タイプ別キャットフードの賞味期限と最適な保存方法

タイプ別キャットフードの賞味期限と最適な保存方法

キャットフードにはいくつか種類があり、適した保存方法や賞味期限の長さが違ってきます。保存方法が適切でないとフードの風味が落ちるだけでなく、湿気や酸化、菌の繁殖などで不衛生な状態になってしまうことも。今回はフードのタイプ別に、その賞味期限や適切な保存方法を解説いたします!

SupervisorImage

記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

ドライフード

レースの敷物とドライフード

水分量が少なく長期保存しやすいタイプ

ドライフードとは水分量が約10%以下の固形状のフードのことです。その形状から「カリカリ」とも呼ばれていますね。ドライフードは水分量が少ないので、キャットフードの種類の中で缶詰やレトルトパウチのものに次いで長期保存しやすいタイプです。賞味期限はメーカーや製品にもよりますが、未開封で半年~2年程度に設定されているものが多いようです。

ドライフードの保存ポイント

長期保存しやすいとはいえ、開封してしまうと風味が飛び、湿気を吸ったり酸化したり、保管場所や方法が悪いと菌やカビが繁殖することもありますので注意が必要です。

  • 湿度が高い場所を避ける
  • 密閉容器に入れる
  • 小分けにして保存する
  • 開封後は約1か月以内に食べきれる量の製品を買う

などを意識して保存しましょう。

脂肪分を含むフードの酸化を防ぐため、真空状態にできるフードストッカーがあるとより長期間品質を保ちやすくなります。また大袋で買うよりも小袋で購入した方がフードの劣化(酸化)が防げますが、大袋の方が安価であることも多く多頭飼いをされている飼い主様には心強い存在です。大袋で購入した場合はジップ付きの保存袋に小分けして保存するのもおすすめです。大袋のまま保存していると、袋を開ける度に酸素に触れるからです。

保存袋に小分けしたら、空気をしっかり抜きます。乾燥剤を入れるとより酸化を抑えることができます。開封後は1か月程度で食べきれる量の大きさの製品を選ぶことをおすすめします。もしまとめ買いや大袋で買い、保存が長期間(2~3か月程度)になる場合には、1食分ずつ小分けしたものを冷凍庫で保存するのも良いでしょう。

ドライフードは冷蔵庫で保存してはいけないという記事が多くありますが、それはフードを冷蔵庫から出し入れする際に冷えたドライフードが結露し、その水分がカビや腐敗の原因になるからです。1食分ずつ小分けしたフードを冷蔵庫の中でも出来るだけ温度変化の少ない場所に保管し、一度冷蔵庫から取り出したフードは再び冷蔵庫へ戻さないことを徹底すれば冷蔵保存もできるでしょう。冷凍保存でも冷蔵保存でも、与える時は常温に戻して与えると良いでしょう。ただし、常温に戻したフードは早めに食べきりましょう。

ドライフードは湿気に注意!

ドライフードには湿気が大敵なので、

  • 台所の下
  • 洗面所

などでの保存はおすすめできません。

ドライフードは基本的に常温での保存に向いていますが、メーカーや製品によっては冷暗所での保存を推奨するものもあるのでパッケージを確認しましょう。冷暗所での保存が特に勧められていない場合でも、日が当たらない場所、蛍光灯もできるだけ当たらない場所で保存します。

セミモイストフード

キューブのフード

ドライとウェットの特徴を併せ持つタイプ

「セミモイストタイプ」のフードは水分量が約30~40%程度で、ドライフードとウェットフードの中間のようなフードです。なかなかお店では見かけず、店頭よりもネット通販での方が出会いやすいフードです。

セミモイストタイプのフードの賞味期限はメーカーにもよりますが、未開封の場合は約半年~1年半程度に設定されているものが多いようです。

セミモイストフードにおすすめの保存方法

メーカーにもよりますが、セミモイストタイプは開封前であれば常温保存が可能です。開封前はドライフードと同様に日が当たらない温度変化の少ない場所で保管します。

開封後はできれば密閉容器に入れて冷蔵庫で保存し、賞味期限内であってもできるだけ早め(約2週間以内)に食べきるようにしましょう。

ウェットフード

皿に乗ったウェットフード

水分量が多く愛猫の水分補給をサポートできる◎

ドライフードよりもウェットフードの方が好き!という猫ちゃんが多いのではないでしょうか。ウェットフードには約80%もの水分が含まれていますので、ドライフードよりも食材の香りが立ちやすいことが猫の食欲をかき立てていると考えられます。

ウェットフードは食事で水分補給のサポートができるため、飲水量の少ない猫ちゃんの心強い味方でもあります。

ウェットフードは開封前後で保存期間に大差が!

ウェットフードは缶やレトルトパウチに入っており、未開封であれば約2~3年と長い賞味期限があるものが多いです。長期保存ができるため災害時用の非常食として用意しておくのもオススメです。

しかしその水分量の多さゆえ、一度開封してしまうと長期保存ができません。一度開封すると香りが飛びやすく、劣化が進みます。水分が多く雑菌も繁殖しやすいため、開封後のウェットフードは必ず冷蔵庫で保存しその日のうちに、遅くても次の日には食べきるようにしましょう。

冷蔵保存したウェットフードは、電子レンジなどで人肌程度に温めてから与えましょう。冷たいまま、逆に温め過ぎて熱いまま与えることのないようにします。

プレミアムフード

陳列されたペットフード

無添加で高品質なフード

「プレミアムフード」とは特定のメーカーやフードの形状のことではなく、よりこだわって厳選された材料で作られ、高品質だと考えられているフードの総称です。プレミアムフードには保存料や着色料などが無添加であるとうたっているものが多く、愛猫の健康をより自然な形で守っていきたい飼い主様に支持されているそうです。

プレミアムフードは特に「酸化」に注意!

プレミアムフードはより安心して猫に与えられると考えられていて、中でも添加物が少ないまたはないことがメリットだと考えている方がいる一方、添加物、特に酸化防止剤がないことがデメリットにもなることがあります。酸化防止剤が無添加、または天然由来成分のみであるものは「フードの酸化」に特に注意しなければいけません。

「酸化」とは、フードに含まれる脂質が酸素に触れることで変質してしまうことです。そして酸化は紫外線に当たることで加速することが分かっています。フードが酸化すると変なニオイがしたり、健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。

プレミアムフードのドライフードの場合は

  • 真空容器で保管する
  • ジップ付きの保存袋で小分け保存する
  • 日光や蛍光灯の光が当たる場所を避ける
  • 高温多湿を避ける

などに注意を払い、ドライフードの中でも特に酸化しないように気を付けましょう。無添加だから安心と思っていても、脂質が酸化してしまったプレミアムフードは体に良いものではありません。開封後はできるだけ早め(2週間~1か月程度)に食べきるようにしましょう。

まとめ

ハロウィンかぼちゃ仮装の猫

猫の食いつきの良し悪しは「フードの匂いの強さ」で大きく変わることが多いです。ドライフードでもウェットフードでも、ひとたび開封すると香りはどんどん飛んでいきます。気まぐれでフードへの興味が薄い猫ちゃんの場合は特に、フードの保存方法を見直してみると食いつきが改善することもあります。

またフードのタイプに合わせて適切な保存を行わないと、香りだけでなく品質の劣化にも繋がってしまいます。毎日食べるフードは愛猫の健康の基礎になりますので、ずっとおいしくもっと健康に食事を摂るためにフードの保存にはひと工夫をしてあげるようにしましょう。

《参考サイト》

スポンサーリンク