猫の性格
猫の性格に関する研究は、以前からいろいろな研究機関により研究されてきました。
1980年代の研究では、結局どの研究機関も最終的には猫の性格は「大胆」か「小心」に2分されるといった結論になったようです。
そして多くの研究者たちが、猫の性格を形成する要因についてもいろいろな観点から実験等を行い、猫の性格形成には非常に多くの因子が関わっていることを突き止めてきました。
今回は、猫の性格形成に影響を与える因子や、最近の研究で分類されている猫の性格についてご紹介します。
猫の性格形成に影響を与える先天的な因子
父猫の性格
1995年に行われた実験で、子猫が友好的な性格になるかどうかは、父猫の性格が友好的かどうかに大きく左右されることが分かりました。
子猫の時に積極的に人と触れ合わせても、父猫の性格が非友好的な場合は、あまり友好的な性格には育たなかったのです。
血統
フィンランドのヘルシンキ大学の調査で、猫の品種により特定の性格が強く現れるということが明らかにされました。
例えばロシアンブルーは怖がり、ベンガルは活動的で遊び心が豊かなどといった性格が強く現れるそうです。
毛柄
毛柄を発現させる遺伝子が性格に影響を与える可能性は否定できませんが、現在言われている毛柄別の性格については、その全てが明確な科学的根拠に基づいているわけではないため、若干怪しい面があることは否定できないでしょう。
利き手の有無
アイルランドの調査で、利き手が定まっている猫は「自信家、愛情深い、活動的、友好的」といった傾向があり、利き手が定まっていない両利きの猫は「愛情が希薄、従順さや友好さが低い、攻撃性が高い」といった傾向があることを見つけました。
猫の性格形成に影響を与える後天的な因子
子猫期に母猫から受ける世話
子猫は、生後2〜7週齢頃の社会化期にいろいろなことを身につけます。
この社会化期に、母猫との親密度が高ければ高いほど、子猫の学習効果が高まるということが分かっています。
社会化期には、母猫と一緒に過ごさせることが大切です。
特定時期の栄養状態
まだ胎児だった頃の母猫の栄養状態や、生まれて間もない頃の子猫の栄養状態により、脳の発達が遅れてしまい、情緒的に不安定な傾向が強まるなど、性格に大きく影響が出ることが分かっています。
社会化期における人との関わり
社会化期の子猫に、1日1時間程度の人と触れ合う時間を設けることで、人に対して親和性の高い友好的な猫になることが分かっています。できれば、触れ合う人も一人だけではなく、複数の人たちと触れ合わせるようにすると、より効果的です。
社会経験
社会化期は、母猫だけではなく兄弟姉妹たちとも一緒に暮らすことで、「強く噛んではいけない」などの、猫としての社会性を身につけることができます。
生活環境
一人っきりで隔離された時間の長い猫と、自由に屋外に出入りしている猫、飼い主さんとべったり一緒にいる猫とでは、性格が変わってきます。これは社会化期だけに限ったことではなく、成猫になった後でも性格に影響を与える事が分かっています。
去勢・避妊手術の有無
去勢や避妊手術をすることで、繁殖への興味がなくなったりホルモンバランスが変わったりするため、手術前と比べると性格が変わったようになります。オス猫の場合は穏やかな性格になり、メス猫の場合は少し気が強くなる傾向があるようです。
主な性格のタイプ
最近は、猫の性格についてもいろいろなタイプ分けがありますが、今回は2017年にイギリスのリンカーン大学で分類された5つのタイプをご紹介します。
1.人寄りの猫(Human Cat)
人と一緒に家にいることを好むタイプの猫です。自分が人間のパーソナルスペースに入ることも、人が自分のパーソナルスペースに入ることも許容します。人に対して愛情表現を示し、直接的なふれあいを積極的に行います。
2.狩猟好きの猫(Hunter Cat)
狩が大好きなタイプの猫です。とは言え、現代の猫は実際の狩りを行えませんので、飼い主さんがおもちゃを上手に獲物に見立てて遊んであげる必要があります。興奮させすぎないように気をつけながら、上手に遊んで満足させてあげましょう。
3.猫寄りの猫(Cat's Cat)
人よりも猫と一緒にいたがることを好むタイプの猫です。猫同士の遊びやグルーミングをすることに喜びを感じます。こういうタイプの猫は、単頭飼いよりも多頭飼いのご家庭に向いています。
4.気難しい猫(Cantankerous Cat)
神経質なタイプの猫です。環境の変化や人とのスキンシップを嫌がります。自分のパーソナルスペースを大切にし、人とのコミュニケーションは最小限にとどめようとします。
5.知りたがりの猫(Inquisitive Cat)
好奇心旺盛で、初めて見るものや人などをみつけると、自分から積極的に近寄って調べようとするタイプの物怖じしない猫です。
まとめ
猫の性格形成に影響を与える多くの因子や、猫の性格のタイプをご紹介しました。
猫にとって、社会化期の経験はとても大切ですが、成猫になってからの経験や環境も、その後の性格に大きく影響を与えます。特に、不慮の事故や震災などのネガティブで深刻な経験は、猫の性格を大きく変えてしまう要素になります。
愛猫がダメージを受けていることを察知したら、長い目で根気よくケアをしてあげましょう。