「けいれん」とは?
脳からの信号が筋肉にうまく伝わらないことで起こる
脳からの信号が筋肉に伝わり、筋肉が収縮することで身体を意思通りに動かすことができます。しかし何らかの原因によってその信号がうまく伝わらなくなると、本人の意思とは無関係に筋肉が収縮してしまうことがあります。これが「けいれん」の状態です。
けいれん発作中は意識がないことがほとんど
けいれん発作を起こしている最中、脳は興奮状態になっています。そしてけいれん発作中は意識が消失していることがほとんどなので、けいれん中の愛猫に触れると強い力で噛まれたり、抱き上げた際に落下してしまったりする恐れがあります。
けいれんを起こす猫の病気
1.てんかん
猫の「てんかん」には、脳の病気が原因の「症候群てんかん」と原因が不明の「特発性てんかん」の2種類があります。
てんかんのけいれん発作は
- 全身または一部がけいれんする
- 意識消失で白目を剥く
- よだれ
- 手足をばたつかせる
- 泡を吹く
- 失禁する
などの様子が見られます。
2.脳炎
猫の場合は真菌やウイルスなどの感染による脳炎が多く見られます。脳のどの部分が炎症を起こしているかによって症状が異なりますが、
- けいれん発作
- ぐったりする
- 食欲不振
- 歩行の異常
などが症状の例です。
3.脳腫瘍
脳腫瘍の症状には
- けいれん発作
- しゃっくり
- 視力の異常
- 歩行の異常
- 意識の低下
などがあります。
猫の場合、脳腫瘍は特徴的な症状が出にくく気付きにくいことに注意が必要です。
そして脳腫瘍は高齢の猫に多く見られることもあり、特徴的な症状が少ないことに加えて単なる老化現象と思いやすいところに注意が必要です。
4.水頭症
猫の水頭症は先天的な場合が多く、子猫によく見られます。水頭症は脳室に脳脊髄液が過剰に溜まる病気で、
- けいれん発作
- スムーズに動けない
- 意識の低下
- 視力の異常
などが症状です。
5.中毒
猫に有毒な物を食べてしまった時に、中毒症状としてけいれんが起こることがあります。
- アボカド
- カフェイン
- 殺虫剤
- 鉛
などの誤飲誤食には注意が必要です。
心配が要らないけいれん
強度の強い運動をした後、筋肉疲労によって身体がピクピクと震えることがあります。そして眠っている時に夢を見ているのか、手足を動かしたり走ったりするようにして身体がピクピクと動くことがあります。これらは病気というわけではないため心配は要らないでしょう。
愛猫がけいれんを起こした時の対処法
愛猫がけいれん発作を起こした時にすること
全身のけいれん発作を見るとびっくりしてしまいますが、多くの場合けいれん発作は長くても5分間程度で鎮まります。
愛猫がけいれんを起こしたら、
- 愛猫がぶつからないよう周囲の物を退ける
- 発作の時間を測る
- スマホカメラ等でけいれん中の様子を記録する
などの対処をしましょう。発作時間を測ったり動画を撮ったりすると、後の診察時に獣医師に様子を正確に伝えやすくなります。
こんな場合はすぐに病院へ!
けいれん発作が鎮まった後で愛猫が何事もなかったように普段通りの様子に戻っている場合は、それが夜間であったなら受診は次の日でも心配は要らないでしょう。
しかし
- 1日に何回もけいれんを起こす
- 発作後に意識が戻らないまま再びけいれんする
- 発作の時間が5分以上続く
- 発作が鎮まってもぐったりしている
- 発作が鎮まっても呼びかけに反応しない
- 猫に害となるものの誤食
などの場合は緊急性が高いため、すぐに受診しましょう。
まとめ
いきなり意識がなくなってけいれんし始めると、飼い主さんはびっくりして慌ててしまいますよね。
けいれん発作は長くとも5分程度で鎮まることがほとんどですので、けいれん中の愛猫を抱き上げて病院へ移動するよりは、まず周囲の物を退かして愛猫がぶつからないようにし、発作の時間を測りつつ動画を撮っておくと良いでしょう。
しかし、5分以上けいれんが止まらない場合や、1日に頻発するなどの場合は緊急性が高いため、すぐに受診するようにしましょう。
けいれんはてんかんをはじめ、様々な病気の症状として表れることがありますので、発作が鎮まって元気を取り戻しても、できるだけ早く受診し、病気の早期発見と治療開始を心がけましょう。