なかなか『水を飲んでくれない』猫に水を飲んでもらう4つの工夫

なかなか『水を飲んでくれない』猫に水を飲んでもらう4つの工夫

猫の祖先が砂漠で暮らしていたこともあり、猫の体は少ない水分でも生きていけるように発達したため、あまり水を飲まない子が多いです。そのため腎臓や泌尿器系に負担がかかりの病気にかかりやすいと言われています。少しでも腎臓への負担を減らすために、できるだけきちんと水分を摂取させるためにできる工夫点についてご紹介します。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

必要な水分を摂取できないとどういう問題があるか

リビアヤマネコ

猫の祖先であるリビアヤマネコは、砂漠で暮らしていました。そのため、猫の体は少ない水分で濃い尿を作ることで生きていけるような仕組みになっています。

しかしそれは、腎臓にかける負担が大きいということでもあります

元々あまり水を飲まない猫ですが、それが災いして多くの猫が腎臓や泌尿器系に不調をきたしてしまいます。

特に腎臓の病気などは猫の寿命を左右することもあるので、少しでも腎臓への負担を減らすために、できるだけ水分摂取量を増やしたいところです。

そこで今回は、なかなか自分から水を飲んでくれない猫に水を飲んでもらうためにできる工夫点についてご紹介します。

一体どれくらいの水を飲めば安心なのか

水を飲む猫

猫が1日に必要とする水分摂取量の算出式や、目安の概算値などがいろいろなところで紹介されています。

大まかな目安としては、猫の体重1kgに対して1日45〜55mlと言われていますが、この数値の中には食事から摂取する水分量や、栄養素を分解する時に体内で作られる代謝水の量なども含まれています。

したがって、実際に愛猫が摂取した水分量を正確に測ることは、ほぼできないと言って良いでしょう。

そこでおすすめするのが、毎日容器の水を交換する際に「入れた量」と「捨てる量」を量り、記録しておくことです。

ここで注目するのは、1日に飲んだ量(入れた量ー捨てた量)よりも、その増減です。飲水量が増えている場合でも減っている場合でも、その偏差の幅があまりにも大きい場合は、すぐに動物病院に相談することをおすすめします。

猫に水を飲んでもらうためにできる工夫点

1.食事からの水分摂取量を増やす

食事をする猫

ドライフードには約10%、ウェットフードには約80%の水分が含まれているので、ドライフードの比率を減らしてウェットフードの比率を増やすことで、最も簡単に水分摂取量を増やすことができます。

ただし、ウェットフードには「おやつ」や「一般食」が多いので、「総合栄養食」を選ぶようにしてください。肉や魚、野菜などを茹でた手作り食も、水分が多くなるでしょう。

2.水そのものに工夫を加える

猫に飲ませる水は、日本の場合「水道水」が適しています。ただし、朝晩水を取り替えて常に新鮮な状態にしてあげましょう。

また、木炭や竹炭を入れてカルキ臭を消したり、ぬるま湯程度の温度に温めたりすると飲んでくれることもあります。

3.水を入れる容器に工夫を加える

自動給水器

水を入れている器が気に入らなくて飲まない場合があります。

水を飲む時に縁にヒゲがあたらないくらい大きい器にする、特に老猫の場合は前に屈まなくても良いくらいの高さの器にする、色や模様を変える、材質を変える等の工夫で効果がみられることがあります。

また、流れる水だと好んで飲む猫が多いので、フィルターがついた循環式の自動給水器を利用するのも良いでしょう。

4.水入れの設置場所に工夫を加える

水入れを置く場所を変えてみると飲むようになるケースもあります。

また、水入れは猫の頭数よりも多く用意し、複数箇所に設置して猫が好きなタイミング、好きな場所で飲めるようにすると良いでしょう。

まとめ

水の前でたたずむ子猫

目安の飲水量よりも飲んでいる水の量が少なくても、食事から摂取できる水分量も合わせると十分足りている場合もありますので、飲水量の絶対値で一喜一憂する必要はありません。

まずは愛猫の健康状態全体から判断して健康であれば問題ありません。

ただし、飲水量が極端に増えたり減ったりした場合、裏に病気が隠れていることが多いので、普段から1日に飲んでいる大体の飲水量を記録しておき、その変化に異変が見られたらすぐに動物病院で診てもらうようにすることが、愛猫の健康を守るための最善策です。

それと同時に猫の腎臓への負担を少しでも軽減し、腎臓や泌尿器系の病気を予防するためにも、できるだけ愛猫が積極的に水を飲むような工夫を施してあげましょう。

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