猫が毛繕いをする理由
気づけばペロペロ、寝て起きればまたペロペロ、猫はよく毛繕いをします。綺麗好きだからと言われていますが、果たしてそれだけなのでしょうか?ここでは猫が頻繁に行っている、毛繕いが持つ役割についてご紹介いたします。
天敵から身を守るため
猫は、厳しい野生の世界を基本的には単独で生き抜かなければなりません。なぜなら犬のように群れを作らない動物だからです。そして、野生を知らない家庭の猫も本能的に自分の身は自分で守らなければならない、という感覚が身についています。
毛繕いにはにおいを消す役割があります。我々が手洗いや歯磨きをするような感覚で、猫も食事の後や排泄後に毛繕いを行います。このように自身のにおいを消すことで、天敵に居場所を悟られないようにしているのです。
清潔な被毛を保つため
短毛種の猫にシャンプーの必要性がほとんどない理由は、ある程度は自分自身で身なりを整えられるからです。
猫の舌にはザラザラとした突起が並んでいます。この突起は獲物の肉をこそげ取る役割の他に、ブラシとしても活躍します。猫は舌で器用にブラッシングをしているのです。
猫は毛繕いのおかげで、毛玉予防や皮膚炎の予防ができています。また、唾液そのものに殺菌作用があるため、改めてシャンプーをしなくても大丈夫なのです。
心を落ち着かせるため
毛繕いにはリラックス効果があります。その作用は子猫時代の記憶に関連があります。猫は幼い子猫は母猫のお世話が必要不可欠です。クールなイメージの強い猫ですが、実は母性本能の強い動物で母猫は子猫をとても大切に育てます。
毛繕いもお世話のひとつです。母猫の愛情のこもったグルーミングは成猫に成長し、独立した後も記憶に深く残ります。そして、それが心を落ち着かせる鍵となるのです。
嫌なことがあったとき、気持ちを切り替えたいと思うときに毛繕いをすると、自然と母猫のぬくもりが蘇ってくるのでしょう。
愛情表現
母猫の愛は子猫に伝わり、そして受け継がれていきます。猫はとても親しい相手とはお互いにグルーミングをし合うことができます。これをアログルーミングといいます。
猫は柔軟性に優れた体と、ブラシの役割を果たす舌を持っていますが、全てをカバーできるわけではありません。自分では思うようにグルーミングできない箇所がいくつかあるのです。
これをお互いに補い合うのが、アログルーミングの素晴らしさです。まさに愛情が繋がるアクションといえるでしょう。
飼い主さんに対してもグルーミングをしてくれることがあります。猫が舐めてくれる理由の一つが愛情表現なのです。ぜひ愛情を伝え返してあげましょう。とはいえ猫をなめるわけにはいかないので、顔や耳の後ろなどグルーミングが困難な場所を優しく撫でてあげてください。
反省しているときも毛繕いをする!?
猫は反省しないといいますが、それは大きな誤解です。そもそも叱られる原因となった出来事が、人間にとっては望まないことでも、猫にとっては野生の本能からくる自然な行動が多いのです。
このような、ある種文化の違いが招くトラブルであるが故に、反省しないといわれてしまうのです。しかし、猫にも反省という意識はあります。
猫の反省ポーズのひとつに毛繕いがあります。人間に叱られることで、危機感を覚え、"もうこれ以上は勘弁して"と恐怖を感じてしまいます。そして、その心境を落ち着かせるために毛繕いをするのです。
愛猫を叱っている最中に、毛繕いやあくびなどの行動が見られた際は、十分に反省していると受け止めてあげてください。
まとめ
今日のねこちゃんより:Luke♂ / ベンガル / 5.4kg
普段何気なく目にしている毛繕いですが、その理由を紐解いてみるとたくさんの役割があることに驚くでしょう。どの理由も猫が生きるために重要であることが分かります。
皆様も時々、愛猫の毛繕いを注意深く観察してみてください。ただし、同じ部位ばかりをグルーミングしているようであれば要注意です。ストレスや体調が優れないサインかもしれません。