野良猫が短命になりやすい理由
持って生まれた体質にもよりますが、長ければ20年近く生きられる猫もいます。一方で、野良猫の寿命はだいたい5年程度、長くても8年程度と言われています。
野良猫が短命になりやすい理由として、
- 食事の管理がされない
- 医療を受けられない
- 暑さや寒さが厳しい
- 衛生的ではない
- 交通事故のリスクがある
- 虐待のリスクがある
などが考えられます。
野良猫であったとしても、どなたかにごはんをもらえている場合も多くあります。
しかし、目が届かない時に食べてはいけないものを食べてしまったり、不衛生なものを口にしてしまったりするリスクは高いでしょう。
ノミ・ダニをはじめとする寄生虫の予防薬や、感染症予防のためのワクチン接種など、病気の予防についても野良猫の全頭を管理するのは難しいです。
体調不良になった時にすぐ受診することが難しいという理由も、野良猫の寿命の短さと大きくかかわっていると考えられます。
さらには暑さや寒さ、交通事故のリスク、虐待のリスクなど、完全室内飼育をされている猫と比べると野良猫ははるかに危険な環境で生きていると言えます。
適切な飼育で守れる命がある
「外に出ない猫」の方が長寿傾向
一般社団法人ペットフード協会が行う「全国犬猫飼育実態調査」を参考にしました。2020年の猫の平均寿命を見てみると、屋内でのみ飼育されている猫の方が外にも出る猫に比べると3年近く平均寿命が長いことがわかりました。
「外に出る」猫の平均寿命が13.57歳であるのに対し「外に出ない猫」の平均寿命は16.13歳という結果です。
昨年や一昨年の結果を見ても、屋内でのみ飼育されている猫の方が平均寿命が長い結果となっていることから、完全室内飼育をした方が愛猫の寿命を長くする可能性が高いと言えます。
「猫に適した環境で飼育する」ことが重要
ただ室内で飼育すれば良いということではなく「猫の生態や習性を考慮して猫に適した環境で飼育する」ことが重要です。
人間が住むことを前提とされた住宅の中で、人間とは全く異なる習性を持つ猫がどうしたら快適で安全に暮らせるのだろう、と考えてあげる必要があります。
たとえ外に出さず完全室内飼育をしていたとしても、その住まいの環境が猫にマッチするものでなかったらストレスが溜まったり衛生状態が悪くなってしまったりする恐れがあります。
環境の変化に対するストレスケアが重要
もちろん、野良猫を保護することはその子の健康に大きなメリットがあります。しかし、中には保護したことで環境が一変し、それが大きなストレスとなってしまう場合もあります。
特に、長くその地に住んでいる猫は環境の変化を強く感じやすいと考えられます。
猫にとって環境の変化は最もストレスを受けることの1つなので、知らない環境に置かれることにストレスを感じてしまい体調を崩してしまうこともある、ということを理解しておく必要があります。
全ての保護猫が大きなストレスを受けるとは限らず、多くの保護猫が新しい環境で幸せな猫生を歩んでいます。
愛情をくれる飼い主さんがいることは伴侶動物にとって大きな幸せとなりますが、心を持った生き物の命であるため、一概に「絶対にこれが正解だ」と断言できないこともあります。
猫を保護して家に迎える場合は、どうしたら猫のストレスを最小限にできるのか、住まいの環境を含めて考えておくと安心です。
保護団体は引き取り先ではなく、どの団体もすでに飼い主を待つ保護猫たちで満員状態です。
人任せにせず、できる限り自分自身で行うという覚悟が必要ですが、そのためのアドバイスであれば保護活動をされている経験豊富な方々が力になってくれることでしょう。
まとめ
統計データを見る限りでは、完全室内飼育の猫の方が外に出る猫よりも平均寿命が長いことがわかります。
大切なことはただ室内で飼育する、ただ保護するというだけでなく、猫という動物に適した環境で適切に飼育するということです。
家の中であっても、愛猫の骨折や転落、火傷、誤飲などのリスクはあります。
猫の生態や習性を理解して住まいを整備し、ストレスを軽減し、適切な飼育をすることが愛猫の命を守ることにつながります。