病院嫌いの猫を落ち着かせる方法
病院が好きという方はあまりいないでしょう。騒がしい機械音や、病院特有の消毒のにおいなど、なるべく意識しないようにしていても不安を煽られる環境ではないでしょうか?病院が苦手というのは猫も同じです。猫も人間もあまり足を運びたい場所ではないはずです。
しかし、猫の場合はワクチン接種や避妊・去勢手術などの関係で、意外と動物病院に行く機会はあるものです。そこで、病院嫌いの猫が少しでも安心できるために飼い主さんができることをご紹介いたします。
1.飼い主さん自身が落ち着くこと
冒頭で紹介したように、我々人間にとっても病院は落ち着く環境ではありません。受診するのが自分自身ではなくても多少緊張するものです。そして、それがワクチン接種という元気な状態の愛猫を連れていく際にも、やはりソワソワしてしまいます。このような、どことなく落ち着きのない飼い主さんの行動は猫にも伝わってしまいます。病院の日は決まって隠れてしまったり、飼い主さんと距離を置きたがるのはそのせいです。
何度か通院経験を重ねると、これがお決まりのルーティーンになってしまいます。だから、まずは飼い主さんができるだけ普段通りの行動を取るように心がけてください。大事なのは「平常心」です。
2.優しく声をかける
待合室で順番を待っているとき、猫は大きな不安を抱えています。慣れない人や動物がたくさんいることや、聞き慣れない音など猫にとっては苦手とするものが病院には集結しています。そこで、飼い主さんの優しい声が聞こえると不安や緊張が和らぎます。
少し恥ずかしいと感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、愛猫にとっては飼い主さんの声がここでは一番頼りになるのです。ちなみに猫は聴覚が優れているので、声をかける際は小声で大丈夫です。
3.キャリーケース越しに撫でる
待合室でキャリーケースを開けたり、猫を出したりすることは危険です。恐怖心から脱走してしまう場合があります。だから、病院内では診察時を除きキャリーケースは閉めておきましょう。撫でてあげたいときは、ケース越しにトントンと優しく叩いたり、撫でてあげると猫も安心します。声かけと同様に、大好きな飼い主さんを間近で感じることができるので、落ち着けるでしょう。
4.ケースを布で覆う
人間は、周囲が見えくなると不安になります。猫の場合は逆に、ケースを布で覆い周囲が見えなくなるほうが落ち着きます。これは、ちょうど穴ぐらに隠れ身を潜めている環境に似ています。よって、猫にとっては少し暗く遮断されたような状態が安心感へと繋がるのです。ケースを覆う場合も、時々様子を見ながら話しかけてあげてください。
5.診察中もそばにいて声をかける
診察中もできる限りそばにいて、愛猫を安心させてあげましょう。そして、診察の妨げにならない程度に撫でたり声をかけたりしましょう。猫の場合、体温は肛門に体温計を入れて計ります。不快感から動いてしまう猫も多いため、特に飼い主さんが撫でたり気を紛らわせたりすることが、大切な場面になります。一つ一つの診察が終わるごとに褒めてあげることも重要です。飼い主さんが褒めてあげることで、少々苦痛でも頑張れます。
猫はなぜ病院が苦手なの?
とても素朴な疑問ですが、なぜ猫は病院が苦手なのでしょう。先ほど慣れない人や動物、音との関係については少し触れました。でも、猫が病院を苦手とする理由は他にもあります。それは次のような理由です。
環境の変化
猫は環境の変化が苦手な動物です。突然我が家ではない場所へ連れらてこられる状況は、病院に限らずあまり好みません。よって病院だけが苦手な環境ではないのです。
慣れない相手に触れられる
診察時には抱っこされたり、身体を触られたりと、慣れ親しんだ相手以外にはしてほしくないことをされてしまいます。病気や怪我の診察の場合は、敢えて痛い部位に触れなくてはなりません。命を救うためとはいえ、苦痛を伴うものです。
痛いことをされる
猫は、危険な思いや苦痛を受けたことに対する記憶は鮮明に残ります。これは厳しい野生で生きていくための教訓とするためです。病院においても、診察の過程や処置の過程で痛い思いをしてしまうと、それを覚えている可能性が高いのです。
飼い主さんにとっては、信頼できる主治医に出会うことができると安心して愛猫を託すことができるでしょう。しかし愛猫にとって主治医の獣医さんは「痛いことをする人」と認識してしまうのです。
飼い主さんの様子の変化
先の項目で、まずは飼い主さんが落ち着くことで愛猫も安心すると紹介しました。これは病院での飼い主さんの反応も同様です。緊張感や不安が猫にも伝わり、より一層病院が怖い場所と思わせてしまいます。飼い主さん自身も病院嫌いなら尚更かもしれません。愛猫のためにも、少し病院嫌いを克服したほうがよいかもしれません。
病院慣れするには?
