『寿命が短い猫』の種類3選

『寿命が短い猫』の種類3選

猫種によっては平均よりも寿命が短いと言われることがあるようです。ただこれはそれぞれの猫の丈夫さや環境など様々な要因で変化しうるものなので、一概には猫種だけで判断することができないものでもあります。今回は寿命が平均よりも短いとされる猫種とその理由等をまとめましたが、これはあくまでそのような一面があり、知っておいた方が猫の健康に役立つという前向きな捉え方をしていただければ幸いです。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.マンチカン

黒い背景と座っているマンチカン

マンチカンは猫界のダックスフンドと呼ばれることもある、足の短さ(短くない個体もいる)が個性的な猫種です。マンチカンという名前はオズの魔法使いに登場する小人「マンチキン」からつけられたもので、マンチキンは小人の他に小さい子供という意味もあります。

このような名前の由来通り、マンチカンは短い足でヨチヨチ歩く姿が特徴的なだけでなく、とても小柄な猫としても知られています。例えば、アメリカのカルフォルニア州に住むマンチカンの「ピクセル」は体高が13.5cmで、世界一体高の低い猫としてギネスにも登録されています。

平均寿命

そんな愛くるしいマンチカンはとても人気のある猫種ですが、平均は11、2歳と、猫の中では短めの寿命であるとされています。(猫の寿命は平均で15.03歳と言われる)

考えられる理由

これは他の猫種にも当てはまることですが、マンチカンの寿命が平均を下回る理由として考えられるのは、雑種ではなく純血種の猫であるということが考えられます。

例えば、マンチカンは短足の姿がなんとも可愛らしく猫種の改良においても、その特徴を維持するために同じ種類での交配が繰り返されますが、このような過程で誕生した純血種の猫は雑種の猫に比べて遺伝性の病気にかかる可能性が高くなってしまったり、身体的な特徴から来る問題に悩まれやすかったりするという点があります。

健康管理について

マンチカンの場合はその短い足という特徴から運動不足気味になることがあり、それが肥満や糖尿病といった病気に繋がる可能性があること、また高齢になると慢性腎不全になりやすい他、身体的特徴から来る疾患として椎間板ヘルニアになりやすいなどの問題があります。

マンチカンの場合、猫種の特徴として太りやすいというところがあり、それが病気やヘルニアに繋がることがありますので、食事に気をつけたり、おやつを与え過ぎないなどの部分に注意したりすることで健康を維持しやすくなるでしょう。

このような点に気をつければ、マンチカンも平均より寿命を長くすることは十分に可能で、実際に長生きしているマンチカンもいるので心配し過ぎないようにしましょう。

監修獣医師による補足

マンチカンも遺伝しやすい病気があります。骨軟骨異形成症、多発性嚢胞腎、肥大型心筋症が代表的です。このような病気は血液検査で知ることができます。このような病気はすべてのマンチカンが罹患するわけではありませんが、万が一このような病気を持っていたとしても、獣医師のアドバイスをもとにしっかり健康管理をしていきましょう。

獣医師:平松育子

2.メインクーン

首をかしげているメインクーン

メインクーンは猫種の中でも大きいことで知られていますが、内面はとても穏やかな性格でジェントルジャイアント、穏やかな巨人というあだ名で呼ばれることもある猫です。

平均寿命

そんなメインクーンは大きな体でいかにも丈夫そうですが、平均寿命は12.5年と一般的な猫の平均寿命と比べて短めの数字となっています。

考えられる理由

これにはマンチカンのところでも書きましたが、メインクーンも純血種の猫で遺伝的に発症しやすい病気がとても多いということが理由としてあると思われます。

遺伝しやすい病気

メインクーンの遺伝的に発症しやすい病気には、まず肥大型心筋症という心臓の病気があります。これは若いときに発症することもありますが、シニアやオスの猫は症状が表れる可能性がより高いとされます。肥大型心筋症になると肺に水が溜まって呼吸困難になったり、血栓が血管に詰まってしまい血流が途絶えることにより肢が麻痺したり、場合によっては命を落とすこともあります。

肥大型心筋症は発症すると治療法が確率されていないため、薬で症状を緩和するしかないという状態になります。また、他にもメインクーンは多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)という腎臓に少しずつ嚢胞ができ腎機能を低下させていく病気や、遺伝性溶血性貧血、骨髄性筋委縮症など、遺伝的な病気になりやすい猫種です。

健康管理の大切さ

ただ、遺伝的な病気が多いという部分はあっても平均寿命以上に長生きしているメインクーンもたくさんいますので、肥大型心筋症や多発性嚢胞腎を早期発見するためには、心臓や腎臓のエコー検査を定期的に受けさせたり、他の猫と同じく食事や運動などを適切に行ったりすることで健康的な状態を維持していくことが長生きしてもらうためには大切でしょう。

3.ノルウェージャンフォレストキャット

上を見ながら寛ぐノルウェージャンフォレストキャット

ノルウェージャンフォレストキャットは、その名の通り北欧のノルウェー原産の猫種です。見た目の特徴としては猫種としては大型で、寒い地方の出身の猫なのでふさふさの長毛を持っています。また、よく同じ大型の猫種であるメインクーンと間違えられることも多いようです。

平均寿命

そんなノルウェージャンの平均寿命は12.6歳と言われることもあり、一般的な猫の平均寿命よりは短命と言われることもあるようです。しかし、実際には20歳近くまで生きたノルウェージャンもいるようですから、他の猫と同様、個体差や環境の問題が寿命に大きく作用するという部分があるようです。

考えられる理由

ではなぜノルウェージャンの平均寿命が短く書かれるのかと言うと、やはりこれも遺伝性の病気が多いということが可能性としてあるのではと考えられます。

遺伝しやすい病気

ノルウェージャンの遺伝的な病気としてまず挙げられるのはグリコーゲン貯蔵病で、これは体内のグリコーゲンを分解することができず、その影響で肝臓や心臓に悪影響が出たり、低血糖が起こり昏睡状態を引き起こしたりする病気です。

また、ノルウェージャンもメインクーンなどと同じく太りやすい体質の猫種と言われ、病気も肥大型心筋症などを発症しやすいとされます。

健康管理の大切さ

遺伝性の病気については予防法というものがなく、発症すると食事療法などで症状を緩和していくことになるのですが、普段からの食事や運動、ストレスの緩和などで他の病気にかかりにくく、健康な状態を維持していくことはやはり寿命を延ばしてあげることには繋がる大切なことと言えるでしょう。

まとめ

道を歩いているマンチカン

いかがでしたか?今回寿命が短いと言われる3つの猫種を採り上げましたが、この寿命については調べている統計先によっても数字のバラつきがあるようです。

寿命が短い猫種と言われるとても心配になってしまうかもしれませんが、これには個体差や環境の影響もあり、必ずしも猫種だけが判断材料にはならないと考えておいた方がいいでしょう。

ただ、やはり遺伝性の病気やかかりやすい病気があるということも猫の健康のためには同時に知っておいた方がいいとも言えるでしょう。

スポンサーリンク