「この子の赤ちゃんが見たい!」飼い猫を自分で繁殖させても良いの?

「この子の赤ちゃんが見たい!」飼い猫を自分で繁殖させても良いの?

大好きな可愛い可愛い愛猫。その子猫たちはもっともっと可愛いのでは?赤ちゃんが見てみたいと自家繁殖を考える飼い主さんは少なくないでしょう。でもちょっと待って!自家繁殖にリスクなどはないのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.自分で繁殖させることは不可能ではない

授乳中

不妊手術を行なっていないオス猫とメス猫がいれば、飼い主さんがご自身で繁殖させることは可能でしょう。そして生まれた子猫たちを十分に育てていけるという環境があるのなら、やってはいけないということはありません。特に法律で禁止されているということもないですし。

ただ自家繁殖には賛否両論あります。非常に難しいテーマでもあるのです。飼い主さんによって考え方は様々でしょう。「健康な体にメスを入れて産めなくするのは可哀想…」という方もいれば、「増えすぎて面倒を見られなくなったらそれこそ悲劇」と思って愛猫に不妊手術を受けさせる方もいます。

もし自家繁殖を考えているのなら、以下の項目を読んで頂いてから十分に検討して欲しいと個人的には願います。

2.殺処分される猫がいる現状

ケージの中の子猫

環境省の資料によると、年間で約10万匹の猫が殺処分されています。そのうちの約7割は離乳前の子猫です。まだヨチヨチ歩きの段階で処分されてしまうという現実があるのです。

飼い主さんを必要としているのに、その願いが叶わずにこの世を去らなければいけない猫のあまりに多いこと。普通に暮らしていると見えない部分ですが、社会の影でこんなにもたくさんの猫が強制的に殺処分されていることを知って頂きたいのです。

3.里親を募集している猫がたくさんいる

ケージの外を見る子猫たち

運よく殺処分を逃れられた猫は、保護団体などにより里親募集して貰えます。そして無事に里親さんが見つかったら、大抵は幸せな一生を送れるでしょう。

ただここにも落とし穴があることは否めません。里親さんの事情で飼えなくなり捨てられてしまったり、悪質な里親の元でひどい扱いを受けたりする可能性もゼロではないのです。猫の一生は過酷と隣り合わせなのです。

4.漠然とした理由なら…

悲しそうな猫

今日も優しい飼い主さんの登場を待ちわびているたくさんの猫たち。もちろん、可愛い愛猫の子供の顔が見てみたいという希望は誰にも否定できるものではありません。それだけ愛情があるということなのですから。

ただ自家繁殖をさせる確固たる理由がないのなら、一度立ち止まって猫たちの現実を考えて頂くと良いでしょう。「可愛い子猫がたくさん増えて幸せ!」と喜んでばかりいられない事態が押し寄せてくる可能性もあります。次項をご参照ください。

5.猫は2年で80匹に増える

たくさんの野良猫

猫は成長がとても早い生き物で、生後早くて4ヶ月ほどでメス猫は出産できるようになります。オス猫も生後8ヶ月以降にはメス猫を妊娠させることができるのです。

しかも妊娠率が100%に近いので、放っておくとものすごいスピードで増えて行くのです。計算上では1匹の猫が2年もあれば80匹に!果たしてこの数を一般のご家庭で面倒見きれるのか?という疑問が浮んできます。

たまにニュースで目にする「多頭崩壊」という文字がリアルに想像できてしまわないでしょうか?猫を繁殖させるということは、このようなリスクも背負っているということなのです。

まとめ

母猫と子猫

子猫はもちろん、子育て中の愛猫を見るのはとても幸せでしょう。少しずつ成長していく子猫たちの様子も微笑ましいです。ですがやはり、今の日本が抱える猫の現状も無視してはいけないのではないでしょうか?

繁殖させるか否かを決めるのは飼い主さんです。猫たちの現状を知り、その上で懸命なご判断をして頂けるよう切に願います。

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