抜け毛が少ない条件とは?
猫の抜け毛の量を左右するのは「コートのタイプ」と「毛の長さ」の2つの要素があります。
「シングルコート」と「ダブルコート」
猫の被毛の分類に「シングルコート」と「ダブルコート」に分ける方法があります。これは被毛の構造が「一層か二層か」の違いで、シングルコートは「オーバーコート(上毛)」のみの一層、ダブルコートは「オーバーコート(上毛)」と「アンダーコート(下毛)」の二層の被毛の構造になっています。
換毛期にはその季節に合わせて毛の量を調節し体温調節をするためにアンダーコートがごっそりと生え変わるのですが、二層構造でアンダーコートを持つダブルコートの品種はアンダーコートを持たないシングルコートの品種よりも抜け毛の量が多くなります。オーバーコートはどの品種においても、常に少しずつ抜けて生え変わっています。
「短毛」か「長毛」か
長毛種だからと言って抜け毛が多いとも限らず、短毛種であっても抜け毛が多い種類もあります。しかし短い毛と長い毛を比べると、長い毛の方が抜けた時のボリュームが多く感じます。
また長毛種には「寒い気候に耐えるため」にダブルコートの豊かな被毛を持っている品種も多いこともあり、長毛種の方が短毛種よりも抜け毛が多く感じやすい傾向があります。ただ、抜けた長い毛は短い毛よりもボリュームは多くてもまとまりやすく、逆に抜けた短い毛は服やソファなどの布にささって残りやすいこともあります。
「シングルコート×短毛種」は換毛期の抜け毛が少なめ!
コートの種類や毛の長さから考えると「シングルコートで短毛の品種」は抜け毛が少ないと考えられます。アンダーコートが生え変わる換毛期がほとんどなかったり、換毛期があっても抜ける量が少なかったりします(シングルコートを持つと言われている品種でも、少しだけアンダーコートを持っていることもあります)。
シングルコートであることに加えて、短毛種であるとより抜け毛が目立ちにくいと考えられます。しかしその子の毛質によっても抜け毛の量や目立ち方が異なることはあります。
シングルコートで短毛であること以外にも、毛が縮れていることで抜け毛が少ないと言われている品種もありますが、まずは、抜け毛が少ないと言われているシングルコートで短毛の猫種の一部をご紹介します。
1.シンガプーラ
シンガプーラは純血種の中で「世界最小の猫」とされています。シンガプーラの1本の毛には複数の色が存在し、毛先に行くほど濃い色をしています。光が当たると輝いて見える美しい被毛が特徴の猫です。
シンガプーラはその名前の響き通り、シンガポールにルーツがあります。シンガポールは熱帯気候であり、シンガプーラの被毛はシングルコートの短毛です。「抜け毛が目立ちにくい」というシングルコートと短毛という両方の要素がある上に体が小さいため、シンガプーラは抜け毛が少ない品種と言えます。
2.オリエンタルショートヘア
オリエンタルショートヘアはシャムにロシアンブルーやアビシニアンなどの他の品種と掛け合わせて誕生した品種で、スリムな体型に大きな耳が特徴です。
またその被毛も特徴的で、なんと280種類以上もの毛色があると言われています。シャムと他の品種を掛け合わせたことで、ポイントカラーを持たないこと以外はシャムと同じ、そして非常にバリエーション豊かな毛色を持つ猫種が生まれました。被毛はシングルコートの短毛という抜け毛が少ない2つの要素の他に、被毛が体にぴったり沿うように生えていることもあり、抜け毛が少ない品種となっています。少量のアンダーコートを持つ場合もあるそうですが、それでも抜け毛は少ないそうです。
3.コラット
コラットはロシアンブルーによく似た見た目をしていますが、ロシアンブルーは原産国がロシアでコラットの原産国はタイです。寒いロシアと高温多湿なタイという違いに関係すると思われますが、ロシアンブルーはダブルコートでコラットはシングルコートという違いがあります。
毛の色もコラットの方が金属色に似た暗いグレーをしています。コラットは14~18世紀まで続いたアユタヤ王朝時代の文献に「幸福の象徴」として登場していることから「幸福をもたらす猫」と呼ばれています。シングルコートで短毛種という抜け毛が少ない要素を持った猫種です。
さて次に、被毛が短いどころかほとんど生えていない猫種をご紹介します。ほとんど毛が生えていないので、抜け毛はないと言ってもいいでしょう。
4.スフィンクス
もはや体の一部に産毛程度しか生えていないスフィンクスならば、他の猫のような換毛期の悩みもありません。スフィンクスはカナダ原産の猫で、突然変異で誕生した無毛という特徴を固定した品種です。なんといっても見た目が個性的で、産毛程度しか生えていない被毛とシワ感のあるとても柔らかい皮膚が特徴です。
そしてなんとヒゲもほとんど生えていないということも驚きポイントです!被毛はほとんどありませんが、皮膚自体に色素がある子もいるので柄のように見えることも。ミステリアスな見た目とは裏腹に、人間が大好きで人見知りをしない子が多いそうです。
換毛期の抜け毛に悩まされないという点では飼いやすいかもしれませんが、猫自身の健康という点では、肌が傷つきやすかったり乾燥しやすいために一般的な猫以上のお手入れや気遣いが必要で、寒さにも弱く、また一般的な猫よりもカロリーを多く必要とするそうです。
ほとんど毛の生えていない猫種は他にもあり、スフィンクスと他の猫種との交配によって生まれた猫種や、ドンスコイと呼ばれるスフィンクスとは別に確立された無毛の猫種とその交配種は、いずれも抜け毛がないと言えるでしょう。
また、シングルコートを持つと分類される猫種の中には、デボンレックスやコーニッシュレックスのように、オーバーコートが(ほとんど)なく、アンダーコートのみの一層構造の被毛を持つものもいます。これらの猫種も、抜け毛が少ないと言われています。
まとめ
今日のねこちゃんより:きりく♂ / 1歳 / スフィンクス / 5kg
私は猫と暮らし始めてから、抜け毛が付くと目立ちやすい黒い服を避けがちになってしまいました。洋服用のコロコロも必需品です。どんな猫の種類であれ抜け毛があるものですが、品種やその子の個性によって毛質が異なるため抜け毛の多さ、目立ちやすさ、掃除のしやすさには違いが見られます。
私はロシアンブルーと日本猫(短毛の茶トラと黒猫)の3匹と暮らしておりますが、3匹とも抜け毛の感じに差があります。やはりダブルコートのロシアンブルーは、換毛期の抜け毛が最も激しく感じます。ロシアンブルーほどコートが厚くない茶トラと黒猫であっても、季節によって抜け毛が多くなります。
さらに茶トラの子と黒猫の子を比べると、茶トラの子は換毛期にはそれなりに抜け毛がありますが、黒猫の子は最も抜け毛が少ないです。その子の抜け毛の多さに合わせてブラッシングの頻度を変えてあげることが重要だと感じます。