猫のトラウマになりやすいこと3つ

猫のトラウマになりやすいこと3つ

「猫は動物だからクヨクヨせずに今を生きている」と思われがちですが、猫を含めた全て動物ではネガティブな感情を持つ物事は長期間にわたって強く記憶に残りやすいので、強い恐怖や辛い経験は猫にとっても心のトラウマとなって残りやすいものです。今回は「猫にとってトラウマになりやすいこと」を3つ解説いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.予期せぬアクシデント

毛糸に絡まっている猫

好奇心によっての失敗

猫は臆病さ、慎重さを強く持つ子が多い動物なのですが、相反して好奇心旺盛な子も多くいます。紙袋や紐類などのオモシロソウな物を目にすると、その好奇心によってじゃれついてしまいがちです。

しかし猫は恐怖によってパニックを起こすことがあり、猫は「予想していなかった事態」に直面すると急激に興奮しやすくなります。

ワクワクして遊んでいる最中に紙袋から頭が抜けなくなった、紐が身体に絡まった、首輪が引っかかってしまった。などの予期せぬハプニングが起こると、猫は「これはとても怖い物だ」と記憶し、以後その物に近付かなくなったり怯える様子を見せたりすることがあります。

玄関に近付かなくなった愛猫

我が家の3匹の愛猫のうち、黒猫はとても好奇心旺盛な一方猫一倍臆病です。ある日、黒猫が私が開けたマンションの玄関ドアをすり抜けて、共通廊下に脱走してしまったことがありました。
自分から興味本位で出たにもかかわらず、黒猫は「未知の世界」にパニックを起こし、廊下の端から端までを何往復も全力疾走して暴れまわってしまいました。

数分後、ようやく落ち着いて恐怖でうずくまったところを捕獲することができましたが、それ以降は玄関ドアおよび玄関のたたきにさえ降りることはなくなりました。いきなり未知の世界に踏み入れたことが相当恐怖だったのでしょう。

2.飼育放棄・虐待

ケージの悲しそうな猫

令和元年度の統計によると、保健所に渡される猫の約19%が飼い主からという結果になっています。近年では猫を健やかに飼うことの意識が高まり、特定の飼い主に飼われていない猫の不妊手術も一部では徹底され始めています。しかし、未だに19%という少なくない数の猫たちが飼い主から飼育放棄されているという事実には心が痛みます。

【参考】

猫だって絶望する

猫は人間ほど感情が複雑ではないと考えられています。しかし、猫も自分の置かれた状況については理解するものであると考えられます。

  • 知らない場所に連れて来られた恐怖
  • 身の安全の確証がない
  • 甘えることができない

これらはすべて、猫にとって大きな心の傷になるものです。知らない場所と身の安全の確証がないことは猫にとっての恐怖ですし、今まで甘えられる飼い主がいたのにその飼い主がいなくなったことは強いストレスになるでしょう。そうしてトラウマを抱えた場合、人間に対して心を閉ざしてしまうと考えられます。

直接的暴力・態度の暴力

殴られたり蹴られたりなどの直接的な暴力はもちろんのことですが、直接暴力を振るわなくても猫をぞんざいに扱う言葉や態度もまた暴力の一種です。

  • 床に物を投げて叱る
  • ごはんやトイレの世話をしてもらえない
  • 怖がる猫を追いかけまわす

などもまた、猫にとってはトラウマとなる暴力なのです。

保護施設にいる猫たちの中には、人間からひどい扱いを受けて心を閉ざした子もいます。一度閉ざした心が癒され解放されるには、長い時間が必要です。保護猫を受け入れる際には、ぜひ根気強く大きな心で受け入れてあげてください。

3.被災体験

崩れそうな木材の上で威嚇する猫

東日本大震災では、人間だけではなく動物たちの多くも被災してしまいました。津波に流されてもなんとか生き延びた猫たちや、飼い主からはぐれてしまった猫たちも多くいます。被災した猫たちを保護する団体も多いのですが、保護当時の猫のほとんどは目が怯え、心を閉ざしていたそうです。

飼い猫はひとりで生きていく術を知らない

今や猫は愛玩動物であり、サバンナのライオンとは全く違う存在です。飼われていた猫たちにとって、飼い主とはぐれて自力で生きていくのは大変困難なものです。

そもそも、街の中では狩りすらできません。ごはんを食べる術もなく辛い空腹を味わうということや、安心して眠ることができない未知の環境に置かれることは、飼われていた猫たちにとって大きなストレスとなります。

人間が動物を飼育する以上は、何が起ころうとも責任を持ってその命を預かり守る責任があります。辛い過去から学び、ペットの災害対策もしっかりと行っておきましょう。

まとめ

パソコンの上で怖がる猫

今回は「猫のトラウマになるもの」について3つご紹介しました。

猫は自由気ままで、昔のことを気にせず今を生きていそうなイメージがあります。しかし、強い恐怖や辛い経験の場合はトラウマとして心にずっと残ってしまう恐れがあります。猫は危険を察知して身を守る意識が高いため、危険を感じた物事を長期間覚えていやすいのです。

予期せぬアクシデントや飼育放棄や虐待、被災経験の3つは猫が身の危険や恐怖を強く感じる物事です。

特に飼育放棄や虐待、被災体験などの辛い経験は猫たちのトラウマとなり、心を閉ざしてしまう原因となります。一度心を閉ざしてしまうと、もう一度心を開いてくれるまでには時間と根気が必要になります。

猫たちができるかぎり心も身体も健やかに生きていくためには、それを見守る私たち飼い主の在り方が重要なのかもしれません。

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