1.スプレー
匂いや見た目で自分の縄張りをアピールする行動を「マーキング」といいますが、よく知られているのは「スプレー行動」ではないでしょうか。「尿マーキング」とも言われていて、おしっこの匂いで縄張りを示しています。
スプレー行動は、通常のおしっことはやり方が違います。立ったまましっぽを上げて震わせ、少しのおしっこを壁などに向けてするんです。猫を多く飼っているとスプレー行動を多く見ることがあります。
性成熟したオス猫のおしっこは匂いが強く、家の中が臭くなり、汚れも目立って困りますよね。スプレー行動が多いのは、縄張り意識の強い去勢していないオスです。
スプレー行動の対策としては、避妊去勢手術を受けさせることがすすめられます。スプレー行動を覚える前に手術を受ければスプレー行動をしなくなることが多いですが、すでにスプレー行動が習慣になっている猫では手術後も治まらない場合があります。
猫のスプレー行動の原因が、縄張りの主張ではない可能性もあります。例えば、生活環境への不満、不安や葛藤などがきっかけでスプレー行動をしているケースも考えられます。
猫と遊ぶ、運動ができる環境にする、猫が気に入るトイレ環境にするなど、猫の生活環境を今一度見直してみましょう。
また、家の外に野良猫が来たり、仲の悪い猫がいたりすることが不安の原因になっている場合もあります。野良猫の姿が見えないようにしたり、仲の悪い猫とは部屋を分けるなどの対策もしましょう。
ただ、猫の不安の原因を見つけるのはとても時間がかかる場合もあります。そして、おしっこの匂いが残っていると同じ場所にスプレー行動をする可能性があるので、酵素入り洗剤などで匂いが残らないように掃除をしましょう。
2.体を擦り付ける
猫の顔、しっぽ、肉球、肛門の両側には匂いが出る「臭腺」があります。そこから出る匂いを家具や壁などに擦り付けて、縄張りや自分の物であることをアピールしています。
飼い主さんに甘えるときにもスリスリとするので可愛らしい仕草ですが、いつも決まった場所にマーキングをしていると、そこがベタベタと茶色や黒色に汚れてきてしまいます。
猫がスリスリすることをやめさせることはできないので、汚れが酷くなる前に蒸しタオルや洗剤を使って拭き取る、もしくはダンボールやシートなどを貼って汚れたら取り替えるなどをして対策をしましょう。
3.爪とぎ
猫の「爪とぎ」は、爪のお手入れだけではなく、気持ちを落ち着かせる、気分転換をする、肉球から出る匂いや爪跡でマーキングをするなどの意味があるんです。
爪とぎは猫にとっては大事な行動なので、簡単にやめさせることはできません。しかし、家具や壁で爪とぎで傷がつくのは困りますよね。
爪とぎをしてほしくない場所には、爪とぎ防止シートやダンボールなどを貼って保護したり、物を置いて猫が近づけなくするなどの対策ができます。
また、その場所に「爪とぎ器」を設置してしまう方法もおすすめです。
せっかく爪とぎ器を用意してあるのにそれを使わず、家具などで爪とぎをしてしまう場合は、猫の好みの爪とぎ器ではないのかもしれません。いろいろな種類を試して猫が気に入る爪とぎ器を用意すると、爪とぎで困ることが減る場合もあります。
まとめ
猫がするマーキングは、おしっこを後ろへ飛ばすスプレー、物にスリスリする、爪とぎをするなどの種類があります。
いずれも猫にとって必要な行動ですが、飼い主さんからすると困ってしまう行動でもあります。これらの行動を完全にやめさせることはできませんが、家具や家が傷つかないような工夫をしたり、猫がそういう行動をとってしまう不安や不満の原因を探って解決をするなどして、猫も飼い主さんも快適に暮らせるようにしていきましょう。