1.安心したい
1つ目は「安心したい」という気持ちによるスリスリです。
猫は「自分の体臭に包まれている空間」にとても安心感を抱きます。猫は臆病な性質の動物なので、「自分の匂いがする=確実に知っている匂い=安心」となるのでしょう。
飼い主さんのバッグや靴などには「知らないニオイ」がついています。そして、1日履いた靴には飼い主さんの匂いも色濃く移っています。「このニオイは自分のではないぞ」「強いニオイがするぞ」とチェックすると、猫はそこに自分の匂いを上書きして安心しようとしていることが考えられます。
猫の「安心フェロモン」
猫がマーキングに使用するのは、体臭というよりも「フェロモン」の成分です。体臭と違い、猫のフェロモンを私たち人間が感知することは難しいです。
猫は身体の特定の部分からフェロモンを分泌していますが、1種類だけではありません。
- 縄張りの主張用
- 緊張した時用
- オスがメスに性的アピールをする時用
などの使用の目的が判明しているものを含め、現在では5種類の異なるフェロモンを分泌していることが分かっています。
そのうちの1つが「フェイシャルフェロモン」と呼ばれているものです。このフェロモンは名前の通り、猫のヒゲの付け根部分(ウィスカーパッド)や頬など「顔」から分泌されています。
このフェイシャルフェロモンは、猫に安心感を与える「安心フェロモン」とされています。猫たちは自分の口周りから頬にかけてを物や人にスリスリすることで、その場を安心空間にしようとしているのです。
2.縄張りを主張したい
2つ目は「縄張りの主張をしたい」という気持ちによるスリスリです。
猫は相手が猫であろうと人であろうと、はたまた「物」であろうとスリスリをしてマーキングをします。もしも他の匂いがついている箇所があれば、自分の匂いで上書きをして「ここは自分の場所!」と主張します。
自宅は猫にとって「自分の場所」なので、そこに外の匂いをまとったバッグや靴などが持ち込まれるとスリスリをして「自分の場所」にしようとします。1の場合と同じく、猫の「自分の匂いがすると安心する」という性質は縄張り意識によるところも大きいのではないかと考えられます。
3.かまってほしい
3つ目は「飼い主さんにかまってほしい」という気持ちによるスリスリです。
飼い主さんの身体にスリスリしてくれば分かりやすいのですが、猫はかまってほしい時にその周囲にあるモノにもスリスリしてアピールすることがあります。「愛猫が頻繁に家具にスリスリしているので心配したが、実は飼い主さんになでてほしいだけだった」という飼い主さんもいらっしゃいます。
かまってアピールの時のスリスリは、飼い主さんの顔を見ながら行っていることが多いです。周りにある家具の角にスリスリしながら近付いてくることもありますね。おそらく「スリスリ=飼い主さんがかまってくれる」と認識しているため、飼い主さんの身体だけでなく周囲のモノにもスリスリしてかまってアピールをしているのだと考えられます。
まとめ
今日のねこちゃんより:めんこちゃん♀ / キジシロ / 1.3kg
今回は「猫がモノにスリスリする時の気持ち」を3つ解説いたしました。
猫のスリスリはもともと「マーキング」の行為なのですが、縄張りを主張するという目的のほかにもさまざまな感情が表れている場合があります。
猫が飼い主さんの持ち物や家具などにスリスリする時、
- 安心したい
- 縄張りを主張したい
- かまってほしい
などの気持ちであることが考えられます。
猫ちゃんがスリスリすることでつく匂いは微々たるものなので、猫ちゃんが満足するまでさせてあげても大丈夫でしょう。ただ毛がついてしまう恐れがあるため、スリスリされたくない物はしまっておく方が安心ですね。