猫にも健康診断を受けさせることのメリット3つ

猫にも健康診断を受けさせることのメリット3つ

ある程度の年齢になると、私たちは人間ドックを受けるようになります。同じように、猫にも総合的な健康診断のメニューが用意されている動物病院が多いです。検査項目にもよりますが、決して安くはありません。猫にも定期的な健康診断が必要なのか、そのメリットについて整理しました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

健康診断って猫にも必要?

採血される猫

動物病院に行くと、大抵の病院には犬や猫のための健康診断メニューが用意されていて、定期的な受診をすすめられます。検査項目は多岐に渡り、必要に応じて項目を選択できますが、決して安い費用ではありません。

果たして猫に対しても健康診断は必要なのだろうか、単なる動物病院の金儲けなのではないだろうかと考える方もいらっしゃるようです。今回は、猫に定期的に健康診断を受けさせることのメリットについて整理してみましたので、参考にして頂ければと思います。

健康診断のメリット

レントゲン写真を見る獣医

1. 病気の早期発見

人と同じように、猫にとっても病気の早期発見は健康管理上とても重要なポイントです。猫は言葉で体調の悪さを伝えられませんし、痛みや辛さなどを他者に知られないように隠す習性があるので、飼い主さんが気付いた時には手遅れということも少なくありません。

2. 生活改善

人と同じように、猫にとっても生活習慣病は大きな問題です。肥満や歯周病の猫達は年々増えています。定期的な健康診断によりこれらの兆候が見られた時点で、早期に生活を改善しましょう。

3. 健康時の状態把握

人と同じように、猫の健康診断では複数種類の検査を受けます。これらの検査数値は、猫によって基準値より高めであったり低めであったりします。日頃から定期的に健康診断を受けておく事で、愛猫が健康な状態の時の数値を把握する事ができます。

具合が悪くなった時の検査結果を健康な時の数値と比較する事で、より正確な診断をしてもらう事ができますし、定期的な受診でどのように変化しているのかも把握できます。

検査項目

血液の顕微鏡写真

猫の健康診断で標準的に用意されているメニューには、一般的な検査(体重、体温、心拍数、視診および触診)の他に下記のようなものが挙げられます。

(1) 血液一般検査
赤血球、白血球、血小板の数、形を確認し、貧血や感染の有無を確認します。

(2) 血液化学検査
内臓のそれぞれの働き具合を確認し、肝臓病や腎臓病、糖尿病などの診断に有効です。

(3) X線検査
臓器の拡大や縮小、位置、数や異物の有無を確認します。

(4) 超音波検査
臓器の内部構造、大きさを確認し、心臓の弁障害、心筋症やリンパ節の腫大の有無などの診断に有効です。

(5) 尿検査
尿の比重(濃さ)、血尿、尿内の細菌の有無などを確認し、泌尿器系疾患や糖尿病の診断に有効です。

(6) 便検査
内部寄生虫の有無や便中の細菌バランスの状態、消化の状態などの診断に有効です。

健康診断の頻度

くつろぐ猫

考え方は人により様々ですが、一般的には若い内は1年に1回、8歳以上は半年に1回が適当だと考えられています。人間の1年に1回の受診に相当する1年に4回の受診が適当だとの考えもあります。

猫の8歳は人間の48歳に相当し、猫の1年は人の4年に相当する事を考慮して決めると良いでしょう。

また、愛猫の年齢に合わせて検査項目を増やしていく事をおすすめします。特に、腎臓系疾患はかなり病状が進行しないと血液化学検査の数値に表れません。そのため、ある程度の年齢になったら少なくとも尿検査とX線検査は必要だと考えると良いでしょう。

まとめ

タワーで眠る猫

健康診断は、病気の早期発見の他にも、生活改善や健康時の状態を把握するための目的がある事も知って頂き、普段の愛猫の健康管理に上手に活用しましょう。

健康診断を受けて結果が良くても、その後に発病する可能性がゼロだという訳ではありません。しかし、適切な頻度で健康診断を続ける事で時系列の変化を追えますので、その時々に必要な予防策を上手に取っていきましょう。

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