猫の留守番に潜む危険
猫だけで留守番をするシチュエーションは、ほんの数分程度のものも含めば、ほぼ毎日といっても過言ではないでしょう。その際、いくつか気をつけなければならないことがあります。たとえすぐ帰宅するとしても、我々の日常には猫にとって、命に関わるほど危険になるものもあるからです。家を空けるとき、絶対にしてはならないことをいくつかご紹介いたします。
1. 窓を開けっぱなしにする
暑さが落ち着いている時期は、窓を開けることがよくあると思います。飼い主さんが自宅にいて、注意しながらであれば問題ありません。しかし、外出時は危険です。僅かな隙間程度でも、案外簡単に窓は開けられます。猫が脱走してしまうのは、ほんの一瞬の出来事ということが多いのです。高層階の場合は脱走だけでなく、命の危機に直結します。外出時は必ず窓を閉め、施錠することを習慣づけましょう。
2. 浴槽の水の管理を怠る
お風呂場は適度に涼しく、猫が好みやすい場所です。特に日常的に浴室に出入りする猫の場合は、留守番時にも入ってしまう可能性が高いでしょう。このとき、浴槽の水が張られた状態は非常に危険です。たとえ蓋をしていたとしても、何かの拍子に外れてしまえば溺れてしまいます。完全に水を抜き、蓋が倒れて怪我をしないように配慮するか、留守番中は侵入できないように工夫しなければなりません。
3. 部屋を散らかしたまま外出する
猫はとても好奇心旺盛な動物です。留守番中は普段あまり興味を示していないものでも、気になって手を出してしまう可能性があります。特に次のような物の管理は徹底しましょう。
- 人間の食べ物および飲み物
- 破損すると怪我をする恐れのある物
- 感電のリスクがあるケーブル類
- 火災の原因になりうる電化製品類など
まず猫が口にしてしまうと危険なものや、破損から怪我のリスクがあるものは、必ず戸棚へ収納してください。猫は犬とは異なり、高所へと飛び移ることができる動物です。手の届かないところではなく「猫が開けられないところ」という点を意識するようにしましょう。そして、コンセント周辺のケーブル類は必ず抜いて出かけましょう。これは、イタズラで壊してしまうということだけではなく、感電のリスクがあるからです。そして、電気ストーブやキッチンのコンロなど、火災の危険性があるものは猫が作動できないように管理しましょう。
4. 猫を閉じ込める
安全に留守番ができるように、猫専用のケージを活用することは選択肢のひとつとして、良いと思います。しかしケージ以外のものや場所に閉じ込めることは、絶対にしてはいけません。たとえばキャリーケースに入れる、極端に狭い場所に入れて待たせるなど、身動きが取れない行為は大変危険です。心配な場合は、必ずケージを活用してください。さらにケージ内にはトイレ・水・食事を必ず置いてください。
5. トイレを掃除しない
猫はとても綺麗好きな動物です。特にトイレが清潔であることは大切なポイントです。トイレが不潔なままでは、使用を拒否することがあります。留守番中、トイレが汚いと粗相をしてしまったり、我慢をしてしまうことがあるのです。粗相は後始末が大変になり人間の負担になります。一番の問題は我慢をしてしまうことです。これは、膀胱炎の原因に繋がります。膀胱炎や尿路系の病気を甘く見てはいけません。
特にオス猫の場合、尿道の長さの関係でこれらの病気を見逃してしまうと3日で命を落としてしまうこともあります。外出前は必ずトイレの掃除をしましょう。そして、帰宅後は速やかにトイレをチェックし再び掃除をするようにしてください。
猫のお留守番で大切なこと
猫の留守番では大切なポイントがあります。先ほど紹介した、命に関わることに注意することはもちろん、それ以外にも配慮が必要です。いくつか意識してもらいたいポイントをご紹介いたします。
飼い主さん自身が余裕を持つ
予め決まっている予定に対しては、外出時間も決まっているはずです。ギリギリに行動するのではなく、少し時間に余裕を持つように心がけましょう。猫が安全に留守番できるように準備をしたり、外出前にもう一度確認できる様な時間は確保するようにしてください。
日頃からひとり遊びをさせる
ひとりでも夢中になって遊べる遊びを見つけ、それを習慣づけましょう。猫は留守番が得意といいますが、現代の猫事情は少々変化しています。(次項で解説)
爪を切る
急な場合を除き、猫だけで留守番をする際は、爪を切っておくことをおすすめいたします。これは、怪我の予防です。飼い主さんが不在では、万が一爪が引っかかってしまった場合に対処ができません。爪の破損以外にも、脱臼や骨折、腱の損傷など様々な怪我のリスクがあります。
食事や水を設置する
ケージ内で留守番させる場合は、先ほど紹介したようにトイレ・水・食事を必ず置いてください。そうでない場合は、直射日光を避け、水や食事がいつでも摂取できるようにしておいてください。
猫は留守番が得意というのはホント!?
「猫は孤独に強い」、「社会性が低く飼い主さんが不在でも平気」これらの言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。そして、以上のような理由から猫は留守番が得意といわれてきました。もちろん個体差があるので、1泊2日までであれば問題なく留守番ができる猫もいます。
ただし、全ての猫に共通していえることではありません。最近の猫事情について少し紹介させていただきます。
飼い主さんへの依存度が増している
野生で暮らしていた猫は単独で生活し、犬のような社会性は築かれていなかったことでしょう。しかし、幼い頃から人間と暮らす猫の場合は違います。人間との結びつきや社会性が身につき、飼い主さんを頼り生きています。
猫が飼い主さんの気を引こうと邪魔をしたり、イタズラをする行動がこれらを物語っています。猫にとって飼い主さんはかけがえのない存在なのです。
単身で猫と暮らす人が増えている
猫は手がかかりにくい動物として、単身で猫と暮らす人も増えています。これが飼い主さんへ依存度を増す理由のひとつとして考えられます。単身で暮らす人間にとって、自然と心の拠り所が猫になります。そして、猫も然りです。お世話をしてくれて、甘えさせてくれるまるで母猫のような存在という認識がより強くなります。
猫にも分離不安がある
人間の子どもや犬の分離不安は想像しやすいかもしれません。でも、分離不安は猫にも起こります。猫が孤独に強く、留守番が得意というのは一昔前のことと捉えましょう。先ほどひとり遊びをさせることを勧めた理由もここにあります。
分離不安は、行動の問題だけではなく身体的にも不調をきたすものです。猫への負担を考え、日頃からひとりで過ごさせる時間を作りましょう。そして、逆に1日に数分で構わないので猫と関わる時間も作るようにしましょう。これは分離不安を未然に防ぐために大切なことです。
まとめ
猫と人間の関係は以前、ネズミや害虫駆除の役割を果たす存在としての関わりでした。しか、現在ではより密接に関わり、お互いに絆を深め合う存在へと変化しています。
自由気ままでマイペースな猫も我々人間を意識し、その時々の気分に応じて飼い主さんを猫自身が求める相手として接してきます。猫と留守番。これは、生活するうえで回避することができないことです。
猫が安全に、安心して飼い主さんの帰りを待てるように準備し、工夫をするようにしてください。そして、帰宅後は褒めてあげましょう。猫にも人間の気持ちは伝わるはずです。