猫も心の病気になる?飼い主が知っておくべき『メンタルヘルス』に関する知識4つ

猫も心の病気になる?飼い主が知っておくべき『メンタルヘルス』に関する知識4つ

猫にも感情があります。欲望がなかなか叶わない、ネガティブな感情が継続する状況に置かれるなど、感情があるとストレスも溜まっていきがちです。獣医療の発達、安全な住環境により、現代の猫たちは以前よりも長生きできるようになってきた反面、メンタルヘルスの問題が注目されてきています。猫のメンタルヘルスに関する基本的な知識をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

ストレスが猫に与える影響

病気の猫

猫にも感情があり、感情があるからこそストレスも感じます。人間と同様に、期待が裏切られたり、ネガティブな感情が継続するような状況に長く置かれたりすると、ストレスは蓄積されていきます。

ストレスが蓄積する一方だと、心の健康が崩れて体調を崩したり異常な行動が表れるようになります。こういった不調を来さないための精神的な健康のことを、「メンタルヘルス」と言います。

猫の場合、ストレスにより発症する「猫伝染性腹膜炎(FIP)」という重篤な病気があります。

FIPはストレスが身体的な病気を誘発する代表的な例ですが、ストレスによりメンタルヘルスが崩れることで猫もさまざまな心の病気を発症し、「問題行動」という形で気付かれます。

今回は、猫のメンタルヘルスについてご紹介します。

猫のメンタルヘルスに影響する要因や症状

1.生活習慣

眩しい中で寝る猫

一昔前とは異なり、現代のイエネコは室内で飼育されることが一般的になりました。

しかし、猫の習性をよく理解しないまま人間の環境にすっぽりと当てはめて生活させることで、メンタルヘルスを崩してしまう猫たちが増えてきつつあるようです。

その原因の一つが、「飼い主さんの生活習慣」です。

一人暮らしや核家族化による少人数のご家庭が増え、かつ共働きが普通になってきている現在、室内で暮らしている猫たちは刺激のない退屈な日々を過ごすことが多くなりました。

また、忙しい飼い主さんの生活は不規則になりがちです。夜遅くまで煌々と電気がつき、テレビやステレオの音がする部屋の中で過ごし、朝の時間も不規則になりがちです。

本来保守的かつハンター気質な猫たちにとって、飼い主さんの生活習慣によっては、ストレスを溜める原因となっているかもしれません。

2.生活環境

高所に上る猫

猫たちは、群れを作らずに自分の縄張りを守りながら暮らす習性を持っています。

人と一緒に暮らす猫たちは、飼い主さんやそのご家族、あるいは同居している他の動物達と縄張りを共有しながら暮らしています。

もちろん、猫たちは上手に縄張りを共有しながら他者と共生していく能力を持っていますが、住環境が猫の習性に適していない場合は、かなりのストレスを抱えている可能性を否定できません。

広い平地で活動するよりも高さを生かした立体的な空間を上手に利用する猫には、上下に移動できる環境がないことがストレスになります。

いざというときに備えて身を潜めながら体力を休める生活スタイルの猫にとって、自分だけが隠れられるパーソナルスペースがないといった環境も強いストレスになります。

このような猫の習性には合わないストレスフルな生活環境が、猫のメンタルヘルスを乱して心の病気を誘発することも多いです。

3.関わり方

過干渉な飼い主

飼い主さんと愛猫との関わり方によっても、愛猫のストレスを増やしている可能性があります。

猫は単独で生活するのが基本ですが、人と一緒に暮らしている猫は、いつまでも子猫の気分をもったまま歳を重ねていきます。

そのため、飼い主さんが他のことに気をとられて愛猫に心が向いていないと、とても寂しい思いをします。

逆に、飼い主さんがあまりにも愛猫をかまいすぎて過剰な干渉をする場合も強いストレスを感じます。

また、しつけと称して怒ってばかりの飼い主さんや、体罰を行う飼い主さんとの関係も、猫にはとても強いストレスです。

飼い主さんには悪気がないかもしれませんが、猫にとっては不適切なこれらの関係を構築してしまうと、猫は飼い主さんを信頼できず、メンタルヘルスを維持できなくなります。

4.メンタルヘルスが崩れた結果表れる病気や問題行動

毛づくろいする猫

ご紹介してきたような生活習慣、生活環境、飼い主さんとの関わり方の不適合により溜まったストレスを解消できずに長期間過ごすことで、猫たちは下記に挙げるような体調の不調や問題行動を起こすようになります。

  • 心因性の嘔吐や下痢を繰り返す
  • 日常的な生活音にも過剰に反応して怯える
  • 飼い主さんがいないと家の中を荒らす
  • 飼い主さんがいないとトイレ以外の場所で排泄をする
  • 隠れてしまって出てこなくなる
  • 怒りっぽく、攻撃的になる
  • 過剰なセルフグルーミングで皮膚炎や脱毛を起こす(心因性脱毛症)

猫の場合、セルフグルーミングは自分自身を落ち着けるための行為でもあるため、ストレスが溜まると過剰なグルーミングを行い、その結果お腹や後ろ脚、内股、お尻周りなどが脱毛してしまうことがあります。

まとめ

飼い主と猫

愛猫に、できるだけ長く健康で快適に暮らしてもらうためには、去勢・避妊手術を行い、栄養バランスの取れた良質なフードを食べさせ、室内で飼育をすることが望ましいと言われています。

しかし、それだけでは猫にとって暮らしやすい環境だとは言い切れません。

飼い主さんの生活習慣や、飼い主さんとの関係、また住環境が猫の習性に適していないと、猫はストレスを溜めてメンタルヘルスを崩してしまうかもしれません。

愛猫と一緒に暮らす飼い主さんは、どうか猫の習性を正しく理解し、猫にとって快適な環境を作って良好な関係を築くように心がけてあげましょう。

それが愛猫の心身の健康を維持し、飼い主さんと一緒にいつまでも楽しく快適に過ごしていく秘訣だと考えます。

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