猫に『おやつ』は必要?正しい選び方3つと注意点

猫に『おやつ』は必要?正しい選び方3つと注意点

最近では様々な猫用おやつが発売されており、多くの猫を虜にする有名なおやつもありますよね。犬の場合は嗜好品としてだけではなく、しつけを効率良く行うための補助アイテムにもなります。しかし猫は犬のようなしつけは難しく、そもそも猫におやつは絶対に必要なのでしょうか?今回は「猫のおやつの必要性」と「おやつの選び方」についてまとめました。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫の食事について

フードの陳列棚

市販のフードは「総合栄養食」が基本

猫の食事は「総合栄養食」のキャットフードを与えることが基本となります。猫の生命維持に必要な栄養素の計算や猫に適した食材を使用することには知識が必要ですので、猫の食事を学習した上で手作りフードを与える飼い主さんもおられます。

総合栄養食の表記があるキャットフードは、その名の通り「これさえ食べていれば生きていける」ように作られたものです。そのため市販のフードを与える場合は、基本として「総合栄養食」のフードを与えます。

持病によって食事を制限する必要がある場合は、獣医師の指導のもとで「療法食」などが処方される場合もあります。

「一般食」や「副食」ってなに?

キャットフードには総合栄養食のほかに「一般食」または「副食」などと表記されているものがありますが、こちらはこれだけを与えても必要な栄養が摂取できないもので、総合栄養食と一緒に与える「おかず」や「トッピング」のような存在です。

そのため市販のフードを購入する際にはパッケージの表記を確認し、それが「総合栄養食」なのか「一般食・副食」なのかを確認しておく必要があります。

猫に「おやつ」は必要?

チュールを食べる猫

「栄養面」から見るとおやつは必要ない

栄養面から考えると、総合栄養食のフードを食べていればおやつを与える必要はありません。一生おやつを食べなかったとしても、主食で栄養を補えていれば猫は生きていくことができます。

おやつは「コミュニケーション面」にメリットが!

栄養面では必須なものではないものの、おやつを与えることには愛猫とのコミュニケーションの面にメリットがあります。おやつは主食のフードよりも嗜好性が高く作られているため、猫が「美味しそう!」と興味を引きやすいです。

おやつの嗜好性を活用すると

  • 猫に「良い出来事」を印象付けられる
  • 猫を希望の場所に誘導しやすい
  • 食欲増進が期待できる

などのメリットがあります。

美味しいおやつをくれた人のことを「自分に大きなメリットがある人」と認識しやすくなるため、猫とのコミュニケーションを良好に行いやすくなります。爪切りや通院など猫にとって「嫌な出来事」がある時、おやつを与えることで「良い出来事」の印象を与えられます。

完全に嫌なことを忘れるわけではないでしょうが、おやつによって嫌な気分が紛れることが期待できます。おやつを持った手を見せながら誘導すると、猫を違う部屋やケージの中など希望の場所に誘導しやすくなるところもメリットです。

そして高齢になって食が細くなった子には、先に少しだけおやつを与えることで食欲が刺激されて主食を食べたくなることもあります。固形ではなく水分量が多いタイプのおやつは水分補給もできますね。

おやつの選び方と注意点

フードを量る人と猫

おやつを選ぶときのポイント

愛猫のおやつを選ぶ際には

  • 1.添加物の有無
  • 2.使用されている原材料
  • 3.硬さや形状

をチェックしてみましょう。

必ず有害とも言い切れませんが、保存料や着色料などの添加物は無い方が安心度は高いです。

猫は見た目よりも匂いに反応するため、特に着色料は猫にとって意味のないものなので入っていない方が良いでしょう。

アレルギーのある猫の場合は、原材料を見てアレルゲンとなる食材が使われていないかをチェックしましょう。

おやつの硬さや形状も、愛猫に合ったものを選ぶと良いでしょう。

猫によっては、硬さや形状によって食べづらさを感じたり、喉に詰まらせやすいものがあるかもしれません。

猫のおやつは固形のものだけでなく、水分量が多いペーストタイプもあります。水分量が多いおやつは柔らかくて歯が弱い猫も食べやすく、水分補給にもなるところがメリットです。

体調・体質・年齢を考慮する

猫に持病があると、栄養素やミネラルを制限する必要がある場合があります。

特定の食材にアレルギーを持っている子もいるでしょう。そして身体が繊細で体調が左右されやすい子猫や高齢猫にとっては、一般的なおやつだと塩分や添加物が負担をかけるリスクが高まります。

このように、体調や体質、年齢によっておやつ選びを慎重に行わなければいけない場合、または獣医師からストップがかかる場合もあるため注意が必要です。

与える量は1日の必要カロリーの「20%以下」が目安

人間もそうですが、おやつばかりを食べて食事をおろそかにしてしまうと、体調不良や肥満の原因になってしまいます。猫の場合も基本は主食を食べることで、おやつはあくまでも嗜好品として与えるようにしましょう。

1日に与えても良い量の目安は、猫の1日に摂取する必要があるカロリーの「20%以下」です。そしておやつ分のカロリーを主食のカロリーからマイナスしないと、「おやつ分+主食分」のカロリーで肥満になってしまう恐れがあります。

主食を食べることの方が大切!

おやつばかり食べて主食のごはんを食べなくなることは心配点の1つです。

もし主食への興味がなくなってしまった場合はおやつを中止し、主食をしっかり食べてもらうようにしましょう。

もしドライフードに抵抗を見せる場合は、総合栄養食のウェットフードに切り替えてみたりドライフードに混ぜて与えてみるなど、おやつではなく主食の方を工夫してみると良いでしょう。

まとめ

舌なめずりをする茶トラ

おやつは主食のフードよりも香りが強いものが多く、嗜好性が高いことが特徴です。おやつの袋が擦れるカサカサッという音を聞いた途端、目をランランさせて走り寄ってくる子も多いのではないでしょうか。

総合栄養食を食べていれば猫に必要な栄養素を摂取することができますので、栄養面から見るとおやつは絶対に必要なものではありません。しかしその嗜好性を活用するメリットはたくさんありますので、上手に活用すると猫と良好なコミュニケーションを取ることができるでしょう。

おやつを選ぶ際には「何が使われているのか」を原材料欄でチェックし、猫に合わせて形状や硬さを選んであげましょう。猫の体調や体質、年齢を考慮して種類を選ぶこと、そして与える量をしっかり管理してあげることが大切です。

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