愛猫に残された時間をどう過ごしますか?『ターミナルケア』について

愛猫に残された時間をどう過ごしますか?『ターミナルケア』について

「この子にどのように過ごして欲しいのか」それは愛猫と過ごしてきた飼い主さんがいちばんよく理解していることでしょう。最近では、治療よりも緩和ケアを重視する「ターミナルケア」を検討される飼い主さんも増えています。今回は、愛猫に終末期をできるだけ穏やかに過ごしてもらうための「ターミナルケア」という選択についてご紹介いたします。

「ターミナルケア」とは

ソファーで眠る猫

「ターミナル期」をどのように過ごすのか

「ターミナル」は「終着駅の」「最終の」という意味です。病気が進行し、もうこれ以上治療の効果が見られないという状態を「ターミナル期」と呼びます。もう治る見込みが乏しいと絶望するのではなく、最期までの時間を本人と家族が望むように過ごすケアの事を「ターミナルケア」と呼びます。

愛猫のQOLの向上を目的としたケア

ターミナルケアの目的は、QOL(クオリティー・オブ・ライフ…生活の質)を向上させることです。病気による苦痛をやわらげ、できるだけ穏やかに残された時間を楽しめるようにすることです。もうこれ以上治療が望めないとしても、苦痛を取り除くケアによって「愛猫の今まで通りに近いQOL」を保っていくことが目的となります。

「緩和」という選択

テーブルの上の猫

治療ができなくてもできることがある

ターミナルケアは「緩和ケア」の一部ですが、ターミナルケアと緩和ケアの違いは「積極的な治療をするかどうか」です。痛みや辛さを緩和させる処置とともに治療も並行する緩和ケアとは違い、ターミナルケアの場合は「治療よりもQOLの向上をする」ことが目的です。

最後まで「愛猫らしく」

人間の場合では、1960年代のイギリスからターミナルケアの考え方が広がりました。現在では人間だけでなく、ペットへのターミナルケアを選択する飼い主さんも増えてきています。積極的な治療をする上での苦痛を考慮し、最期まで「その子らしい生活」をさせてあげたいと願う飼い主さんも多くいらっしゃいます。

「治す」ことが目的の治療ができなくなっても、痛みや苦しみを緩和させることを重視した治療方法という選択があります。苦痛を和らげるケアにより、愛猫は残された時間に「今まで通りに近い生活」を送ることができます。飼い主さんが愛猫に「どのように過ごして欲しいか」を考え、治療方法を獣医師と選択していくことが大切です。

「往診」という選択

聴診器を当てられる猫

通院のストレスを軽減する選択

往診可能な獣医師の中には、ペットのターミナルケアにも対応する獣医師が増えてきています。通院は愛猫にとって大きなストレスとなることも多いため、往診を利用することで愛猫へのストレスをできるだけ軽減させることができます。

自宅で過ごしながら緩和ケアを行えるメリットによって愛猫のQOLを保つことができ、愛猫の「できるだけ今まで通りの生活」を守っていくことができます。

ひとりで抱え込まないことが大切

ターミナルケアにおいて、獣医師は飼い主さんとよりていねいに会話をします。獣医師は現在の状況や問題点を整理し、愛猫にとって最良の選択を飼い主さんとともに見つけていくパートナーとなります。

愛猫が日に日に弱っていく姿を見るのは飼い主さんにとってとても辛いことで、どうしても飼い主さんお一人でその苦しみを抱えてしまいやすくなります。中には、思い詰めてしまって安楽死を考えてしまう飼い主さんもいらっしゃいます。

しかし、これ以上治療が望めないとしても、愛猫と飼い主さんが残された時間を穏やかに過ごすための方法を考えることができます。飼い主さんお一人で悩まずに、どんなに些細なことでも獣医師に話すことによって、愛猫との残された時間を穏やかに過ごす支えとなるでしょう。

まとめ

おでこをなでられて目をつむる猫

飼い主さんによって、愛猫に残された時間の中で「どう過ごして欲しいか」は異なるでしょう。最後まで希望を持って治療をしていきたいという飼い主さんもいらっしゃれば、治療よりも愛猫の好きなものを食べて過ごして欲しいという飼い主さんもいらっしゃいます。正解は1つではなく、愛猫のことをいちばんよく理解している飼い主さんそれぞれに答えがあるのです。

しかし、愛猫の残された時間については、飼い主さんお一人で抱えるのはとても重たいものです。お一人で抱え込むのではなく獣医師と一緒に考えて方法を見つけていくことで、愛猫にとって最良な選択ができる可能性が広がるでしょう。

選択肢の1つであるターミナルケアは愛猫だけのものではなく、見送る飼い主さんの心のケアにも繋がるものです。大切な愛猫にどのように過ごして欲しいのかを、愛猫が元気なうちから考えておくことが大切です。

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