病気が原因の場合
皮膚のトラブル
感染症やアレルギーなどによって皮膚に強い痒みや違和感があると、自分でその部分を舐めたり噛んだりし続けてしまうことがあります。特定の部分を舐めたり噛んだりし続けた結果、その部分に脱毛が見られることもあります。
ただ「痒みや痛みが原因で毛をむしった」のか「毛をむしり続けたから皮膚炎を起こした」のかを見極める必要があります。猫の舌はザラザラしていますので、過剰に一ヵ所を舐める付けると皮膚が傷付きやすいです。そのためストレスが原因で特定の部位を舐めたり噛んだりして、二次的に皮膚炎を発症することもあります。
膀胱炎や腎臓病
皮膚のトラブルだけでなく、膀胱炎や腎臓病など内臓のトラブルが原因で「外側から」気にしてしまうケースもあります。毛をむしってしまう箇所のすぐ内側にトラブルがあるとも限らず、身体の内側で起こっている痛みや違和感を紛らわそうとして過剰なグルーミングを行ってしまうこともあります。
ストレスが原因の場合
不安なことがある
猫のセルフグルーミングは身体を清潔にするためだけでなく、自分自身を落ち着かせるために行うこともあります。不安を感じる状態が慢性的になると過剰にセルフグルーミングを続けてしまい、脱毛や皮膚の炎症に繋がることがあります。セルフグルーミングが過剰になると、毛を舐めるだけでなく噛んでむしってしまうこともあります。
- 多頭飼育
- 引っ越し
- 外からの大きな音
- 長時間の留守番
など、愛猫にとって不安なことが起こっていないかチェックしてあげる必要があります。
退屈している
猫にとって「退屈」もストレスになります。家で飼育される猫は「獲物を捕る」ことをしなくてもごはんが用意されます。しかし猫には野生本来の「獲物を捕まえたい」という欲求があります。
これを叶えてあげるために「遊び」が必要になるのですが、遊びの時間が不足すると猫ちゃんが退屈してしまいストレスになることがあります。
愛猫が毛をむしってしまう時の対策
病気の治療
皮膚炎や内臓疾患が原因となっている場合、それらの治療をしてあげると改善する可能性が高いです。毛をむしるに至った痛みや痒み、違和感を軽減してあげることが大切です。
ストレスの解消
猫ちゃんに皮膚炎や内臓疾患などが見られない場合、猫ちゃんのストレスが原因となって毛をむしっていることも考えられます。猫ちゃんの不安やイライラの原因が現在の生活の中にないかチェックしてあげましょう。
そして遊びの時間が不足して猫ちゃんが退屈していないかも併せて見直してあげましょう。飼い主さんとの遊びの時間を充実させるとともに、猫ちゃんがひとりで遊べるおもちゃも用意してあげると良いでしょう。
癖付いてしまっている場合
長期に渡って過剰グルーミングをしていると、それが癖付いて習慣になってしまうこともあります。原因となっていた病気やストレスが改善された後も毛をむしり続けてしまい、なかなか脱毛が改善されないことも。そのような場合は獣医師と相談し、一時的に服を着させて脱毛部分を保護することが選択される場合もあります。
深刻な場合は獣医師に相談する
あまりにも毛をむしることが深刻になっている場合、人間でいう強迫性障害のような状態の「常同障害」と診断されることもあります。
常同障害は「ストレスの解消」というレベルを超えて「毛をむしっていないと安心できない」という状態になってしまっています。この場合は獣医師と相談しながら治療をしていく必要があります。
まとめ
「痒いから毛をむしってしまった」とは想像しやすいですが、中には内臓疾患が原因で毛をむしっているケースもあるというところに注意が必要です。
猫は「気を紛らわせるため」にもセルフグルーミングを行うため、皮膚炎のように直接的な原因でなく内臓疾患による痛みや「退屈」「不安」など精神的なストレスによっても過剰にグルーミングを行うこともあります。
グルーミングが過剰になるとザラザラな舌で皮膚を傷付けたり、舐めるだけでなく噛んだり毛をむしってしまうこともありますので、それによって二次的に皮膚炎を発症することもあります。
愛猫がなぜ毛をむしってしまうのか、身体的な病気とともに精神的な問題も多方面から考えてあげる必要があります。出血が見られたり「あまりにも長時間に渡って身体を舐め続けている」というような場合には、獣医師と相談しながら解決していくようにしましょう。