1.蚊を避ける為
岩手大学を中心とした4つの大学による共同研究の結果、猫がまたたびに反応する理由はなんと「蚊を避ける為」だったことが分かりました。ただただ陶酔しているだけかと思われていましたが、しっかりとその役割があったのです。
猫がまたたびに反応するのは、江戸時代から知られていることでしたが、その理由はずっと解明されていなかったのです。それがこの研究で明らかにされました。
蚊を避けて刺されないようにすると、蚊が媒介するフィラリアなどの寄生虫、ウイルス感染症などから体を守ることができます。またたびに陶酔しているように見せて実は!裏ではしっかりと身を守っているのです。
2.「ネペタラクトール」に反応
またたびには「ネペタラクトール」という成分が含まれています。これが猫に作用し、ゴロゴロしたりクネクネしたりといったいわゆる「またたび反応」を引き起こすのです。
このネペタラクトールには猫を陶酔させると共に、蚊を避ける効果があることが分かりました。つまりまたたび反応が起きるのは、猫が体にネペタラクトールをつける為なのです。あの可愛くもおかしな行動には、こんな理由があったのですね!
3.多幸感が増している
同研究では、またたび反応を起こしている猫の脳内状態も調べました。その結果、多幸感が増していることが分かったのです。つまり、またたび反応中の猫はその様子からも分かるように「幸せにゃぁぁぁ!」となっているということ。
またたびを嗅いで幸せそうなのは一目見れば明らかですが、今回の研究でそれが科学的にも実証されたということです。
4.1000万年以上から引き継がれている
またたび反応を起こすのは、猫だけではありません。ライオンやヒョウなどの大型ネコ科動物も同様に反応します。いかにも強そうな動物も、またたびの前にはゴロニャンとなってしまうのです。
猫と大型ネコ科動物の起源は同じです。ですが約1000万年前に別れ、別々の進化を遂げてきました。でも同じまたたび反応を示すということは少なくともその頃には既に、またたび反応を獲得していたことが分かります。
1000万年もの前から蚊から身を守る為、ネペタラクトールに反応する力を持っていたのです。それだけの長い歴史がある習性ということ。そう考えると今、目の前でほんわかと寝ている愛猫の背景にある時間の重みを感じます。
まとめ
ただの娯楽であるように思えていたまたたび反応ですが、実はしっかりとした理由があることが明らかになりました。あんな可愛く蚊を避けていたなんて、さすがは猫です。
今回の発見は今後、人に対する蚊の忌避剤の開発や多幸感にまつわる応用への期待が持てます。人にとっても蚊は重大な病気を媒介する厄介な生き物です。猫の積み上げてきた長い歴史が、人の役に立ってくれる日は近いよう。そうなったら益々、猫に頭が上がらなくなりそうです!