1.母子感染
回虫が成猫に感染すると、体内の組織内にとどまる場合があります。その猫が妊娠した際、体の抵抗力が落ちるために回虫が活動しはじめ、胎盤を介して胎児に移行したり、母乳の中に出てくることがあるのです。母乳を飲んだ子猫は当然感染してしまいます。
回虫は便検査によって簡単に分かります。もし野良猫を保護した場合は親子ともに検査を受けた方がよいでしょう。治療も駆虫薬で比較的簡単に行えます。
回虫は便の中に混じっていれば肉眼や顕微鏡検査で確認することができますが、脂肪や筋肉内に潜伏していると検査をしても分かりません。猫が回虫に感染しても、少量だと無症状な場合が。だからといって安全ではありません。人にも感染しますので、猫を飼うときの便検査や駆虫は必須といえるでしょう。
2.獲物の捕食
回虫に感染したネズミやゴキブリ、鳥などを食べ、猫が感染することがあります。野良猫のほぼ100%がお腹の中に回虫を持っていますが、それはそういうわけです。
ただ室内飼いであっても家の中に出たゴキブリなどを食べて感染する場合があります。愛猫の便の中に回虫がいないかを、日頃からチェックしておきましょう。
3.口に入ってしまったため
公園の砂場などの中で回虫の卵が成熟し、卵の中で幼虫に成長します。これは感染可能な状態です。それを猫が口にすると感染してしまうのです。
たとえば公園の砂場が猫のトイレ化していた場合。用を足し終わった猫は排泄物に砂をかけます。すると体に砂がついてしまうため、後で毛づくろいするでしょう。
その際に回虫卵を飲み込んでしまうのです。こうして容易に感染してしまいます。
症状
猫が回虫に感染しても症状が出ないことが多いです。保護した野良猫が元気であっても必ず、便検査は受けるようにしましょう。ほぼ100%の確率で感染しています。便検査で回虫卵が検出されなかったとしても駆虫薬を投与しておくことをお勧めします。
寄生している数が多いときは嘔吐や食欲不振、貧血などが見られる場合も。吐いたものの中に回虫がいることもあります。咳をした瞬間に猫の口から飛び出てくるケースもあるのだとか。
人に感染した場合は幼虫がさまざまな臓器や眼に移動します。内臓に入ると発熱や食欲不振、倦怠感、そして移動先の臓器により異なった症状が出るのです。
眼に移動すると、炎症や視力障がい、飛蚊症などが現れます。しびれやマヒ、アレルギーの原因となるケースも。いずれにしてもよいとはいえませんので、回虫対策は必須です。
治療法
猫が回虫に感染した場合、駆虫薬の投与を行います。1度では駆虫しきれないことがありますので、複数回の投与が必要になる場合も。
人が感染しても軽症な場合は自然に治るでしょう。ただ重症だと放置しておいても治りませんし、危険なこともあります。必ず医師の診察を受けるようにしてください。
まとめ
回虫の数が少なければ、それほど重大な症状は起きません。ただ重度になると危険です。決して軽く見てはいけない感染症だと知っておきましょう。