たとえ苦手だからといって、病院を回避することはできません。だから日常生活の中で、通院に繋がる行動へ慣れてもらうほうが良いでしょう。愛猫が病院にスムーズに行けるようにするために、以下のようなことを取り入れてみてください。
- お医者さんごっこをする
- キャリーケースで遊ぶ
子供騙しのような手段ではありますが、日頃から慣れるためには意外と有効な方法です。
身体に触れたり、耳を触ったり、口を開けてみたりと診察の歳に予測される動きを頻繁にしておくことで、診察への抵抗が軽減されます。とはいえ未経験の飼い主さんが体温計をお尻に入れる行為や、綿棒を使って耳掃除をするなど怪我のリスクを伴うことはしないでください。あくまでも触診を想定したお医者さんごっこに留めておきましょう。
そして、キャリーケースも通院時にのみ登場することで、ケース=病院と悟られてしまいます。だから、普段から遊びの一環としてキャリーケースを活用してみてください。そうするとこで、ケースに入ることや存在自体も日常的なものとして捉えることができるようになります。
帰宅後に心がけること
大切なことは、通院時だけではなく帰宅後の配慮も忘れないことです。病院から帰ってきたら、次のようなことを心がけましょう。
- 褒めてあげる
- ゆっくりと休ませてあげる
- 好きな遊びに付き合う
まずは頑張った愛猫を褒めてあげましょう。猫は飼い主さんの褒め言葉が大好きです。また褒められたと嬉しくなるでしょう。そして、日頃から特訓をしていても通院すると体力が消耗します。とりあえずゆっくりと休ませてあげましょう。そして、体力が回復したら遊びに付き合ってあげてください。
まとめ
病院とい環境は、どうしても苦手意識を持ってしまうものです。猫にとってもそれは同じであり、不安や恐怖心でいっぱいになります。幼い頃から人間と暮らす猫にとっては、飼い主さんは頼りになる特別な存在です。だから飼い主さんが落ち着くことが重要で、愛猫の不安を取り除けるのは飼い主さんだけなのです。
病院が思ったよりも怖い場所ではないと思わせるキーパーソンは、飼い主さんになります。猫が必要以上に怖がらなくて済むように、行動には注意しましょう。また飼い主さん自身が落ち着くためには、何よりも信頼できる動物病院を見つけることです。信頼できる動物病院にはいくつか特徴があります。参考にしてみてください。
- 院内が清潔である
- 猫専用の待合室を設けている
- 説明が丁寧で分かりやすい
- 検査や投薬は本当に必要なもののみ行う
- 緊急時の対処法を教えてくれるなど
院内が清潔であることはとても重要なポイントです。清潔であれば通院による感染症のリスクが減少します。猫のことを考えて専用の待合スペースがあることも、猫への理解があるという証になります。規模の関係でそのような場所がなくても、時間帯で区切っている病院は猫への配慮ができているといえます。そして、医療従事者ではない飼い主さんにも理解できる説明ができているかも大切なことです。
愛猫の身体に起きていること、どのような処置がなぜ必要かを説明すること、帰宅後に何をすればよいか、緊急時はどう対処するのかなど誰もが理解できる言葉や手段で伝えてくれることこそが、病院に求められることです。飼い主さんが安心して愛猫を任せられる病院を探してください。最後に猫にとって通院は大きなストレスです。帰宅後はしっかりと休養させ、愛猫を労ってあげましょう。