猫の癌とステージ
生活環境やフードの進化に伴い、猫も長生きができる時代になりました。しかしその一方で、癌を発症する猫も増えているという悲しい現実があります。
猫がかかりやすい悪性腫瘍の中で、最も多いのは乳がんです。タチの悪いことに乳がんの8割は悪性の乳腺癌になります。未避妊で高齢期を迎えた猫(10歳以上)にリスクがあると言われています。
癌には人間同様に、進行度合いを示すステージが存在します。乳がんを例にご紹介いたします。
ステージ1:腫瘍直径2cm未満。リンパ節転移なし
ステージ2:直径2~3cm。リンパ節転移なし
ステージ3:直径3cm以上。転移があることも
ステージ4:遠隔転移あり。(肺や骨など)
癌の主な治療法
根治を目指す癌治療には次の2つがあります。
外科手術
外科手術で腫瘍を摘出します。ただし、適応はステージ3までになります。ステージ4になっていても腫瘍が破けてしまうなど生活に支障が出てしまう場合はQOLの向上のために手術を行うことがあります。猫は乳房の数が多いですが、多発した場合でも可能であれば1回の手術ですべて切除することが多いです。
抗がん剤治療
摘出した腫瘍は病理検査を行い、腫瘍の種類や浸潤の程度、リンパ節への転移などを見極めて、抗がん剤を用いた治療を行います。術後に抗がん剤治療を行います。
抗がん剤は効果が期待できる反面、副作用もあります。主な副作用は、消化器症状・腎機能低下・骨髄抑制などです。
さらに気をつけなければならないのは、人間への影響です。投与後2~3日は糞尿から発ガン性のある成分が排出されることがあります。小児のいるご家庭では排泄物の処理に十分気を付け、獣医さんと治療方針についてよく話し合ってください。
ステージ4の愛猫にしてあげられること
癌の早期発見は難しく、発見時にはある程度進行していることも珍しくありません。先ほども挙げたように、癌がステージ4まで進行してしまうと手術ができません。抗がん剤治療にも限界があります。
では何もできないのでしょうか?そんなことはありません。根治を目指すことができなくても、できることがあります。愛猫のためにできることことを3つご紹介いたします。
1.痛みを和らげる治療(緩和ケア)
動物の癌も、全てではないものの痛みを伴います。それは癌そのものの痛み・臓器や転移した場所を圧迫する痛みなどです。それらの痛みを和らげる治療は、最後まで愛猫らしい生活を続けさせてあげるために大切なケアになります。
2.酸素室を設置する
癌により、肺が侵されると息苦しさや呼吸困難に陥ります。高濃度の酸素を摂取できる特殊なケージを設けることで、呼吸の手助けをすることが可能になります。
酸素室は、レンタルすることで在宅でも活用することができます。レンタルに関する詳細は「猫 酸素室 レンタル」と検索するか、動物病院で相談してみてください。
3.笑顔で接する
愛猫の闘病生活は辛い闘いです。それでも敢えて「笑顔で」というのには理由があります。飼い主さんとご家族が普段通りに接してあげることが、猫にとって一番安心することだからです。
猫は環境の変化を嫌います。穏やかに、できる限り笑顔で愛猫に声をかけ続けてあげてください。
まとめ
ステージ4の癌は、緩和ケアが要になるでしょう。緩和ケアは「気休め」や「諦め」の治療ではありません。最後まで「その人らしさ、その猫らしさ」を諦めないために行うことを目標とした治療です。
たとえ末期癌という状況に陥っても、穏やかに過ごす日常は諦めないでください。飼い主さんが笑顔でそばにいてくれることが、愛猫にとって一番の原動力になると思います。