無礼者じゃないにゃ!猫がおしりを向ける理由
猫はことある事におしりを向けてきます。しかも、よりによって大好きな相手であるはずの飼い主さんに向かってです。猫のことをよく知らないとこう思われるでしょう。猫は無愛想なうえにおしりまで向けてきて、どこまで失礼なのだろうと。確かに人間が人間に対しておしりを向ける行為は無礼です。
しかし、猫は我々が全く想像もしないような理由からこのような行動をとっています。そう、猫は無礼者ではありません。猫が人におしりを向けるとき、次のように思っています。
1. 信頼している
猫が人に対しておしりを向けているとき、一番に感じていることは「信頼」です。猫は身体能力が優れている動物とはいえ、敵に背後を取られてしまっては危険です。よほどの信頼がない限り、急所ともいえる臀部(でんぶ)を向けるという行動はしないでしょう。だから猫は、大好きな飼い主さんにおしりを向けてしまうのです。
2. 飼い主さんを守りたい
人間はいつでも無防備です。平気で腹部を晒し(仰向けで寝ている)、少々の物音では反応しないほど熟眠してしまいます。これは人間にとってはありふれた日常でしょう。しかし、猫にとってこれらの行動は理解し難いものです。
そしてこの無防備で、危険極まりない行動を取るか弱い人間を守りたいと思うのです。いつ前方から敵が襲来しても立ち向かえるようにと、敢えて臀部を人に向けた姿勢をとっているのです。猫は必死なのですね。
3. 安心できるから
先程とは逆に、完全にリラックスしている状態でも、おしりを向けてくつろぎます。飼い主さんの心境としては、可愛らしい顔を眺めたいはずです。しかし猫は、飼い主さんが一緒にいる状況が最も安心できると信頼し、心を許しているのです。
4. ご挨拶
猫は単独行動で暮らす動物です。しかし完全に独立し、仲間を持たないわけではありません。猫にも仲間意識がそなわっています。そして、猫は仲間を顔ではなく「におい(フェロモン)」で認識します。仲間同士の挨拶は鼻をつけるだけではなく、おしりのにおいを嗅ぎ合います。
一歩間違えば急所を突かれるかもしれないというのに、敢えて危険を冒してこのような行動を取っているのです。だから、人間に対しても仲間意識を持ち、挨拶の一環としておしりを向けて来ることがあるのです。
5. 触れてほしい
個体差がありますが、猫によっては臀部(しっぽの付け根付近)を撫でられたり、トントンと赤ん坊を寝かしつけるように叩かれることを好むことがあります。ほどよい刺激が気持ち良く、それが癖になる場合があるのです。よって人におしりを向けると要求を察し、望みどおりにしてくれると覚えているのです。何度か試してみて喜ぶようであれば、いつものトントンをしてほしいと要求しているのかもしれません。
猫がおしりを向けてきたら、どう反応したらいいの?
猫が人間に対して臀部を向ける行為は、侮辱でも無礼な行動でもないとお分かりいただけたと思います。では、実際に愛猫がおしりを向けてきた場合はどのように反応すれば良いのでしょうか。いくつか例を紹介いたします。
まずは黙って眺める
はじめて愛猫がおしりを向けてくれたら、黙って眺めてあげましょう。ここで突然触れたり、声をかけたりすると驚いてしまう可能性があります。そうすると信頼を失い、飼い主さんに心を許してくれなくなってしまうかもしれません。
優しく声をかけながら触れてみる
徐々に回数が増えてきたら、「いい子だね」「可愛いね」など優しく声をかけてみてください。そして優しく触れてあげましょう。ここで、しっぽをバタンバタンと激しく叩きつけてくることがあれば触れるのをやめましょう。これは不快のサインです。とくにこのような反応がなければ大丈夫です。
スキンシップを取りながら健康チェック
触れられることに対して不快に思わない場合は、そのまま身体に触れて健康チェックをしてあげましょう。毛玉の有無・不自然な腫れがないかどうか・皮膚に問題はないかなどをリラックスした状態で行うことで、無理なく確かめることができます。
まとめ
今日のねこちゃんより:マロン / ♂ / 2歳 / 雑種 / 5.5kg
猫がおしりを向けるとき、人間には分かりにくい猫の気持ちが隠れていたのですね。愛くるしさのあまり、ますます猫が好きになりそうな理由でした。一見すると失礼なように感じてしまいますが、猫の愛情表現と理解し、気持ちを大切にしてあげたいものです。そして、とてもリラックスしているようであればスキンシップも楽しんでみてください。