猫が鼻を「ヒクヒク」動かす理由
猫の行動を何気なく見ていると、「ヒクヒク」と鼻の穴が動いていることがあります。これは何をしているのでしょうか?
その理由の多くは心配のないものです。ただし、中には注意が必要なものもあります。いくつか例を挙げてみます。
1.食べ物のにおいを確認する
猫の嗅覚は、聴覚の次に優れています。フードや水の状態も、においを嗅ぐことで微かな腐敗も見逃しません。
野生の世界では、腐った食べ物や毒性のあるものを口にすることは命取りです。家猫として暮らしている現代の猫も、その名残りから念入りに確認して食べています。
2.安全確認のため
猫が確認するのは腐敗臭だけではありません。気になるものは、とりあえずにおいを嗅いで確認します。
なぜ目視ではなく、鼻で確認するのか気になるところですよね。実は、猫の視力は動体視力が優れている一方で、通常の視力は良くありません。人間で言うと近視にあたります。
静止した物体は、目視よりもにおいを確認したほうが都合が良いのです。
3.空気の分析をする
換気のために窓を開けると、愛猫が鼻をヒクヒクさせることが多いのではないでしょうか?これは、室内に取り込まれる外界の空気を確認する行動です。
猫はにおいによって様々な情報を得ています。例えば、他所の猫のにおいや獲物の居場所などです。実際に外出することがなくても、このように刺激を受けることができます。
さらに詳しく分析したいときは、鼻をヒクヒクさせるのではなく、ぽかんと口を開けた変顔をします。これは「フレーメン反応」です。猫の上顎の奥には、ヤコブソン器官というにおいを分析する器官があります。分析中はどうしても変な顔になってしまうのです。
4.猫同士の挨拶
猫同士が挨拶をする際も、やはり重要なのはにおいです。鼻を積極的に動かして、相手のにおいをインプットします。
ちなみに、どちらからにおいを嗅ぐかというと、立場が上の猫が先に下の猫のにおいを嗅ぎます。下の猫からすると、少々緊張を伴う場面なのかもしれませんね。
5.呼吸が荒くなっている
犬とは異なり、猫は完全に鼻呼吸をして生活しています。よって、通常は口を開けて呼吸することはありえません。
ところが、何らかの理由で呼吸が苦しくなると、普段よりも激しく鼻をヒクヒクさせます。特に分析すべきにおいがないのにも関わらず、このような行動に出ているときは要注意です。
また、犬のように口を開けて「ハァハァ」と呼吸(開口呼吸)をしていたら呼吸困難を起こしています。動物病院を受診しなければなりません。
呼吸困難を引き起こす病気
開口呼吸を伴うほどの呼吸困難を引き起こす主な病気は以下の通りです。
- 熱中症
- 気管支炎
- 肺炎
- 貧血
- 胸水
- 心疾患など
猫の正常な呼吸数は1分間に24~42回です。胸に手を添えて確認しましょう。さらに震えや、呼吸に応じて頭を大きく動かすなどの仕草がないか確認してください。異変があれば、直ちに動物病院を受診しましょう。
まとめ
猫が鼻を動かす理由のほとんどは、においを確認する行動でした。弱い視力を補うための行動なので、あたたかく見守ってあげましょう。
しかし、呼吸を補う目的で過剰にヒクヒクしていたら要注意です。状況を伝えやすくするために動画を残し、獣医さんの診察を受けましょう。