指していければ良いと願っています。

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