『猫風邪』ってどんな病気?2つの危険ウイルスと症状・治療法を解説

『猫風邪』ってどんな病気?2つの危険ウイルスと症状・治療法を解説

愛猫の目や鼻がグジュグジュしている。くしゃみも発熱もあるし…。それはもしかすると「猫風邪」かもしれません。一体どんな病気なのでしょうか?原因となっているウイルスに焦点を当てていきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.猫ヘルペスウイルス

診察を受ける子猫

「猫ウイルス性鼻気管炎」は猫ヘルペスウイルスが原因です。

人の風邪と似たような症状が起きるので、わかりやすいでしょう。放っておくと結膜炎や鼻炎になる場合が多いです。

症状が治ってもウイルスは猫の体内(神経節に潜伏感染)にひそんでいますので、免疫力が落ちるとブリ返すことがあります。慢性的な結膜炎、鼻炎の原因となる場合もあるので注意が必要です。

子猫が初めてこのウイルスによって重度の結膜炎になると、最悪の場合眼球を摘出しなければならなくなります。

もし目がグジュグジュになっていたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

猫ヘルペスウイルスにはワクチンがあり、生後2ヶ月頃から接種できます。完璧に猫風邪を防げるわけではありませんが、症状の軽減になるため受けさせるのもよいでしょう。

治療法は抗生剤や抗ウイルス薬、点眼などです。症状が軽ければ自然治癒する場合もありますが、基本的には動物病院を受診した方がよいでしょう。

特に子猫は重症化しやすいので、早めに対処してあげてください。

2.猫カリシウイルス

ワクチン接種

猫カリシウイルスは「猫カリシウイルス感染症」を引き起こします。

症状は猫ヘルペスウイルスと同じく人の風邪の症状と似ていますが、口の中に「水疱」や「潰瘍」ができるのが特徴です。最近では致死率の高い「強毒全身性ネコカリシウイルス」も登場しているとか…。

感染力が強いのもこのウイルスの特徴です。とくに多頭飼いの場合、感染率が高くなる可能性があります。

症状から回復した猫でも30日以上、長い場合は数年に渡ってこのウイルスを排出することがあると言われています。

猫カリシウイルスは猫の体外に出ても常温で1ヶ月以上感染力がありますので、ケージやご飯皿で感染してしまう場合も。

また変異が激しいウイルスなので種類がたくさんあり、一度感染してもまた別の種類のウイルスに感染する可能性があります。

ワクチンがありますので、接種しておくと安心でしょう。ただ前述のように多くの種類の変異ウイルスがありますので、完全に予防できるワクチンはありません。

治療は猫用のインターフェロン製剤が使われます。対症療法として輸液が行われる場合もあります。

まとめ

寒そうな猫

身近なようで意外と知らないのが「猫風邪」という病気ではないでしょうか?

風邪というとそれほど重大には思えませんが、やはり舐めてかかると厄介な病気ではあります。

愛猫を猫風邪から守るため「ワクチン接種」という方法があるのです。受けさせるか否かは飼い主さん次第ですが、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

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