猫の『がん発症率』を高める要因5つと予防策

猫の『がん発症率』を高める要因5つと予防策

猫も人間と同じような病気になることがあります。がんもその1つです。今回はがんのリスクを高めてしまう要因と、予防策について紹介いたします。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が「がん」になる要因

猫のお医者さん

「がん」は人間の病気というイメージがありますが、猫もがんを患うことがあります。その要因は何なのでしょうか?

ここでは、リスクファクターになりうる要因を5つ紹介いたします。

1.加齢

カメラ目線の猫

近年、猫のがん患者が増えている理由のひとつに高齢化が挙げられます。10歳を過ぎたら半年に1度健診を受けておくことで、早期発見につながります。

2.ストレス

威嚇する猫

日常的にストレスを抱えてしまうと、免疫力が低下します。免疫系統が鈍くなった体内は、がん細胞にとっては住み心地がよく、増殖しやすい環境になってしまいます。

猫は繊細な動物なので、日頃のケアが大切です。室温を20~28℃に、湿度を50~60%に保つことで身体的なストレスを軽減させることができます。

そして安心できる環境を整え、適度なスキンシップを取ることが心の安定につながります。

3.エイズ関連症候群

通院する猫

エイズ関連症候群とは、猫エイズの影響によって生じる様々な不調のことです。猫エイズ自体は進行が遅いため、必ずしもエイズ関連症候群が出現するとは限りません。

エイズキャリアの猫は免疫力が低下しやすく、これが元で悪性腫瘍が発生することがあります。

まずはストレスをためないこと、そして適度に発散させることが、エイズの進行もがんのリスクも予防する鍵になります。

4.避妊手術を受けていない

診察を受ける猫

メス猫に多い乳腺腫瘍は、8割が悪性だといわれています。この腫瘍はホルモンとの関連が深いがんです。

これを防ぐ手段として、避妊手術が挙げられます。生後半年頃を目安に手術を受けることで、約9割は防げるといわれています。

将来的に繁殖を望まない場合は、検討してみてください。

5.ご家庭に喫煙者がいる

タバコ

猫は直接タバコを吸う機会はありません。よってタバコによる弊害は、受動喫煙や壁や床に染み込んだ有害物質による三次喫煙になります。

ご家庭に喫煙者がいる場合、猫の悪性リンパ腫のリスクが増加します。(非喫煙家庭の2.4倍)

可能であればタバコを断つことが理想です。難しい場合は、分煙を心がけましょう。喫煙後は手を洗い、30分程度は猫に触れないようにしましょう。

愛猫をがんの魔の手から守るには?

抱きしめられる猫

愛猫の体をがん細胞から守るには、どのような生活を心がければ良いのでしょうか?いくつか予防策を紹介いたします。

猫らしい生活を送る

タワーで遊ぶ猫

心身ともに健康でいるためには、猫らしい生活を送らせてあげることが大切です。とはいえ、外出させることはおすすめできません。

思う存分走れる環境や、上下運動ができるキャットタワー、狩りの疑似体験ができるおもちゃを活用しましょう。

遊びに付き合う時間を作る

遊ぶ猫

猫はひとり遊びも得意ですが、飼い主さんと一緒に遊ぶことも大好きです。1日に数分程度で構わないので、遊びに付き合う時間を確保してあげてください。

エイズキャリア猫のケア

猫を撫でる

たとえエイズキャリアでも、普通の生活を楽しむことができます。その期間をより長くするためには、ストレスケアが欠かせません。

甘えっ子な猫であれば、できる範囲で甘えたい気持ちに寄り添いましょう。ツンデレさんの場合は見守りを重視して、愛猫が望むタイミングに合わせて構ってあげましょう。

この何気ない配慮が、ストレスを予防してくれます。

まとめ

鼻を舐める猫

がんを招いてしまう要因を5つ紹介しました。加齢を止めることは不可能なので、他の部分でカバーしてあげましょう。

特にストレスは、些細な配慮の積み重ねにより防ぐことができます。猫の習性を理解して、楽しく過ごせる工夫をしてみてください。

スキンシップ中にしこりに触れた、なんとなく元気がない日が続くなどの異変に気づいたら、躊躇わずに診察を受けましょう。

がんは必ずしも悪性とは限りません。良性のものも含めて早期発見が重要です。

スポンサーリンク