猫が『寒い場所』で寝る4つの理由と注意点

猫が『寒い場所』で寝る4つの理由と注意点

寒さに弱いと思われがちな猫が、寒い場所で眠るときはどのような状況なのでしょうか。主な理由と、注意して見てほしいポイントについて詳しく紹介いたします。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

なぜ寒い所で眠る?気をつけるべきポイント

隠れる猫

猫が寒い場所で眠るのには、それなりの理由があります。今回は4つの理由と、注意してほしいポイントについて紹介いたします。

1.部屋が暑いから

室温が高く「暑い!」と感じると、涼しい場所を求めて移動します。

猫は寒さに弱いと思われがちですが、一般的な成猫は人間が心地よく過ごせる室温で大丈夫なのです。

人間でも少し暑いと感じるほど部屋が暖かくなっているようであれば、暖房を止めて調節しましょう。

あまりに暑い環境にいると、冬場でも熱中症を起こす恐れがあります。

留守中は暖房を低めの温度に設定したり、涼しい部屋と行き来できるようにして、猫用のベッドやダンボールなどで暖を取れるように工夫してみてください。

2.発熱している

猫も風邪やウイルス感染によって発熱することがあります。

熱で体がほてっていると、涼しい場所のほうが快適に思える時があります。

ちなみに猫の平熱は、38.0~39.0℃です。安静時に39.0℃を超え、40.0℃に達するような熱があれば発熱していることになります。

ご家庭で熱があるかを判断する方法としては、耳や肉球が熱い・口を開けて呼吸をしている・目やにや鼻水が出ているなどの症状を見ます。

震えながら発熱している場合は、適度に暖めてあげたほうがいい場合もありますから、異変を感じたらまず病院を受診しましょう。

3.低体温になっている

体温計と猫

先ほどとは逆に、低体温状態に陥っていても寒い場所を求めることがあります。

体温が下がっているのだから寒いはずでは?と思いますよね。

実は、極度の低体温に陥ると、室温と体温の差が大きくなり「暑い」と錯覚してしまうのだそうです。この現象を「矛盾脱衣」といいます。

応急処置としてはバスタオルに包み、飼い主さんの体温で優しく温めてあげてください。

急速に体温を上げようとする行為は絶対にNGです。ショックを起こして命に危険が及んでしまう可能性があります。

その後毛布などに切り替えて、カイロや湯たんぽで熱くなりすぎない程度に温めながら動物病院へ連れて行きましょう。

なお、家猫が低体温に陥るのは、以下のようなケースが考えられます。

  • 体温調整が難しい子猫や老猫
  • 敗血症
  • 低血糖
  • 重度の腎不全
  • 重度の急性腎不全
  • 心臓病
  • 怪我
  • その他病気や栄養不良による衰弱など

寒さが厳しい地域を除き、家猫が低体温に陥る状況はそれほどないように思えますよね。

しかし、完全室内飼育だから大丈夫と過信せず、愛猫の健康状態をチェックしてあげてください。

4.死期が近いことも

余命宣告を受けている猫の場合、涼しい場所で過ごす時が来たら心の準備をしたほうが良いかもしれません。

猫は死という現実を怖がることなく受け入れています。

むしろ室温が低い環境の中で体温が下がり、臓器のはたらきが停止していくほうが体への負担が少なく、辛くないといわれています。

とても悲しいことですが、その場で見守ることが穏やかな最期につながることもあるのです。

まとめ

抱かれる猫

猫が寒い環境で眠っているときは、まず体調の変化がないかを確認してください。

元気なのに涼しい場所を選んでいる場合は、室温が高くなっている可能性があります。上手に調節してあげてください。

病気が疑わしい症状が見られる場合は、動物病院で診察を受けましょう。

もしも低体温に陥っているようであれば、急激に体温を上げず、まずは人肌で温めながら対処しましょう。ただし猫の平熱は、人より2度ほど高い38度台ですから、ある程度体が温まってきてからは人肌だけでは不十分であることにも注意しましょう。

高齢による衰弱や、余命宣告を受けている場合は、事前にご家族の間で話し合ってください。

自然な形でという方向であれば、穏やかに過ごせるように見守ってあげましょう。

猫は死期を悟るといなくなるといいますが、決してご家族に看取られることを拒否しているのではありません。

愛猫が楽に過ごせる環境で、ご家族が揃っているのであればそばにいてあげてください。

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