1.不安や葛藤
「口周りを清潔にするため」ではない舌なめずり
猫が食事中や食べ終わった後に舌なめずりをするのは、口の周りについてしまったフードを拭い取ったり「は~!食べた食べた!」という満足した気持ちの表れだと読み取れます。
しかしごはんを食べたり水を飲んだりしていない時にも、猫は唐突に舌なめずりをすることがあります。この場合の舌なめずりは「舐めて口をキレイにする」というような目的で行っているわけではなく、精神的な理由で行っている場合が多いです。
突然関係ない行動をする「転位行動」
唐突な舌なめずりは猫の「転位行動」の1つです。転位行動とは、今の状態と全く関係のない行動をすることで気持ちを紛らわせたり落ち着かせたりしようとする「心のバランスを取るため」の行動です。
転位行動を起こす時の猫は
- 不安を感じている
- 心に葛藤がある
- 緊張している
- 困惑している
などの気持ちであると考えられます。
飼い主さんや他の同居猫と目が合い続けた時や遊んでいる最中などに、転位行動の舌なめずりが見られることが多くあります。目が合い続けた場合は「敵意はないんだけど目が合っちゃったな…」「なんで見つめてくるんだろう…緊張するなぁ」というような不安や緊張の気持ち、遊んでいる最中では「どうやって仕留めようかな…」「おもちゃが変な動きをしたぞ?!」というような、次にどんな行動を取ろうか迷っている気持ちが推測できます。
2.じれったい気持ち
猫は「要求がある時」にジッと見つめてくることも多い
愛猫の体内時計が正確でビックリすることってありませんか?
ごはんの時間になるとソワソワし始め、飼い主さんの周りをウロウロしたり頭突きをしてきたり、目の前に鎮座してジッと見つめてくることも。
「目を合わせると敵意のサイン」と言われますが、猫は結構人の目をジッと見つめてくることがあります。それは「要求があるとき」に多いです。
しかしやはりずっと目を合わせ続けるのは気まずいのか、まばたきをしたり舌をペロッと出して自分の鼻や口周りを舐めたりするのをよく目にします。これには2つの気持ちが考えられます。
「おねだり」と「じれったい気持ち」
1つは、ただ見つめている状態にならないよう違う行動を挟むことで「見つめてるけど、敵意じゃないからね?」というコミュニケーションのためです。
もう1つの理由として「もうごはんの時間だよ?あぁじれったいなぁ…」という催促のような気持ちも含まれていると推測できます。
ごはんの時間だけでなく、お気に入りのおもちゃを持参して「遊んで!」と誘ってきたときにも舌なめずりをしていることがありますね。「このおもちゃを投げてほしいんだけどなぁ…ウズウズ…」という気持ちでしょうか。
3.病気のサインであることも…
口内炎や歯肉炎
口内炎や歯肉炎など、口の中の痛みや不快感によってしきりにペロペロと自分の口を舐めていることがあります。
クチャクチャと音を立てるように口を動かしていることも。口の中にトラブルがあると、よだれが多くなったり口臭が強くなったりする異変も見られやすいです。痛みが強いとごはんを食べなくなることもあります。
口内炎は痛みによって辛い思いをしますし、口内環境の悪化で歯周病になると歯を失ったり顔が腫れてしまったりすることもあります。
猫の口の中はなかなかチェックしづらく発見が遅れがちなので、様子がおかしいなと感じたら早めに受診してチェックしてもらうと安心です。
吐き気がある時
吐き気がある時にも舌なめずりが多くなることもあります。猫は人間と比べると吐くことが多い動物ですので、嘔吐後に食欲も元気もある様子であればしばらく様子を見ても心配はないでしょう。
しかし何度も嘔吐を連続する場合や最近吐く回数が多くなったと感じた場合は、病気や中毒症状である疑いもありますので早めに受診するようにしましょう。
まとめ
猫がペロペロッと舌なめずりをする姿はとってもカワイイですよね。
ごはんを食べた後の舌なめずりは口の周りをキレイにするためや「満足の気持ち」の表われであることはイメージできますが、唐突に舌なめずりをする時には不安や葛藤、催促、敵意はないという気持ちなど、感情の表れである場合が多くあります。
また感情表現だけでなく、しきりに舌なめずりをしているときには口内の痛みや吐き気など病気のサインである場合も。些細な仕草ながら奥が深い愛猫の舌なめずりについて、病気の早期発見のためにもぜひ注目してみてください。