猫のブラッシングのやり方と嫌がるときの対処法

猫のブラッシングのやり方と嫌がるときの対処法

猫のお世話の中でも大変なのがブラッシングかもしれません。そもそもブラッシングの必要性に疑問を抱くかもしれません。そこで今回は、ブラッシングの重要性と方法、拒む際の対処法をご紹介いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫のブラッシングはなぜ必要?

ブラッシングする猫

猫は毛繕いをして、身なりを自分で整えることができます。猫にほとんど体臭がないのは、この毛繕い(セルフグルーミング)のおかげです。

自分で清潔さを保つことができるのであれば、飼い主さんがブラッシングをする効果はどこにあるのでしょう。そもそも嫌がる猫が多いのになぜ必要なのでしょうか?

短毛種の場合、毛繕いで舌や手が届かない範囲をブラッシングしてあげることができると、皮膚と毛がより健康になり毛艶を良くする効果もあります。健康な時には必須ではないものの、できる範囲でブラッシングしてあげると良いでしょう。

長毛種は飼い主さんの手が必ず必要です。毛玉を予防・除去したり、死んだ毛をできるだけ取り除いて毛繕いの時に飲み込んでしまう毛の量を減らし、被毛が胃や腸に詰まってしまう毛球症を防ぐためです。

短毛種・長毛種にかかわらず、猫が嫌がらずにブラッシングさせてくれると、猫と飼い主さんとのコミュニケーションの一つにもなりますし、皮膚に現れる異常を発見しやすくもなります。

短毛種のブラッシング方法

短毛種の猫

短毛種の猫はほとんど毛玉はできませんので、比較的触れられることを好む部分から補助的な意味合いで行います。頻度は、飼い主さんの負担にならず猫も気持ちよくブラッシングをされる程度で大丈夫です。

猫が触られて喜ぶ場所から始め、以下の順番を参考にしてみてください。ブラシは、ラバーもしくはソフトな豚毛などを選びましょう。

  • 喉元(手ぐしでも構いません)
  • 首周り
  • 胸元
  • 顔周辺(ここも手ぐしでも大丈夫です)
  • 背中
  • 腹部(2人で行うとスムーズです)
  • 手足のつけね
  • しっぽ(デリケートなので優しくお願いします)

長毛種のブラッシング方法

ペルシャ猫

長毛種の猫は被毛が2重構造である場合が多く、毛玉予防の目的も兼ねて根本からしっかりとブラッシングしなければなりません。よってハードなピンブラシがおすすめです。毛玉をほぐしたり細かい部分をブラッシングする時はコーム(手ぐし)が必要になったり、場合によってはスリッカーが必要なこともあるでしょう。

ブラッシングするポイントは、ブラッシングされることに抵抗の少ない部分からスタートし、毛玉ができやすい場所を優先的に行います。手順は以下の通りになります。

  • 頭や首回り、背中などからスタート
  • 腹部及び脇の下を最優先
  • しっぽやお尻周辺(敏感なので手短に)
  • 喉元や胸毛を整える
  • 顔や足

特に被毛が生え変わる換毛期は、重点的にブラッシングを行って、死毛をできるだけ取り除きましょう。頻度は毎日が理想です。

嫌がるときの対処法

睨む猫

長毛種の猫は、たとえ嫌がってもブラッシングをしなければなりません。短毛種の場合は無理強いしなくても良いのですが、お手入れをすることでより美しくなります。

そこで、どちらの猫種でも共通するブラッシングを嫌がる場合の対処法をご紹介いたします。

日頃からよく撫でる

マッサージされる猫

日頃から愛猫の体に触れる、撫でることを積極的に行います。特に喉元や耳の後ろなど、猫が比較的好む場所から始めましょう。

デリケートな腹部やしっぽの周辺は手短に、撫でてはやめるを繰り返すと良いでしょう。好きなおやつをごほうびにして、撫でられること=楽しいこと、と関連づけても良いでしょう。

撫でられることに問題がなければ、飼い主さんがブラシを持つだけ、持ったブラシを猫の体にあてるだけ、から始め、それが出来たらおやつをあげる、を繰り返し、少しずつブラシに慣らしていきます。

また、少しだけブラッシングを嫌がる程度でしたら、おやつを食べさせながらブラッシングをしても良いですね。大好きなおやつに気をとられているうちにブラッシングが終わってしまえば理想的です。 ブラッシングを嫌がる猫ちゃんの場合には、猫を軽く押さえながらおやつをあげる人とブラッシングをする人の2人がかりでするのも良いでしょう。決して無理をしないことが大事です。

1度で完璧に終わらせようとしない

抱かれる猫

先ほどの項目で順番と記しましたが、1度に全てを完結させなくても大丈夫です。爪切りと同様に、数回に分けて行なうと飽きる前に解放してあげることができます。

長毛種は、毛玉が気になる箇所をその都度少しずつブラッシングすると良いでしょう。脇の下とお尻回りは毎日か2日に1回、体全体は週に1回など、部位別に頻度を変えても良いですね。

活発な時間帯を避ける

獲物を見つめる猫

夕方や早朝などは猫が活発になる時間帯です。これらの時間帯に無理にブラッシングをするとストレスの原因になりやすくなる可能性があります。

活発に動き回る愛猫を制止せずに、比較的大人しいタイミングを見計らって行うと効果的です。

空腹時を避け、ごはんを食べてトイレも済ませ、満たされている時間帯を選ぶと良いですが、猫がひとりでそっとしてほしい時にはまた嫌がられてしまいますので、愛猫の様子をよく見ながらタイミングを見計らってください。

まとめ

ブラッシング中の猫

ブラッシングは猫の健康を守るために必要なお手入れです。長毛種だと、嫌がるのに可哀想だと感じるかもしれませんが、毛繕いでたくさん毛を飲み込んでしまって胃腸に悪影響を及ぼしたり、毛玉ができて皮膚がひきつれて痛みを感じたりするほうがより気の毒な状態になります。

まずは飼い主さんが状態にあったブラシを選びコツを掴んで痛みを与えずにブラッシングするむこと、少しずつブラッシングに慣らすこと、おやつを使いながらブラッシングを楽しいことにすることなどで、できるだけ早い時期からブラッシングに慣れさせるトレーニングをしましょう。ブラッシングは健康のためだけではなく、コミュニケーションの一環としても役立ちます。また、年をとったり体調が悪く猫が自分で十分に毛繕いができない場合に、人の手で皮膚や毛のお手入れをしてあげることが必要になることもあります。普段から少しずつ積極的にやってみてください。

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