愛猫の健康長寿
まだ、犬も猫も外で飼われているのが当たり前だった頃と比べると、獣医療やペットフードの進化、そして飼育環境の変化に伴い、飼い猫の寿命は驚異的とも言えるほど長くなりました。
しかし、ただ長生きできるだけでは意味がありません。健康だからこそ意味があるのです。そして愛猫の健康長寿を願わない飼い主さんはいないはずです。
飼い主さんが愛猫の健康長寿のためにしてあげられることにどのようなことがあるのかを、解説します。
愛猫の健康長寿のために飼い主さんが実践すべきこと
1.室内飼育をする
一般社団法人ペットフード協会が2018年に行った犬猫飼育実態調査で、室内のみで飼育が78.3%、散歩・外出時以外は室内飼育が10.7%で、合わせて89.0%の飼い主さんが、猫を室内で飼育をしていることが分かりました。
猫の飼育目的がネズミ退治であった時代は猫を外に出す必要がありましたが、今や完全にその役割は不要になりました。伴侶動物として人と一緒に暮らしている猫に、外に出る必要はないのです。
餌の問題がない限り、猫は元々広い縄張りを必要とはしません。衣食住のすべての環境が身近に揃い、事故の心配や外敵もなく安心して暮らせる室内飼育は、猫にとっても理想的な住環境なのです。
2.避妊・去勢手術をする
猫の繁殖を目的としていないのなら、避妊・去勢手術を受けさせましょう。
1匹のメス猫が1回3匹の子猫を年に3回出産し、生まれた半数がメスだと仮定すると、1匹のメス猫が3年後には225匹に増えている計算になります。
これは決して大げさな前提ではありません。それくらい猫の繁殖力は強力なのです。しかしこれは、餌の確保が難しく、外敵が多く厳しい自然環境だった野生時代に必要な能力で、現代の猫には不必要な能力になってしまいました。
また、避妊・去勢手術をすることで得られる、生殖器関連の病気の予防や発情にともなうストレスの減少といった、猫にとってのメリットを考慮しても、避妊・去勢手術は猫の健康長寿に必要なものだと考えられます。
3.日々の健康チェックと定期的なワクチン接種、健康診断
せっかく長生きできるようになっても、愛猫の病気に気付くのが遅れて手遅れな状態で動物病院に連れて行っても、愛猫は長く苦しい闘病生活を送ることになってしまいます。人と同様に、愛猫の健康管理も「早期発見、早期治療」が基本です。
日々のスキンシップによる愛猫の健康状態チェックと、定期的なワクチン接種、そして血液検査、尿検査、便検査、画像検査も含めた総合的な健康診断の受診を欠かさずに行うことが大切です。
健康診断については、年1回の受診が基本ですが、7歳以上なら年に2回、可能なら年に4回の受診が理想的です。
4.キャットフードを上手に利用する
猫と人とでは、必要とする栄養バランスが異なります。人間の感覚でヘルシーな食事を用意しても、それは愛猫にとってはヘルシーな食事ではないということです。
一昔前とは異なり、今はキャットフードも安全で安心な製品が作られるようになっています。しっかりとキャットフードのことを知り、上手に活用して愛猫の栄養管理を行いましょう。
5.安心できる場所を作る
猫にとって幸せな生活は、安心できる生活です。そして、縄張りこそが安心できる環境であるべきです。しかし、人と一緒に暮らす猫にとっては、その縄張りを人や同居動物と分かち合わなければなりません。
猫の習性を知り、愛猫が安心できる住環境を整えることが、飼い主さんにとっての責任であり、健康長寿に繋がることなのです。
まとめ
愛猫の寿命を延ばし、健康長寿になってもらうためにすべきことは、他にももっとたくさんあります。今回は、最も基本的な事柄に絞ってご紹介しました。
猫の健康長寿を考える時に必要に観点は、適切な獣医療の提供、栄養管理を含めた健康管理、そして猫にとって安心できるストレスフリーな住環境です。
それぞれの年齢ステージごとに、それぞれの観点で必要な条件を洗い出し、できる限り愛猫にベストな暮らしをさせてあげられるようにしたいものですね。