アニマルセラピーの歴史
アニマルセラピーは意外にも歴史が古く、古代ローマ時代まで遡ります。その目的や、参加していた動物について詳しく見ていきましょう。
兵士のリハビリ
古代ローマ時代、負傷した兵士がリハビリの一環として「乗馬」を取り入れたことからアニマルセラピーは始まりました。
体が不自由な少女の成長を促した
1952年のオリンピックにて、アニマルセラピーは大きな注目を集めることになります。
体が不自由な少女が乗馬によるセラピーを行ったところ、オリンピックに出場するほどの実力を身につけることができたからです。
感情や思考、行動をコントロールする
1972年にイギリスのある施設では、うさぎの飼育を通して自制心を高めるトレーニングが行われました。
言葉の発達を促す
言葉の発達に遅れがあり、コミュニケーションがスムーズに計れない子どもを対象に、犬と触れ合うセラピーが行われました。
すると、セラピー前よりも言語反応が良くなったという効果が得られました。犬と遊ぶことで、言語発達が促されたのです。
参加動物は犬や猫だけではない
もうお気づきだと思いますが、アニマルセラピーに参加する動物は犬や猫に限りません。
起源となった動物は馬ですし、うさぎも感情や行動のコントロールを促しています。
つまり、人と触れ合える動物であればその数だけ可能性があるということなのです。実際に鳥や魚などの生き物も活躍しています。
アニマルセラピーの効果とは?
歴史の中でも少し触れましたが、アニマルセラピーには次のような効果があります。
緊張や不安が和らぐ
動物には裏表がありません。素直な気持ちで接してくれる動物の温かさに触れることで、緊張や不安が和らぎ、安心感を得ることができます。
自然と笑顔になれる
動物と触れ合うと、自然と笑顔になれます。そして、少しずつポジティブな気持ちが芽生え始めます。
自然と口数が増え、言語のリハビリになる
動物が仲介人としての役割を担うことで、人と人との会話が弾みやすくなります。これにより、言語のリハビリ効果を高めてくれるのです。
身体能力の向上
「セラピーアニマルと一緒にやりたいこと」を目標に定めることで、身体能力が向上した例もあります。
猫はどのような活躍をするの?
セラピーアニマルには、もちろん猫もいます。
犬のように決められた動作をすることが苦手な動物ですが、どのような活躍をしてくれるのでしょうか。
アニマルセラピーにおいて、猫が求められる理由を5つ紹介いたします。
1.どのような抱き方にもマッチする
病気や障がいにより、上手く動物を抱っこできない方々がいます。猫の体は柔軟性が高いので、膝に乗せるだけでも相手に合わせた密着度を発揮してくれます。
どのような抱き方にもマッチするので、とても喜ばれるのです。
2.前向きな気持ちにさせてくれる
猫は自由気ままな動物です。セラピーの場でも、基本的には好き勝手に行動しています。
猫の自然体な行動から「ありのままでいいんだ」「もう少し気楽に生きてみようかな」などと、前向きな感情が生まれるのです。
3.臭いがしない
健康な猫には体臭がありません。これはグルーミングによって、身なりを整えることができるからです。
アニマルセラピーは、病院や施設で実施されることが多いので、臭いがないということはプラスになります。
4.ゴロゴロ音が様々な効果を発揮する
猫が喉を鳴らすゴロゴロ音には、たくさんの嬉しい効果があります。いくつか例を挙げてみます。
- 免疫力を高める
- 自然治癒力を高める
- 不安や緊張を解きほぐす
- 質の良い睡眠を促す
5.ストレスホルモン「コルチゾール」を減らす
ストレスが持続すると「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌され、健康を害してしまいます。
猫と触れ合うとコルチゾールの分泌が抑制され、血圧が安定します。
高血圧を防ぐということは、心疾患や脳血管疾患などの予防にもつながります。
まとめ
アニマルセラピーには嬉しい効果がたくさんありました。
日本ではまだまだ普及していないのが現状ですが、猫と触れ合うことを目的とするならば叶えられる環境はそばにあるものです。
例えば猫カフェです。猫カフェでは人間に親しみを持った猫たちが出迎えてくれます。何となく元気がない、猫に癒されたいという方にはおすすめのスポットになります。
セラピーキャットの養成には多くの課題が伴いますが、今後の展望として殺処分の減少や、移動に制限のある方と猫を結ぶ架け橋になることを願います。