猫の『分離不安症』を引き起こしやすい飼い主の特徴3つ

猫の『分離不安症』を引き起こしやすい飼い主の特徴3つ

以前は犬の病気と考えられていた分離不安症ですが、最近では猫に多くみられるようになってきました。その背景には、飼い主さんと飼い猫との関係のあり方にも問題が潜んでいるようです。今回は、飼い猫に分離不安症を引き起こしやすい飼い主の特徴についてまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

分離不安症ってどんなもの?

牙を剝く猫

分離不安症とは、愛着がある対象者(主に飼い主)と離れることに、とても強く激しい不安を抱き、それが原因で現れる苦痛を伴うような様々な症状のことです。人や犬でよく知られていましたが、最近は猫にも多くみられるようになってきました。

猫の場合、分離不安症の症状として現れる行動には、破壊行動、大声で鳴き続ける、攻撃行動のような外向的なものと、抑うつ状態、過剰なグルーミングによる自傷、不適切な場所への排泄といった内向的なものがあります。

猫の分離不安症をめぐる背景

抱かれる猫

以前は、分離不安症は犬の病気だと思われていました。猫は単独行動を好む自立心の強い動物なので、飼い主に強い愛着を抱くとは考えられていなかったのです。

しかし2020年4月15日に「PLOS ONE」オンライン版に公開された「飼い猫の分離関連問題の特定」という論文では、飼い猫の1割以上が分離不安症の症状を抱えていると報告しています。

日本でも、完全室内飼いが常識となり、しかも一人暮らしの飼い主が増えているため、飼い主から強い愛情を受け、生涯親離れしない猫が増えている事が要因だと考えられています。

猫が分離不安症になるリスク因子

甘える猫

前述の通り、猫が分離不安症になる原因は、強い愛着、言い換えると依存心を、飼い主に持ってしまうことです。猫が飼い主への依存心を高めるリスク因子を下記に挙げます。

  • 独りでの留守番時の恐怖体験がトラウマになった
  • 捨てられたり次々と飼い主が変わったりという経験がある
  • 飼い主から絶えず溺愛を受けている
  • 自分だけに注がれていた愛情や関心が他に向かうようになった

飼い猫を分離不安症にさせやすい飼い主の特徴3つ

1.溺愛タイプ

抱かれる猫2

まず挙げられるのは、飼い主自身が飼い猫に依存しているとも言える程飼い猫を溺愛し、四六時中過剰な愛情を注ぐタイプの飼い主です。

いつも一緒で、少しでも離れると気になって仕方がないという状態は、分離不安を引き起こしやすいです。適度な距離、一人になる時間を持つようにした方が良いでしょう。

2.無頓着タイプ

一緒に暮らしている猫に愛情を持っているものの、猫に対して無頓着な飼い主も、飼い猫を分離不安症にさせてしまう可能性が高いと言えるでしょう。

このタイプの飼い主は自分のことが一番なので、猫が安心できる居場所がない事に気付かない、留守中に突発事故が起きてもフォローできずトラウマにさせるという事が考えられます。

例えば大震災を考えてみましょう。大きな地震や度重なる余震に怯え、飼い主はいつまで経っても帰宅しない。そんな経験をしたのにフォローされなければ、留守番が怖くなるのも当然です。

3.自分勝手タイプ

寂しそうな猫

自分が寂しい時は猫を溺愛し、そうでない時は放ったらかしにするタイプの飼い主も、愛猫を分離不安症にさせる可能性が高いと言えるでしょう。

飼い主の人生にもいくつかの節目があり、その時々で生活環境が変わります。家族の増減、多忙で在宅時間が減った等の理由で、100%だった猫への関心が減ってしまうこともあるでしょう。

生活環境が変わった場合も、愛猫への愛情は変わらない事を態度で示す事が大切です。

まとめ

子猫

分離不安症は、心の健康バランスが崩れて生じます。愛猫に分離不安症が疑われる場合は、動物病院に連れて行きましょう。専門家の指導の下で行動療法と環境改善を行うのが基本です。

愛猫とはいつもべったりの関係ではなく適度な距離感を保った関係性を構築したいものです。

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